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4年に1度の「マイコプラズマ肺炎」が全国で感染拡大中 東京では“過去最多”の患者数

 公開日:2024/10/04

国立感染症研究所は、直近1週間で報告されたマイコプラズマ肺炎の1医療機関あたりの患者の報告数が1.48人と発表しました。マイコプラズマ肺炎の患者数は、4週連続で増加しています。このニュースについて中路先生に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

マイコプラズマ肺炎の感染状況とは?

今回ニュースで取り上げられたマイコプラズマ肺炎の感染状況について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

国立感染症研究所は、2024年9月16〜22日の1週間に全国約500の定点医療機関から報告された、マイコプラズマ肺炎の患者数を明らかにしています。この報告によると、マイコプラズマ肺炎の1医療機関あたりの患者の報告数は全国平均で1.48人となり、4週連続で増加していることがわかりました。これは、昨年の同時期と比べて37倍の患者数です。また、過去10年で最多ペースになっています。1医療機関あたりの患者の報告数が最も多くなったのは福井県で、3.33人でした。次いで岐阜県と東京都がそれぞれ2.8人、茨城県が2.69人、大阪府が2.61人と続いています。

1医療機関あたり2.8人の患者数を記録した東京都では、これまでに2011年の2.64人、2016年の2.12人と流行した記録があります。今回の2.8人という患者数は、統計が開始された1999年以降で過去最多となりました。東京都の感染者の年齢を見ると、最も多いのが5〜9歳で46.7%、次いで10〜14歳で22.6%となっています。患者の90%以上が10代以下だったとのことです。

マイコプラズマ肺炎とは?

過去10年で最多ペースの感染状況になっているマイコプラズマ肺炎ですが、どのような病気なのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することで発症する呼吸器の感染症のことです。報告された感染者の8割は14歳以下ですが、成人の感染報告もあります。マイコプラズマ肺炎は、周期的に大流行を起こすことが知られており、日本では4年周期での流行が報告されています。

マイコプラズマ肺炎は、感染者が咳をした際のしぶきを吸い込むことや、感染者との接触によって感染します。感染してから発症するまでの潜伏期間は2~3週間と長いことが特徴で、感染に気づかないうちに出歩き、人にうつしてしまうケースが多いという理由から「歩く肺炎」とも呼ばれています。発症すると発熱や全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状がみられます。また、熱が下がっても、咳が長引く傾向にあります。

マイコプラズマ肺炎の治療には、抗生物質やマクロライド系などの抗菌薬が用いられます。ただ、最近は抗生物質が効かない耐性菌も増えてきています。マイコプラズマ肺炎の感染を防ぐためには、普段から手洗いをすることが大切とされています。

マイコプラズマ肺炎の感染状況への受け止めは?

マイコプラズマ肺炎の感染状況について受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

マイコプラズマ肺炎は多くの場合、ほかの細菌性肺炎と比べて多軽症であるものの、一部の人は重症化します。また、稀に脳炎などの合併症がみられることもあります。さらに、発熱などが原因で衰弱して、入院が必要となる場合もあります。こまめな手洗いやマスクの着用を心がけるとともに、咳が長引くなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

まとめ

国立感染症研究所は、直近1週間で報告されたマイコプラズマ肺炎の1医療機関あたりの患者の報告数が1.48人と発表しました。マイコプラズマ肺炎の患者数は4週連続で増加しており、これから冬を迎える中でさらに注意が必要になりそうです。

この記事の監修医師