「ハンディファン」は猛暑日に使っちゃダメ! “逆効果の暑さ対策”に医師も警鐘
最近は猛暑日が続いていますが、ハンディファン(携帯型扇風機)の販売メーカーが、「気温が35℃以上の中での使用は逆効果になる」と公式Xで注意喚起をしました。この内容について、医師である中路先生に見解を伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
ハンディファン(携帯型扇風機)に関する警鐘とは?
ハンディファンのメーカーが公式Xに投稿した内容について教えてください。
中路先生
PC周辺機器メーカーのエレコムは、ハンディファンに関する注意喚起をXの投稿でおこないました。エレコムは、2024年7月31日に「ハンディファンですが、この暑さ(35℃以上)だとかえって逆効果になります。明らかに気持ち悪い熱風になったら使用を控えてください」という内容を投稿しました。この投稿は120万件を超える回数が表示されるなど大きな反響を呼んでいます。
このような投稿をおこななった理由について、エレコムは、EPA(アメリカ合衆国環境保護庁)が作成した猛暑対策ガイドに「熱指数温度が華氏99°f(日本の基準に換算すると気温が35℃、湿度40%以上)を超えるときに携帯用扇風機のみを使用すると、皮膚表面に理想的な体温よりも暖かい空気を吹き付けることになり、身体が反応しなければならない熱ストレスが実際に増加する」という内容が記載されていることを挙げています。EPAは、ハンディファンをミストと併用することを勧めています。
エレコムもXでの投稿で、「『でも暑いのだがどうすれば』という方は濡らしたタオルやハンカチと一緒に使うと効果ありますので是非。この暑さはさすがに扇風機だけでは乗り切れません。」とも述べています。
熱中症の搬送状況は?
エレコムがXに投稿した2024年7月31日は、関東地方の1都6県全てに熱中症警戒アラートが出ている状況でした。現在の熱中症の状況について教えてください。
中路先生
総務省消防庁が2024年8月6日に発表した内容によると、7月29日~8月4日の1週間に全国で熱中症によって救急搬送された人は、速報値で1万2272人に上りました。前週と比べて394人減少しましたが、前年の同時期と比べて988人多くなっています。搬送者のうち死者は21人、重症者は386人でした。
都道府県別の搬送者数で、最も多かったのは東京都で1008人でした。この東京都の熱中症の被害については、毎日新聞が都監察医務院に取材した内容を報じており、東京23区内で7月に確認された熱中症疑いの死者が速報値で123人となり、6年ぶりに7月の死者数が100人を超えたことが明らかになりました。123人の死者うち、121人は屋内で亡くなっていたとのことです。このうち79人はエアコンを使用しておらず、28人は部屋にエアコンがありませんでした。
熱中症対策で大切なことは?
熱中症対策では、こまめな水分補給などが挙げられていますが、改めて熱中症を防ぐために大切なことを教えてください。
中路先生
熱中症対策として今回は、「水分補給」「ハンディファン」「寝不足」の3点についてお話しします。
まず、熱中症の予防にはこまめな水分補給が必要ですが、その補給の仕方に注意が必要です。「のどが渇かなくても飲む」ことが重要です。のどが渇いているときには、すでに脱水状態であると言えます。また、高齢者などは症状が出ないことがあるため要注意です。飲みたいと感じなくても、入浴や寝る前、運動などの汗をかくイベントの前には水分補給をして、その後も水分補給をすることが重要です。加えて、コーヒーやカフェインが入った飲料、アルコール類は利尿作用があるため、かえって脱水を引き起こすリスクがあります。熱中症対策の飲み物としては、麦茶やスポーツ飲料などがおすすめです。
最近登場したハンディファンについては、小型かつ軽量で携帯できる点が優れています。しかし、ハンディファンはあくまでも風を起こすのみの機器であり、エレコムも言及していたように体温よりも高い風を当てると逆効果です。屋外ではなくエアコン効いた室内などで使用するといいでしょう。
最後に、夏はオリンピックや花火、夏休みなどのイベントがあり、ついつい夜更かしする機会が多くなります。しかし、寝不足で疲れがたまると熱中症になりやすいため、規則正しい生活を心がけることも熱中症予防に重要です。
まとめ
気温が35℃以上の猛暑日が続いていますが、ハンディファンの販売メーカーが、「気温が35℃以上の中での使用は逆効果になる」と公式Xで警鐘を鳴らしました。今後も猛暑日などが続くと見込まれる中、ハンディファンが逆効果になる使い方には注意が必要です。