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傷を治す「人工タンパク質」が買える時代に!? 京都大学の革新的な開発に期待高まる

 公開日:2024/07/16
慢性創傷治療のための「人工タンパク質」治療材料 2025年度中に販売へ

京都大学らの研究グループは、「慢性創傷の治療を目的に開発した“人工タンパク質”による治療材料を、2025年度中に販売することを目指す」と発表しました。この内容について松澤医師に伺いました。

松澤 宗範

監修医師
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

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2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

研究グループが発表した内容とは?

京都大学らの研究グループが発表した内容を教えてください。

松澤 宗範 医師松澤先生

京都大学医学部附属病院と三洋化成工業は、慢性創傷治療のための新規治療材料の開発に取り組んでいます。この新規治療材料は人工タンパク質「シルクエラスチン」で作られており、感染しやすい慢性創傷に対して、動物実験などでの有効性と、京都大学医学部附属病院で実施した医師主導治験での安全性が確認されていました。

この医師主導治験の結果を受けた研究グループは、三洋化成工業が中心となり、国内5つの医療機関で2021年7月~2023年5月まで企業治験を実施しました。対象となったのは、標準治療ではあまり効果が期待できない難治性の皮膚欠損創がある患者で、慢性創傷20例、急性創傷5例が選ばれました。治験の結果、25例中23例で治療効果が認められ、安全性についても確認されました。

研究グループは、2024年7月1日に開かれた会見で「シルクエラスチンは、組織全体の再生を促すものになっています。そのため、今までの考え方である『菌を抑える』『バイ菌を殺して傷を綺麗にして治す』『血流を良くする』というものではなく、組織の再生を促しているということになります」と、今回の新規治療材料に用いられたシルクエラスチンについて説明をしました。さらに、「『お湯がかかりました』『服に火がつきました』といったやけどのケースで、傷の浅いところ、深いところ、どちらもシルクエラスチンが使えると思っています」と、活用方法の具体的なイメージも紹介していました。

慢性創傷とは?

京都大学らの研究グループが取り上げた慢性創傷について教えてください。

松澤 宗範 医師松澤先生

やけどやケガなどで皮膚が欠損した場合、傷を治す力があれば通常の治療で治ります。しかし、傷が治りにくい状態を慢性創傷と言い、難治性皮膚潰瘍とも呼ばれています。慢性創傷は治るのに長い時間がかかったり、そもそも治らなかったりすることで、患者にとってつらい状況が続く点が問題です。慢性創傷の原因は、糖尿病や静脈還流うっ滞、褥瘡、膠原病などがあります。慢性創傷を治すためには、傷を乾燥させず、かつ細菌感染を起こさないように毎日傷を洗い、傷を治す軟膏を使用したり、被覆材を貼り替えたりする必要があります。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

京都大学らの研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。

松澤 宗範 医師松澤先生

新しい創傷治癒材であるシルクエラスチンの登場は、医療分野において非常に革新的な進展です。従来の治療法が、主に菌の抑制や血流改善に焦点を当てていたのに対し、シルクエラスチンは組織の再生を直接促すことで、治癒過程を根本からサポートします。この特性により、治癒が困難な慢性創傷やそのほかの皮膚疾患に対して、より効果的な治療が可能となるでしょう。シルクエラスチンは高い有効性と安全性が治験で確認されていますが、これからの臨床応用において効果と安全性がさらに確認され、多くの患者にとって有益な選択肢となることを期待しています。

まとめ

京都大学らの研究グループは、「慢性創傷の治療を目的に開発した“人工タンパク質”による治療材料を2025年度中に販売することを目指す」と発表しました。京都大学とタッグを組む三洋化成工業は、2024年4月に薬事承認申請をおこなっており、2025年度中の販売を目指しています。

この記事の監修医師