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オリーブオイルで「認知症」死亡リスク28%減少! ハーバード大の研究結果

 公開日:2024/06/01
オリーブオイル7g/日超摂取で認知症関連死28%減

アメリカのハーバード大学らの研究グループは、「オリーブオイルの摂取と認知症関連死亡リスクとの関連を検討した結果、1日あたり7g以上を摂取する群では、ほとんど、もしくは全く摂取しない群と比べて認知症関連死亡リスクが28%低かった」と発表しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

アメリカのハーバード大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介する研究はハーバード大学らの研究グループが実施したもので、研究結果は学術誌「JAMA Network Open」に掲載されています。

研究グループは9万2383人を対象に、約28年間の追跡期間を設けました。その間に発生した認知症関連死は4751人でした。解析の結果、オリーブオイルの摂取量が多いほど認知症関連死亡リスクが低くなる結果となりました。オリーブオイルを非摂取または1カ月あたり1回未満摂取群を対照群とした場合、最もオリーブオイルを摂取した7g/日超摂取群ではリスクが28%低くなりました。また、地中海食スコアなどの食事の質を加味した解析をおこなうと、オリーブオイルの高摂取量群における認知症関連死亡リスクは、食事の質に関するスコアに関係なく、対照群と比較して有意に低かったことがわかりました。

研究グループは、ほかの脂質をオリーブオイルに置き換えた場合の影響も研究しています。脂質5g/日を同じ量のオリーブオイルに置き換えた場合、マヨネーズでは認知症関連死亡リスクが14%低下しました。同様の方法でマーガリンで置き換えた場合も、認知症関連死亡リスクが8%低下しています。一方、そのほかの植物油やバターでは、有意なリスク低下は認められませんでした。

研究グループは、今回の研究結果について「オリーブオイルを多く摂取するアメリカの成人は、食事の質に関係なく認知症関連死亡リスクが低かった。この結果は、オリーブオイルなどの植物油の使用を推奨する現行の食事指針が、心血管疾患の予防だけでなく認知症の予防にも当てはまることを示すものだ」とコメントしています。

研究の背景とは?

アメリカのハーバード大学らの研究グループが今回の研究を実施した背景を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回の研究の背景として、高齢者の3分の1がアルツハイマー病やそのほかの認知症で死亡していることが研究論文で挙げられています。健康的と話題になることも多い地中海食の一部として、オリーブオイルは注目をされています。これまでの研究では、「地中海食の遵守と組み合わせた6.5年間にわたるオリーブオイルの摂取が認知機能低下を予防する」というエビデンスが示されています。

研究グループは、こうした先行研究のほとんどが地中海沿岸諸国で実施されたものなので、オリーブオイルの摂取量が少ない傾向にあるアメリカで研究することに注目しました。最近のアメリカ人のための食事ガイドラインでは、地中海料理などの特定の食事パターンが2型糖尿病を含む慢性疾患の予防に関連していることから、全体的な食事パターンに焦点が当てられています。ただ、こうした食事パターンによって食事摂取の全体像が把握できる一方で、食事の機会、例えば食事と間食における洞察は得られない可能性があることに、研究グループは着目しました。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

アメリカのハーバード大学らの研究グループによる発表への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

認知症の予防に、植物性食品を中心とし、オリーブオイルを主に使用した地中海食が有用であることは、以前より報告されてきました。本研究は、オリーブオイルと認知症による死亡リスクとの関連を初めて検討した大変興味深い研究であると考えます。ただし、両者の直接の因果関係を証明したものではないため、その点には注意すべきでしょう。また、オリーブオイルは植物油の一種で、高カロリー食品です。摂り過ぎると、糖尿病などの生活習慣病を発症し、かえって認知症リスクが高まるかもしれません。オリーブオイルの過剰摂取には注意が必要です。

まとめ

アメリカのハーバード大学らの研究グループは、オリーブオイルの摂取と認知症関連死亡リスクとの関連を検討した結果、1日あたり7g以上を摂取する群では、ほとんど、もしくは全く摂取しない群と比べて認知症関連死亡リスクが28%低かったと発表しました。オリーブオイルの健康効果を聞く機会は少なくないですが、今回の新たな発見にも注目が集まりそうです。

この記事の監修医師