【日本初】内臓脂肪を減らす新薬「アライ」発売開始! 服用時は“おむつ着用”必須!?
大正製薬ホールディングスは、2024年4月から内臓脂肪を減らす市販薬としては日本初となる「アライ」を発売しました。この内容について甲斐沼医師に伺いました。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
内臓脂肪減少薬「アライ」とは?
内臓脂肪を減らす市販薬としては日本初となるアライについて教えてください。
甲斐沼先生
大正製薬ホールディングスが開発・販売するアライは、体内の脂肪の吸収を抑えることで内臓脂肪の蓄積を阻害する薬です。大正製薬ホールディングスによると、食事中に含まれる脂肪の約25%を吸収せずに排出する効能があるとのことです。体重減少効果は3%程度とされていますが、摂取カロリーを抑えることができるようになるのが特徴です。
アライに含まれる「オルリスタット」は、1999年にアメリカで医療用として承認され、2007年に市販薬として販売されており、海外では薬局などで一般販売されている成分です。アライは肥満症ではなく、内臓脂肪減少という形でOTC(一般用医薬品)として販売されているため、医学的に減量を必要とする状態である肥満症の人はアライの対象外となります。
発売開始前から話題になっていたのでご存じの人もいるかと思いますが、アライの副作用として、油分を便として排出するので、下痢や軟便などを引き起こす可能性があります。そのため、服用時はおむつや便漏れパッドなどの着用が推奨されています。
アライを服用することができるのは、18歳以上の成人で、男性は腹囲が85cm以上、女性は90cm以上、BMIが35未満の人に限られます。BMI25以上で、脂質異常症や高血圧といった疾患を持つ人や妊娠中・授乳中の女性は使用できません。
「アライ」の販売開始への受け止めは?
アライが販売開始されたことへの受け止めを教えてください。
甲斐沼先生
2024年春から内臓脂肪を減らす市販薬として日本初で販売されるアライは、腹部や腹囲が太めで肥満傾向を示す者の内臓脂肪および腹囲の減少効果を有する内臓脂肪減少薬です。通常、食事中に含まれる脂肪成分は、脂肪分解酵素であるリパーゼによって分解されて、生体に吸収されます。アライの服用によって、有効成分オルリスタットがリパーゼに結合して、その酵素を不活性化することで脂肪の分解を阻害する働きがあります。
近年、日本における食生活を取り巻く社会環境の変化に伴って、肥満者の急増や生活習慣の課題が特に叫ばれており、生活者の健康に寄り添った製品開発の実現が待たれていました。そのような状況の中で、日本初となる内臓脂肪減少効果を発揮する市販薬であるアライが開発されたことで、国民一人ひとりが自分の健康を守り、より前向きに生活習慣の改善に取り組めることが期待されます。
内臓脂肪を溜めないために重要なことは?
日本初となる内臓脂肪を減らす市販薬のアライを紹介しましたが、そもそも内臓脂肪を溜めないために重要なことはなんでしょうか?
甲斐沼先生
内臓脂肪は、内臓の周囲に付着している脂肪であり、正確には腸を支える腸間膜に溜まります。内臓脂肪には、摂取したエネルギーが余った場合、一時的に蓄えておく役割がありますが、過剰に増加した場合は糖尿病や脂質異常症など生活習慣病の発症につながる場合があるので、注意しなければなりません。
内臓脂肪をため込まないための対策としては、まずは早食いせずによく噛んで食べることです。普段から、よく噛んで食事をすると、脳の満腹中枢が刺激されやすくなり、少量でも満足感を得られますし、よく噛むことで交感神経が刺激されて、内臓脂肪が落ちやすい状態になると言われています。一般的に、満腹中枢が刺激されるまでには15分程度かかるとされているため、最低でも15分以上かけて食事をするよう心がけましょう。
また、内臓脂肪を効率的に減らすためには、日常的に有酸素運動をおこなうことも重要です。内臓脂肪を低下させるためには、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を取り入れましょう。有酸素運動は糖質や脂肪をエネルギー源とするため、継続的に実践することで内臓脂肪を減らすことが期待できます。有酸素運動では血中の脂肪が最初にエネルギーとして使われますが、運動を20分以上続けた段階から内臓脂肪が使われるようになるので、毎日20分以上、早足でウォーキングしたり歩く時間をできるだけ増やしたりして、体を積極的に動かすよう意識しましょう。
まとめ
大正製薬ホールディングスは、2024年4月から内臓脂肪を減らす市販薬としては日本初となるアライを発売しました。発売前からオムツ着用の呼びかけで話題になっていましたが、今後も注目を集めそうです。