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【新型コロナ】新変異ウイルス「JN.1」が日本で感染拡大中、1~2月で急増懸念

 公開日:2024/01/12

新型コロナウイルスの「JN.1」と呼ばれる新たな変異ウイルスが日本でも広がりを見せています。この内容について郷医師に伺いました。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

新型コロナウイルスの変異ウイルス「JN.1」とは?

新型コロナウイルスの「JN.1」と呼ばれる新たな変異ウイルスについて、現時点でわかっている情報を教えてください。

郷 正憲医師郷先生

JN.1はオミクロン株の一種で、2022年に国内でも広がっていた「BA.2」系統が変異したものです。世界各地で検出される割合が増加していることから、2023年12月にWHO(世界保健機関)がVOI(注目すべき変異ウイルス)に指定しています。

日本国内でも2023年11月頃から増加し始めています。国立感染症研究所によると、JN.1が検出される割合は2023年12月3日までの1週間で11.6%でしたが、2023年12月28日の時点では31%に急増していたと推定されています。WHOによると、免疫を逃避する能力が高まっている可能性があるとしていますが、入院や重症化のリスクが高くなっているという報告はないとのことです。

JN.1は海外でも感染の割合が増えており、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、2023年12月23日までの2週間に新型コロナウイルスに新たに感染した人の約44%がJN.1に感染しているとする推定を発表しています。これは前の2週間と比べると20ポイントほど増加していて、検出される割合が急増していることがわかります。JN.1を巡ってはアメリカ以外にも、フランスやシンガポール、イギリス、スウェーデンなどでも相次いで検出されており、WHOによると2023年12月16日時点で、41カ国からこの変異ウイルスが報告されているとのことです。

WHOはJN.1について、「本格的な冬を迎える中、感染の増加を引き起こすことが予想される」という見方を示しています。

新型コロナウイルスの感染状況は?

今回の記事では、新たな変異ウイルスである「JN.1」について紹介していますが、現在の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

郷 正憲医師郷先生

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、2023年5月に5類に移行したことに伴って、全数把握から全国5000の医療機関からの報告をもとに公表する定点把握に変わっています。この定点把握によると、2023年12月25日~31日に報告された数は2万7987人、1定点あたりの報告数は5.79人となっています。1定点あたりの報告数が一番多かったのは北海道の12.28人、次いで長野県の10.65人、愛知県の9.19人となっています。

「JN.1」感染拡大への受け止めは?

新型コロナウイルスの「JN.1」と呼ばれる新たな変異ウイルスの感染者の割合が急増していることについての受け止めを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

冬という季節も加味して、この1カ月を目途に非常に多くの感染者を出すのではないかという予想もされています。というのも、海外では感染者の中での割合が増加するだけではなく、全体の感染者数も増加しているからです。オミクロン株が感染拡大したときと同じような感染拡大を見せているのです。ワクチン接種で感染はある程度抑えられると言われていますが、それでも感染を完全に抑えることはできません。今までと同様、手指衛生やマスクの着用など基本的な感染対策を継続することが求められます。

まとめ

新型コロナウイルスの「JN.1」と呼ばれる新たな変異ウイルスが日本でも広がりを見せていることが今回のニュースで明らかになりました。WHOも注目すべき変異ウイルスに指定しており、今後の動きに注視が必要になりそうです。

この記事の監修医師