来シーズン「インフルエンザ」早ければ10月にも流行の恐れ、南半球で感染拡大中
季節外れのインフルエンザの感染拡大が続く中、日本の流行予測に重要な南半球で患者数が増えていることから、早ければ2023年10月から来シーズンの流行が始まり、規模も大きくなる恐れが浮上しています。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
インフルエンザの感染状況とは?
現在懸念されている、来シーズンのインフルエンザの流行について教えてください。
中路先生
インフルエンザの流行について、今シーズンは現在も季節外れの流行が続いています。厚生労働省によると、2023年6月18日までの1週間に報告された1定点医療機関あたりの患者は1.29人となり、流行の目安である1定点医療機関あたりの患者1人を上回っています。都道府県別で報告数が多い順番は、鹿児島県、宮崎県、長崎県でした。また、今シーズンの患者は2023年6月18日時点で推計435.9万人に上ります。
こうした中で、この次の流行期についての懸念が浮上しています。その根拠となるのが、南半球のオーストラリアの患者数です。南半球のオーストラリアは日本と季節が逆で、間もなく本格的な冬季に入ります。新型コロナウイルスの世界的なパンデミック最中の2020年と2021年はインフルエンザの流行がみられませんでしたが、2022年6月に大規模なピークを迎えました。この時は、日本感染症学会が「オーストラリアと同様の流行が日本でも起きる可能性もある」と警鐘を鳴らしていました。
オーストラリアの保健省によると、「2023年はインフルエンザ患者が5月から急増し始めている」と明らかにしています。また、WHO(世界保健機関)によると、「南米のチリやパラグアイなどでも感染者数が増えているとみられる」と示しています。こうした状況から専門家の間では、2023年10月頃から日本でもインフルエンザの流行が始まり、12月初旬にかけてピークを迎える可能性が指摘されています。
インフルエンザ流行動向への受け止めは?
今回懸念が示されているインフルエンザの流行についての受け止めを教えてください。
中路先生
季節外れのインフルエンザの流行について、はっきりとした原因はわかりませんが、2023年は例年と比べてインフルエンザの大きな感染拡大の兆候がなかったため、インフルエンザの小規模な流行が続いていると考えられています。また、コロナ禍でインフルエンザの大きな流行が3年間なかったため、若年者を中心に免疫が低下しています。その結果、若年層を中心に感染が続いてインフルエンザの流行が終わらない状況にあると考えられます。それに加え、これら冬を迎える南半球の地域の状況からすると、日本でもインフルエンザは12月初旬にかけてと早くピークを迎え、人の往来が盛んになったことなどより、規模は過去数年で患者が最多だった年度に近づく恐れがあります。
インフルエンザの感染を防ぐために重要なことは?
インフルエンザの感染を防ぐために重要なことを教えてください。
中路先生
帰省などで人の移動が増える夏休みに入ると、さらなるインフルエンザの患者数増加が懸念されます。基本に立ち返って、マスクの着用や室内の換気などを実施しましょう。また、早めのワクチン接種に加えて、体調が悪い場合には外出や出勤を控え、インフルエンザを広げないように注意することが重要です。
まとめ
南半球でインフルエンザの患者数が増えていることから、日本でも早ければ2023年10月から来シーズンの流行が始まり、規模も大きくなる恐れが浮上していることが今回のニュースでわかりました。新型コロナウイルスで制限されていた海外との人の往来も再開している中で、しっかりと感染対策をしていくことが重要になりそうです。