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新型コロナ「XBB」対応の新ワクチン、9月以降の追加接種で導入

 公開日:2023/06/23
新型コロナ 「XBB」対応ワクチンの導入了承

厚生労働省の専門部会は、9月以降の新型コロナウイルスのワクチン接種について、オミクロン株派生型の「XBB」系統に対応した「1価ワクチン」を導入する方針を了承しました。この内容について郷医師に伺いました。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

厚生労働省の専門部会が了承した内容とは?

厚生労働省の専門部会が新型コロナウイルスのワクチン接種について了承した内容を教えてください。

郷 正憲医師郷先生

今回紹介するのは、2023年6月16日に開かれた厚生労働省の専門部会で話し合われた内容です。議題となったのは、2023年9月以降の新型コロナウイルスワクチンの追加接種についてです。

現在、XBB系統は世界的に流行しており、国内では6月下旬に「XBB.1.16」の割合が全体の49%、「XBB.1.5」は12%になると国立感染症研究所が推計しています。こうした状況から、専門部会はオミクロン株のXBB系統に対応した1価ワクチンの導入に了承しました。ただし、今回の了承は開発メーカーが申請して、製造販売の承認を得られることが条件となっています。新たなワクチンを準備することで、流行する変異株への免疫を高め、年末年始に想定される感染拡大に備える狙いがあります。

現状、接種対象者は「5歳以上の全ての人」とされていますが、厚生労働省は最新の知見や外国の状況などを踏まえ、9月の接種開始を前に分科会で議論した上で決める方針です。XBB系統の1価ワクチンをめぐっては、アメリカで2023年秋以降に使用するワクチンについて、FDA(アメリカ食品医薬品局)がXBB.1.5に対応する1価ワクチンの開発を製薬各社に推奨したことを発表していて、複数の製薬会社はすでに変異株のXBB系統に対応する成分のワクチンの開発を進めている状況です。

新しい1価ワクチン導入の受け止めは?

厚生労働省の専門部会が9月以降の新型コロナウイルスワクチンについて、XBB系統に対応した1価ワクチンを導入する方針を了承しましたが、この受け止めを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

XBB対応ワクチンは、初期型・オミクロン対応型に続く、第三世代とも言うべきワクチンです。これまでの蓄積から、XBB型に対しては従来のワクチンでは十分に効果がないことが分かっており、XBBに対応するワクチンが必要であると言われていました。それに対応するためにワクチンの開発が進んでいて、今回、満を持して使用開始の手はずが整ってきました。

新型コロナウイルス自体が5類になったため油断しがちですが、重症化する人はやはりいらっしゃいます。また、ウイルス感染による長期予後や後遺症などの懸念もあり、ワクチンはそれらの確率を低下させることがはっきりしています。XBBが流行する前に対応ワクチンを使用することで、後遺症や重症化をより予防できるようになるとのデータがありますので、必要だと思われる方は積極的に接種を推奨します。

新型コロナウイルスワクチンはいつまで必要になる?

新型コロナウイルスのワクチンの接種はいつまで必要になるのか、先生の考えを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

現在の状況を鑑みると、新型コロナウイルスがなくなることはないと思われます。かつてインフルエンザが突然現れて蔓延し、常に感染するリスクが存在する感染症になったように、新型コロナウイルスもずっと懸念対象となり続けるでしょう。そしてさらに、重症化や後遺症に悩まされる確率は、インフルエンザと比較して新型コロナウイルスの方が圧倒的に高いということも分かっていますから、予防は続けなければなりません。とはいえ、一度ワクチン接種をしていれば、体内で抗体がゼロになることはありませんから、ワクチン接種初期のように数カ月以内に再度接種をするという必要はなくなってきているとも思われます。インフルエンザと同じように、重症化リスクがある人や希望する人が年に1回接種するというワクチンになっていくのではないかと考えます。

まとめ

6月16日、厚生労働省の専門部会が9月以降の新型コロナウイルスのワクチン接種について、オミクロン株派生型のXBB系統に対応した1価ワクチンを導入する方針を了承したことが今回のニュースでわかりました。接種対象者は今後改めて決められるということで、引き続き追っていく必要がありそうです。

この記事の監修医師