【親必見】ヨーグルトをよく食べる子どもは中耳炎になりにくい 東北大学ら報告
東北大学らの研究グループは、「ヨーグルト摂取頻度が高いほど中耳炎の罹患リスクは低いことが示された」と学術誌に報告しました。この内容について五藤医師に伺いました。
監修医師:
五藤 良将(医師)
目次 -INDEX-
研究グループが発表した内容とは?
今回、東北大学らの研究グループが発表した研究内容について教えてください。
五藤先生
東北大学らの研究グループは、母親と子どものヨーグルトの習慣的な摂取頻度と子どもの乳幼児期の中耳炎罹患の関連を検討しました。研究グループは9万5380組の母子に対して、ヨーグルトの習慣的な摂取頻度と子どもの中耳炎の発症の関連を解析しました。対象のうち、子どもの中耳炎の発症は全体の15.6%にあたる1万4874人が確認されました。
解析の結果、ヨーグルト摂取が高頻度であるほど乳幼児期の中耳炎の罹患リスク低下が認められました。生後6カ月時点で、ほとんどヨーグルトを摂取しないグループに対して、毎日ヨーグルトを摂取するグループでは46%のリスク低下が示されました。さらに、生後2年間における中耳炎の累積罹患回数とヨーグルト摂取の関連を解析したところ、ヨーグルトの摂取頻度が高いほど中耳炎の罹患リスクが低下することが示されました。また、妊娠中の母親のヨーグルト摂取が高頻度であることも、子どもの中耳炎の罹患リスク低下と弱いながらも有意な関連が認められたとのことです。
今回の結果について、研究グループは「母子それぞれがヨーグルトを習慣的に摂取することが子の乳幼児期の中耳炎罹患リスク低下と関連するとともに、妊娠期からのプロバイオティクス摂取習慣が有用である可能性も示された。しかしながら、大規模コホート研究であるため、摂取した菌の種類や量については検討していない。今後、より詳細な追加研究が必要だ」と述べています。
中耳炎とは?
今回の研究で取り上げられた中耳炎について教えてください。
五藤先生
中耳炎とは、中耳腔と呼ばれる鼓膜の奥にある空間に感染が起こり、炎症が起きている状態です。中耳炎はいくつかに分類されていますが、「急性中耳炎」「滲出性中耳炎」「慢性中耳炎」「真珠腫性中耳炎」が代表的です。
急性中耳炎:小児に多いのが特徴です。感冒などの上気道炎に続いて発熱、耳痛などが生じます。中耳炎が進行すると鼓膜穿孔を生じ、耳だれがみられることもあります。
滲出性中耳炎:何らかの原因で耳管の働きが障害されると中耳圧は低下して、鼓膜は陥凹して振動しにくくなり、中耳粘膜から滲出液が中耳腔に貯留する状態のことを指します。
慢性中耳炎:中耳に生じた感染や炎症が慢性化・遷延化した状態です。
真珠腫性中耳炎:慢性中耳炎の一部ですが、真珠腫という特殊なものができた、より重症な状態です。真珠腫からは特殊な酵素が出て周囲の骨を溶かす働きがあることから、耳小骨や内耳の骨が溶けて難聴や神経麻痺など様々な症状が生じるようになります。初期病変を除いては、原則的に手術が必要となります。
発表内容への受け止めは?
東北大学らの研究グループによる発表内容への受け止めについて教えてください。
五藤先生
免疫機能に大きく関わっているとされる善玉菌を含むヨーグルトを継続的に摂取することで、免疫細胞が数多く存在している腸の環境を整えてくれます。 ヨーグルトに含まれるタンパク質とカルシウムは、牛乳よりも吸収されやすい特徴もあります。
また、免疫力アップに大切なのは、「適度な活動性と休養のバランスを取ること」「体を温めること」「ストレスを減らすこと」「腸内環境を整えること」です。 免疫力は日中の活動中に高まり、夜になると低下します。 免疫力を高めるためには、決まった時刻に起きて食事を摂り、しっかりと体を動かすことが重要です。
コロナ禍も終わりましたが、感染症が怖いものには変わりありません。そして、中耳炎も感染症の1つです。日頃の免疫維持のためにも、積極的にヨーグルトを摂取したり、上述したことを実践したりしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
東北大学らの研究グループが、「ヨーグルト摂取頻度が高いほど中耳炎の罹患リスクは低いということが示された」と学術誌に報告したことが今回のニュースでわかりました。研究グループは「今後、より詳細な追加研究が必要」とコメントしていますが、身近な食品のヨーグルトの効果には注目が集まるでしょう。