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マスク着用「3月13日から個人の判断に」コロナ流行前の生活に戻れるか

 更新日:2023/03/27
マスク着用 3月13日からは個人の判断

政府は、新型コロナウイルス対策としてのマスクの着用について、3月13日から屋内外を問わず個人の判断に委ねる方針を決定しました。このニュースについて郷医師に伺いました。

郷 正憲医師

監修医師
郷 正憲(医師)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。

政府が決定した方針とは?

今回、政府が決定したマスクの着用についての方針について教えてください。

郷 正憲医師郷先生

今回取り上げるマスクの着用についての方針について、2月10に政府は新型コロナウイルス感染症対策本部を開きました。この対策本部において、マスクの着用については「3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねる」とし、「医療機関を受診するときや通勤ラッシュ時といった、混雑した電車やバスに乗る際などにはマスクの着用を推奨する」などとした方針が決定されました。一方で、新型コロナウイルスの流行期に、感染・重症化リスクが高い人が混雑した場所に行くときは、感染対策としてマスクの着用が効果的であることにも触れ、症状がある人や同居家族に陽性者がいる人などがやむをえず外出する際にもマスクを着用するよう求めています。

学校におけるマスクの着用の新しい方針をめぐっては、「新学期が始まる4月1日からマスクの着用を求めないこと」を基本とされました。新たな方針が適用される前の卒業式でも、児童・生徒などはマスクを着用せずに出席することを基本としています。

加藤厚生労働大臣は新型コロナウイルス感染症対策本部終了後の記者会見で、「マスクの着用の考え方は見直すが、基本的な感染対策が重要だ。3月13日からの適用が円滑におこなわれるように、国民や事業者への周知などの準備を進めていく。3月12日まで、国民のみなさんには従前の対応をお願いしたい」と述べています。そして、「感染が拡大している場合には、今後も場面に応じた適切なマスクの着用を一時的に国民に呼びかけるなど、強い感染対策をお願いすることがあり得る」ともコメントしました。

マスクの着用が有効な状況は?

新たな方針でマスクの着用が個人の判断に委ねられることになりました。マスクの着用が有効な状況とは、どのようなケースがあるのでしょうか?

郷 正憲医師郷先生

新たな方針でマスクの着用が個人の判断に委ねられることになりますが、厚生労働省はマスクの着用が効果的な場面について、医療機関の受診時感染・重症化リスクの高い人が多い高齢者施設などの訪問時通勤ラッシュ時の3つの場面を想定しています。さらに、リスクが高い人が流行期に混雑した場所に行く際にも、マスクの着用が効果的であると考えられています。

リスクの高い人が多くいる高齢者施設などの職員については「勤務中のマスクの着用を推奨する」とされているほか、事業者については「業務内容などによっては、利用者や従業員に対してマスクの着用を求めることは許容される」としたうえで、各業界団体にマスク着用に関するガイドラインの見直しをおこなうよう求めています。なお、厚生労働省はリーフレットやホームページなどで、マスクの着用が有効な状況を周知することにしています。

マスクの着用についての方針への受け止めは?

今回のマスクの着用についての方針への受け止めを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

今回の決定は、世界的な潮流に合わせて政府が「経済活動を優先する」というメッセージを出すためにおこなった決定であると受け止めています。その一方で「ウイルスの性状が変わったわけではない」ということは、言うまでもありません。新型コロナウイルスは、今でも非常に脅威となる感染症です。

たしかに、海外ではマスクを外して生活をする国が増えています。しかし、それらの国において、既に国の予算で新型コロナウイルスが治療されることはほとんどなくなり、重症化しても保険が使えずに死亡する場合が多いという現実もみなければなりません。アメリカやイギリスをはじめとする欧米諸国では、圧倒的な死者数が認められています。また、中国でもゼロコロナをやめた途端に感染者が爆発的に増加して、死者数も急増したということを忘れてはなりません。

マスクを着用しなくてもいいというのは、感染者の急増に伴う死者の増大も許容する覚悟を持った決定であるということを政府は表明しなくてはならないでしょう。また、諸外国では保険が使えず治療ができないというケースが多いですが、日本は皆保険制度であるため重症化しても支払い額には上限があるため、少ない費用負担で適切な治療を受けることができます。しかし、これらの治療費を負担するのは、保険費を払っているわれわれ国民です。経済活動を優先したあまり、かえって治療費が増大してしまうという可能性は常に考えなくてはならないでしょう。

臨床的には、やはりマスクの着用を勧める以外の選択肢はありません。自分や大事な人を守るためにも、可能な限りマスクを着用することを推奨します。

まとめ

政府は新型コロナウイルス対策としてのマスクの着用について、「3月13日から屋内外を問わず個人の判断に委ねる」という方針を決定したことが今回のニュースでわかりました。マスクの着用が私たち個人の判断に委ねられたことで、逆にどのようなシーンでマスクをつけるべきか、しっかりと把握することが重要になりそうです。

この記事の監修医師