「脱毛症の治療」にサプリメントが効果的か アメリカの研究で有効性・安全性が示唆
アメリカ医師会が発行する医学雑誌「JAMA Dermatology」にて、脱毛症治療におけるサプリメントの有効性と安全性についての研究結果が発表されました。このニュースについて竹内先生にお話を伺います。
監修医師:
竹内 想(医師)
脱毛症治療におけるサプリメントの有効性とは?
今回、JAMA Dermatologyで発表された、脱毛症治療におけるサプリメントの有効性について教えてください。
竹内先生
アメリカのタフツ大学医学部のLara Drake氏らは、脱毛症治療におけるサプリメントの有効性と安全性を調査するため、これまでに発表された30件の研究のエビデンスレベルを評価しました。その結果、「パンプキンシードオイル(カボチャ種子油)」などを含む12種のサプリメントに脱毛症治療の有効性が示唆されました。また、これらのサプリメントについての副作用は稀、もしくは軽度であることが分かりました。
今回の研究結果から、脱毛症治療における一部サプリメントの有効性が示唆されました。ただし、サプリメントはあくまで食品の分類であるため、そのリスクとベネフィットを認識した上で治療に用いるかどうかを選択する必要があると述べています。
パンプキンシードオイルのほかに、今回有効性が示唆されたサプリメントは以下の通りです。
・Viviscal
・Nourkrin
・Nutrafol
・Lamdapil
・Pantogar
・カプサイシン+イソフラボン
・抗酸化物質+ω-3脂肪酸およびω-6脂肪酸
・リンゴ抽出物
・シャクヤク総グルコシド+複合グリチルリチン酸タブレット
・亜鉛
・トコトリエノール
医療機関で受けられる脱毛症の治療は?
脱毛症で医療機関を受診した場合、どのような治療がおこなわれるのか教えてください。
竹内先生
一口に脱毛症といっても種類や原因は様々なので、それによって治療も異なります。例えば、脱毛症の代表例として挙げられる「円形脱毛症」は、主に皮膚科で治療をおこないます。円形脱毛症は多くの場合、頭部1カ所(または複数個所)の毛髪が抜け、コインのような円形の脱毛斑ができるのが特徴です。軽度(数個の脱毛斑)の円形脱毛症であれば数カ月で自然治癒するケースも多く、皮膚科ではステロイド剤の塗り薬や飲み薬を用いて回復を早める治療をおこないます。また、「男性型脱毛症(AGA)」や「女性型脱毛症(FAGA)」の治療は原則保険適用外となりますが、AGA専門クリニックや皮膚科、美容クリニックなどで治療を受けることができます。治療には飲み薬や塗り薬、植毛などが用いられますが、自費診療となるため、費用や効果について事前に医師にしっかりと確認の上、治療を進めるようにしましょう。
脱毛症サプリメントの有効性研究についての受け止めは?
今回「JAMA Dermatology」にて発表された、脱毛症治療におけるサプリメントの有効性に関する研究についての受け止めを教えてください。
竹内先生
男性型脱毛症の治療については、フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬やミノキシジル外用薬による治療の有効性が高いことが知られています。一方で、手軽に試すことの可能なサプリメントに脱毛症への効果があるとなれば、治療へのハードルが下がりポジティブな影響が期待されるようになるでしょう。
まとめ
JAMA Dermatologyに掲載されたタフツ大学医学部による調査では、脱毛症の治療において一部のサプリメントの有効性が示唆されたことが分かりました。今後、さらなる研究によって日本でも脱毛症治療の選択肢が増えることが期待されます。