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3種類の抗ウイルス薬 感染拡大が懸念されるオミクロン株「BQ.1.1」「XBB」の増殖を抑制

 更新日:2023/03/27
3種類の抗ウイルス薬がBQ.1.1系統とXBB系統の増殖を抑制

東京大学らの研究グループは、「新型コロナウイルスの3種類の抗ウイルス薬が、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統の増殖を抑制する」との研究結果を発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

東京大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介する研究は、東京大学医科学研究所ウイルス感染部門の河岡義裕特任教授らの研究グループによるものです。研究グループは、新型コロナウイルス患者からオミクロン株BQ.1.1株とXBB株を分離させ、これらの株に対する治療薬の効果を調べました。「ソトロビマブ」「ベブテロビマブ」「カシリビマブ・イムデビマブ」「チキサゲビマブ・シルガビマブ」の4種類の抗体薬の中和活性、つまり細胞へのウイルス感染を阻害する機能について調べたところ、BQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、いずれも著しく低くなりました。また、4種類の薬のうち、BA.2系統とBA.5系統に対して高い中和活性を示した「ベブテロビマブ」も、BQ.1.1とXBBの両系統に対する活性が著しく低いことが判明しました。

次に、「レムデシビル」「モルヌピラビル」「ニルマトレルビル」の3種類の抗ウイルス薬について解析をしたところ、全ての薬剤がBQ.1.1株とXBB株に対して、高い増殖抑制効果を示したことが明らかになりました。この抑制効果は、従来株に対する増殖抑制効果と同程度でした。

今回の研究がおこなわれた背景とは?

東京大学らのグループが今回の研究に取り組んだ背景を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

現在、BA.5系統に属する株が多くの国で主流となっていますが、BA.5系統から派生したBQ.1.1系統とBA.2系統から派生したXBB系統への警戒感が特に高まっています。日本では、今回の研究対象に含まれる3種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬が、新型コロナウイルス治療薬として承認を受けていますが、BQ.1.1系統とXBB系統に対して有効かどうかについては明らかにされていませんでした。こうした背景から今回の研究がおこなわれました。

今回の発表内容への受け止めは?

東京大学らの研究グループが発表した内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今後、さらなるin vivo(生体内)での検証が必要であると考えられます。また、これから感染拡大すると考えられるオミクロン株BQ.1.1系統・XBB系統に対して、現在の抗体薬は効果が乏しいですが、抗ウイルス薬の効果は期待できる可能性があります。今後は抗体薬よりも抗ウイルス薬に新型コロナウイルスの治療がシフトしていく可能性も示唆され、大変興味深い研究結果であると考えられます。

まとめ

東京大学らの研究グループが「新型コロナウイルスの3種類の抗ウイルス薬が、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統の増殖を抑制する」との研究結果を発表したことが今回のニュースでわかりました。WHOもBQ.1.1系統とXBB系統について注視するステートメントを発表しており、今回の研究結果にも注目が集まりそうです。

この記事の監修医師