【新型コロナウイルス】子どもの感染者数「第6波から第7波で2倍以上に」
新型コロナウイルスの第7波で子どもの感染者数が増加しています。第6波のピーク時に比べると2.2倍となり、受け入れる病床が逼迫しています。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
今回のニュースの内容とは?
今回取り上げるニュースの内容について教えてください。
甲斐沼先生
今回取り上げるニュースは、新型コロナウイルスの子どもの感染者数が増加していることについてです。全国の新規感染者が過去最多となった第7波ですが、10歳代以下の感染者も急増しており7月下旬には1日平均で約5万人に上り、第6波ピーク時の2.2倍となりました。8月9日付の1週間の感染者数は、10歳未満が15万9341人、10代が14万9204人という結果になっています。
日本小児科学会によると、「新型コロナウイルス患者に占める10歳代以下の割合は、流行初期は低かったものの、2022年1月以降は30%程度に増加している」とのことです。また、オミクロン株が流行してからは感染症によって引き起こされる子ども特有の呼吸器症状であるクループ症候群や熱性けいれんが増加しているほか、脳症や心筋炎などの重症例も報告されており、以前は少数だった重症例と死亡例も増加しているということです。
こうした背景から日本小児科学会は、5~17歳の新型コロナウイルスのワクチン接種についての見解を「意義がある」から「推奨する」に変更しています。同学会ホームページでは、「ワクチンに関する有効性と安全性に関する情報が多く蓄積され、子どもの重症化予防に寄与することが確認された。メリットがデメリットをさらに大きく上回ると判断した」と説明しています。
子どもの新型コロナウイルス感染を防ぐためにできることは?
子どもの新型コロナウイルス感染を防ぐためにできることを教えてください。
甲斐沼先生
子どもの新型コロナウイルス感染症を防ぐために期待されているワクチン接種については、まずは子どもの周囲に存在している成人への接種自体が新型コロナウイルスから守るための最重要課題と認識されています。
それと同時に、重症化リスクが高いと考えられる基礎疾患を有する子どもの場合には、重症化を予防する観点から基本的にワクチン接種を推奨する考え方が普及しています。とくに、5~17歳の健康な小どもに対する新型コロナウイルスのワクチン接種についても併せて推奨されており、ワクチン接種に関するメリットとデメリットを本人、および養育者や保護者が十分に理解することが肝要です。
万が一、小どもがワクチンを接種してから数日以内に胸痛や呼吸困難、むくみなどの心筋炎を疑う症状を訴えた際には、すぐに医療機関を受診して新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたことを正確に伝えましょう。そして、ワクチンを受けた接種日には激しい運動などは控えて手洗いやうがいなど日々の感染対策を徹底して実践することが重要なポイントです。
子どもが新型コロナウイルスに感染した際、とくに気をつけるべきことは?
子どもが新型コロナウイルスに感染した際に、気をつけるべき症状などはありますか? 症状の変化で危険性が高いものや自宅療養などのポイントを教えてください。
甲斐沼先生
小児における新型コロナウイルス感染症は多くの場合、軽症で済むことが多いですが、第6波以降にはクループ症候群や熱性けいれん症状を伴う症例が度々報告される事態になっています。
自宅で療養する際には、感染した子どもの機嫌、食欲、顔色、呼吸状態、意識レベルなどをこまめに観察しましょう。基本的には、いつも通り機嫌がよく、食欲があり、顔色が普通であれば大きな心配は不要です。
一方で、「子どもの意識がはっきりせずにぐったりしている」「機嫌がいつもより悪い」「食欲が低下して水分摂取できない」「顔色が悪く息苦しさを訴えている」などの場合には、最寄りの保健所やかかりつけ医に相談しましょう。
まとめ
第7波で子どもの新型コロナウイルス感染者数が増加しており、第6波のピーク時に比べると2.2倍となっていることが今回のニュースでわかりました。ケンタウロス株など新しい変異株も拡大する中で、今後も子どもたちへの感染拡大は注視する必要がありそうです。