アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」、エーザイがFDA申請完了

製薬大手のエーザイは、アルツハイマー治療薬の「レカネマブ」に関して、FDA(アメリカ食品医薬品局)への段階的承認申請を完了したと発表しました。このニュースについて武井先生にお話を伺います。
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今回のニュースの内容とは?
今回、ニュースになっている内容について教えてください。
今回のニュースは、製薬大手のエーザイがアメリカのバイオジェンと共同開発したアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」について、FDAに申請していた段階的承認を完了したという内容です。エーザイは迅速承認制度に基づいてレカネマブを申請しており、優先審査も求めています。また、エーザイとバイオジェンは別のアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」も開発しており、2021年6月にFDAが承認しています。ただ、2022年に入ってアメリカの公的医療保険当局がアデュカヌマブの保険適用を治験参加者のみに限ることを決めたほか、アデュカヌマブと同じ仕組みのアルツハイマー病治療薬についても、保険適用を制限する方針を示しています。そのため、今回申請が完了したレカネマブについても、保険適用が制限される可能性があります。
レカネマブとは?
今回、FDAへの申請が完了したレカネマブについて教えてください。
アルツハイマーはアミロイドβという老廃物が脳に溜まることで起きる病気で、アミロイドβが蓄積されていくとプロトフィブリルと呼ばれる塊になります。抗アミロイドβ薬であるレカネマブは、薬の成分がプロトフィブリルに作用して目印の役割を果たします。そこに体内の免疫細胞が集まって攻撃することになります。856人が参加したレカネマブの中期治験では、同薬の投与によってアミロイドβの減少が大半の参加者で確認されたとしています。
レカネマブに期待できる点は?
FDAの申請が完了したレカマネブに対して期待できる点を教えてください。
レカネマブはアルツハイマー型認知症の原因の1つであるアミロイドβの沈着を予防するという観点から、効果は期待できます。その一方で、認知症の病態はまだ全てが解明されていないため、投薬による認知症への効果は、まだ不透明であります。今後の病態把握や新規薬剤の1つである本薬剤の投与に関しては、副作用などの報告を待ちながら慎重に投与していくことが望ましいです。
まとめ
製薬大手のエーザイが、アルツハイマー治療薬のレカネマブに関して、FDAへの段階的承認申請を完了したことが今回のニュースで明らかになりました。申請が承認されるか、今後も注目を集めそうです。




