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不健康な食習慣は糖尿病リスクを30%高める

 更新日:2023/03/27
不健康な食習慣 糖尿病リスク30%増

アメリカのマサチューセッツ総合病院の研究グループが、「不健康な食習慣は糖尿病リスクを30%上昇させることが分かった」と発表しました。このニュースについて武井先生にお話を伺います。

武井 智昭 医師

監修医師
武井 智昭(医師)

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平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

研究グループが発表した内容とは?

今回、アメリカのマサチューセッツ総合病院の研究グループが発表した研究内容について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

今回紹介する研究は、PLOS Medicineに掲載された内容となります。アメリカのマサチューセッツ総合病院の研究グループが3万5759人のデータを分析し、遺伝的リスクおよび食習慣の質と2型糖尿病との関連を検討しました。遺伝的リスクは全体的な遺伝的リスクを示すグローバル多遺伝子スコアと、病態生理学的メカニズムを示す経路特異的多遺伝子スコアを用いて評価し、食習慣の質は「代替健康食指数(AHEI)」を用いて評価しました。

調査の結果、糖尿病リスクにおける食習慣の質と遺伝的リスクに有意な交互作用は認められませんでしたが、遺伝的リスクの程度にかかわらず健康的な食習慣に対し不健康な食習慣では2型糖尿病リスクが約30%上昇するという結果が出ました。研究グループは「遺伝的リスクと食事の質が2型糖尿病の発症と独立して関連していることを示す証拠を提供し、健康的な食事が全ての遺伝的リスクのレベルにおいて糖尿病リスクの低下と関連していることを示唆する」と結論づけています。

糖尿病とは?

今回の研究対象になった糖尿病について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

糖尿病は、インスリン不足などが原因で血糖値の上昇を抑える働きが低下してしまうため、高血糖が慢性的に続く病気です。重症になると血液中の糖が尿にあふれ出ることで甘い匂いがするためその名がありますが、診断は尿糖ではなく血糖値や1カ月の血糖の目安となるHbA1Cや口渇・多飲・多尿などの症状、妊娠糖尿病では75g経口ブドウ糖負荷試験によっておこなわれます。

糖尿病には1型と2型があります。1型はインスリン依存型とも呼ばれ、自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊されるため、インスリンの自己注射が必要です。2型はインスリン非依存型と呼ばれ、遺伝的要因に過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症します。糖尿病罹患者の多くは2型であり、日本では疑いがある人は成人の6人に1人、約1870万人にのぼっています。

発表された研究内容の受け止めは?

アメリカのマサチューセッツ総合病院の研究グループが発表した研究内容について期待できる点など、先生の受け止めを教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

2型糖尿病のみならず、1日3食を食べる食生活の見直しや運動習慣の改善こそが、血管病変を伴う糖尿病発症予防には重要です。健康寿命延伸には、こうした健康への意識を高めていく必要があります。

まとめ

アメリカのマサチューセッツ総合病院の研究グループが、不健康な食習慣は糖尿病リスク30%を上昇させることが分かったと発表しました。糖尿病は重篤な合併症が進展することで網膜症・腎症・神経障害の三大合併症のほか、心臓病や脳卒中のリスクも高まる恐れがあり、普段から健康な食習慣を続けることが重要になりそうです。

この記事の監修医師