新型コロナワクチン副反応 5~11歳は成人より少ない傾向
岡山県と岡山大学は、5〜11歳に関する新型コロナワクチン接種後の副反応調査について、成人と比べて副反応は全般的に少ない傾向がみられたという中間報告を公表しました。このニュースについて中路先生にお話を伺います。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
5〜11歳へのワクチン接種とは?
はじめに、5〜11歳への新型コロナワクチンの接種について教えてください。
中路先生
5〜11歳へのワクチン接種の対象となる人数は700万~800万人ほどで言われていて、12歳以上を対象にしたワクチンに比べると1回に接種する有効成分の量は3分の1と少なく、3週間の間隔で2回接種を受けることになります。学校での集団接種は推奨されていないため、自治体による集団接種か小児科クリニックなどでの個別接種とする方針が立てられています。ワクチンはファイザー製を使用することになり、自治体判断で基礎疾患があるなど重症化リスクの高い子どもが優先されます。費用は臨時接種に位置付けられているため公費で無料になります。現時点では予防接種法に基づく接種の努力義務は保護者に課されていません。
岡山県らが発表した内容とは?
今回岡山県らが発表した5〜11歳への新型コロナワクチンの副反応についての中間報告について教えてください。
中路先生
岡山県らの調査の目的は、ファイザー製の小児用ワクチン接種後の副反応の頻度を評価し、県民へ正確な情報提供を行うために行われたものです。調査は3、4月に岡山県内の10の医療機関でワクチン接種を受けた小児のべ626人を対象に行われました。1回目接種後の全身副反応は成人と比較しても少なく、37.5度以上の発熱は1.9%という割合でした。39度を越えた発熱があった例はなかったということです。接種部位の痛みや腫脹、全身の倦怠感の報告は多くなりましたが、症状は接種翌日までの人が最も多く、接種3日目以降まで持続する人は少ない結果となりました。複数回答可で接種を受けることを決めた理由を尋ねたところ、子どもの感染重を防ぐため(81.6%)、感染した際の重症化を防ぐため(83.6%)、園や学校などで感染が防げないため(58.8%)、後遺症を予防するため(50.8%)といった項目の割合が高くなりました。
岡山県らの中間報告への受け止めは?
岡山県らの中間報告についての受け止めを教えてください。
中路先生
岡山県と岡山大学は5〜11歳の新型コロナウイルスワクチンを接種した小児を対象とした研究で、接種後の副反応は成人と比べて、副反応は全般的に少ない傾向がみられたという中間報告を公表しました。副反応に対して解熱鎮痛剤を使用した割合も低かったとのことです。日本における新型コロナウイルスワクチンの小児への接種後の副反応について検討した貴重な研究報告と考えられます。また、小児を対象とした研究の難しさはありますが、現時点での小児のワクチン接種の判断材料となるほか、今後日本で小児へ新型コロナウイルスのワクチン接種を進めていくうえでの有用な研究報告と考えられます。
まとめ
岡山県と岡山大学が、5〜11歳に関する新型コロナワクチン接種後の副反応調査について、成人と比べて副反応は全般的に少ない傾向がみられたという中間報告を公表したことが今回のニュースでわかりました。子どもへのワクチン接種をめぐっては副反応について心配する声も少なくなく、今回の調査結果など多くの情報に触れることが重要と言えそうです。