【国内初!】心臓病患者に小型補助人工心臓をつなぐ手術を実施
国内で初めて、重い心臓病の患者に対して新たに承認された小型の補助人工心臓をつなぐ手術が大阪警察病院でおこなわれました。このニュースについて高橋先生にお話を伺います。
監修医師:
高橋 公一(医師)
今回のニュースの内容とは?
大阪警察病院でおこなわれた小型の補助人工心臓をつなぐ手術について教えてください。
高橋先生
今回、大阪警察病院は大阪府内在住の80代の男性に対して、小型の補助人工心臓をつなげる手術を国内で初めておこないました。手術に使用されたのは、2021年11月に承認されたばかりの新しい補助人工心臓となります。これはカテーテルの先端部分に長さ2cmほどのモーターを備え、肩の血管から心臓まで入れて内部の血液をモーターでくみ取って全身に送り出す機能を持っています。くみ取る血液の量は1分間に最大で5.5Lと成人男性の心臓の機能を補える性能を備えるうえ、30日間の継続使用にも耐えられるのが特徴となっています。手術の対象になった男性患者は、急性心筋梗塞に加えて大動脈解離を発症したリスクが高い状態でしたが、補助人工心臓を活用して治療を続けたところ2週間ほどで装置を取り外すまで回復したとのことです。
ニュースに対する受け止めは?
新たに承認された小型の補助人工心臓について、今回のニュースに対する受け止めを教えてください。
高橋先生
今回の症例は80代と高齢の男性で、大動脈解離に伴う急性心筋梗塞で心機能が低下した患者に対して、その機能を回復させるために使用されたと考えられます。本症例は2021年11月に承認された小型の補助人工心臓を使用することで、心筋を保護し、その機能を回復させて2週間ほどで装置を外すことができています。このことによって今後、補助人工心臓の使用適用は、より重篤な基礎疾患や合併症がある患者さんの術前・術後での使用へと広がっていくでしょう。
小型の補助人工心臓のメリットは?
小型の補助人工心臓を利用するメリットについて教えてください。
高橋先生
装置がより小型化することによって、その装置をつけながら自宅での療養や社会復帰が可能となっています。さらに、今回の症例のような大動脈解離に合併した急性心筋梗塞という重症心臓血管病変に対して、心機能を回復するために補助人工心臓を使用するという適応が増えれば、その患者さんの全身状態をより安定させるために補助人工心臓を使うという選択肢も増えるでしょう。
まとめ
大阪警察病院で、重い心臓病の患者に新たに承認された小型の補助人工心臓をつなぐ手術が国内で初めておこなわれたことが今回のニュースで明らかになりました。患者の体の負担が少ない小型の補助人工心臓に今後も注目が集まりそうです。