ノババックス製コロナワクチンを薬事承認【医師解説】
アメリカの製薬会社ノババックスが開発した新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省が18歳以上を対象に使用することを正式に承認しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
今回のニュース内容とは?
今回、ニュースとして取り扱われている内容について教えてください。
中路先生
厚生労働省が4月19日、アメリカの製薬会社ノババックスが開発した新型コロナウイルスワクチンについて、18歳以上を対象に使用することを正式に承認しました。承認された新型コロナウイルスワクチンは国内では4種類目で、接種期間は、1回目から3週間空けて2回目を接種、さらに6カ月以上空けて3回目の接種をできるようにする予定とのことです。なお、国内生産のワクチンとしてはアストラゼネカ製に続いて2種類目となります。今後、約1年間で1億5000万回分が日本政府に供給される契約で、早ければ5月末に接種が始まる見込みです。
ノババックス製ワクチンとは?
ノババックス製ワクチンについて教えてください。
中路先生
これまで国内で使われていたファイザー製やモデルナ製はmRNAワクチンというタイプ、そしてアストラゼネカ製はウイルスベクターワクチンというタイプのワクチンでした。今回、新たに承認されたノババックス製のワクチンは、組み換えタンパクワクチンという種類になります。これは遺伝子組み換え技術を使って、ウイルスの表面にあるスパイクタンパク質を人工的に作り出して使用するワクチンで、人工的に作ったスパイクタンパク質そのものを投与して免疫の反応を引き起こします。組み替えタンパクワクチンは、帯状ほう疹やB型肝炎などのワクチンでも実用化されています。ノババックスがアメリカとメキシコで2020年12月から2021年2月までに18歳以上のおよそ3万人を対象におこなった臨床試験によると、3週間空けて2回接種を受けた後では、発症を予防する効果が90.4%、中等症や重症を防ぐ効果は100%という結果が出ています。また、臨床試験当時多く見られたアルファ株やベータ株などに対する発症予防効果は92.6%だったそうです。
新型コロナウイルス対策に与える影響は?
新たに4種類目のワクチンが承認されたことで、新型コロナウイルス対策にどのような影響を与える可能性があるのか教えてください。
中路先生
ノババックス製の新型コロナウイルスワクチンは、「組み換えタンパクワクチン」で、これまでのファイザー製やモデルナ製ワクチンとは製造方法が異なるタイプです。これまでワクチンにアレルギーがあり接種が困難な人やmRNAワクチンを接種することに抵抗がある人などへの接種も可能で、ワクチン接種が必要なのにワクチン接種が困難であるという、いわゆるアンメットニーズに対応できるワクチンとして接種率の向上に寄与するものと考えられます。
まとめ
アメリカの製薬会社ノババックスが開発した新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省が18歳以上を対象に使用することを正式に承認したことが今回のニュースでわかりました。これまで承認されたものとは別タイプのワクチンということもあり注目を集めそうです。