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筋トレで糖尿病やがんのリスク低下! ただし、やりすぎには注意

 更新日:2023/03/27

東北大学らの研究グループは、筋力トレーニングと全死亡や心血管疾患、がん、糖尿病などとの関連について解析を実施したところ、日常的に筋力トレーニングを実施しているグループではこれらのリスクが10~17%低かったという結果が出たと発表しました。このニュースについて河合医師に伺いました。

河合 隆志 医師

監修医師
河合 隆志(医師)

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慶應義大学理工学部卒業、同大学院修士課程修了。東京医科大学医学部卒業。東京医科歯科大学大学院博士課程修了。その後、愛知医科大学学際的痛みセンターなどに研修・勤務。2016年、愛知県名古屋市に「フェリシティークリニック名古屋」を開院。原因不明の痛みに悩まされている患者さんの「最後の砦」であると自負し、対症療法でなく痛みを根本的に治す治療を試みている。医学博士。日本整形外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医・リハビリテーション医ほか。著書に、見るだけでしつこい痛みがすーっと消えるすごい写真(アスコム)、医者が考案した腰痛がラクになる「酸素たっぷり呼吸法」(笠倉出版社)など。

東北大学らの研究グループが発表した内容とは?

東北大学らの研究グループが発表した研究内容について教えてください。

河合 隆志 医師河合先生

今回の研究は、東北大学大学院運動学分野講師の門間陽樹氏らの研究ループによるものです。これまで筋トレを日常的におこなうことは、死亡や心血管疾患(CVD)などの非感染性疾患(NCD)のリスクが減少しているとの報告がありましたが、有酸素運動と比べて、早期死亡やNCDの予防における筋力トレーニングの効果が検討される機会は少ない状態でした。

そこで研究グループは今回、18歳以上の成人を対象に筋力トレーニングと死亡およびNCDとの関連について検討した解析を実施。基準を満たした研究16件のデータを抽出し解析したところ、筋力トレーニングを全く実施していないグループと比べて筋力トレーニングを実施しているグループでは全死亡、CVD、全がん、糖尿病、肺がんのリスクが10~17%低いことが示されたということです。一方で、筋トレと大腸がん、腎がん、膀胱がん、膵がんの間に関連は認められませんでした。

また、筋力トレーニングと全死亡、CVD、全がんのリスクの間には関連が認められ、週に約30~60分の筋力トレーニングを実施した場合に最もリスクが低くなり、約10~20%のリスク低下が見られました。そして、週に130~140分を超えるとこれらのリスクが上昇に転じることが明らかになったそうです。一方、筋力トレーニングと糖尿病リスクの間にも関連が認められ、筋力トレーニングの時間が週に60分に達するまで大幅な糖尿病リスクの低下が認められ、60分を超えてもリスクは低下していたということです。

今回の発表の受け止めは?

今回の発表の受け止めを教えてください。

河合 隆志 医師河合先生

まず、筋力トレーニングを実施しているグループにおいて全死亡、CVD、全がん、糖尿病、肺がんのリスクが低下すると示されたことに、大変意義があると考えます。また、筋力トレーニングをたくさんおこなえばいいというものでもなく、適切な時間が示唆されているのも、重要と思います。

今回の内容は治療現場でどう活かせる?

今回発表された研究内容は、治療現場でどう活かせるのでしょうか?

河合 隆志 医師河合先生

患者さんへの健康指導をおこなうにあたって、筋力トレーニングにより全死亡、CVD、全がん、糖尿病、肺がんのリスクが低くなるというエビデンスをお伝えすることで、筋力トレーニングへの動機づけに活かせると考えます。適切な時間についでも、ご説明したく思います。患者さんご自身も、よりやりがいを持って取り組めるようになるのではないでしょうか。

まとめ

東北大学らの研究グループによる研究で、筋力トレーニングと全死亡や心血管疾患、がん、糖尿病などとの関連について解析を実施したところ、日常的に筋力トレーニングを実施しているグループではこれらのリスクが10~17%低かったという結果が出たことが明らかになりました。一方やりすぎると逆にリスクが上がってしまう疾患もあるとのことで、適度なトレーニングが健康のためには重要になりそうです。

この記事の監修医師