厚生労働省「濃厚接触者特定などを必ずしもおこなう必要はない」
厚生労働省は全国の自治体に対して、「企業などで感染者が出た場合、濃厚接触者の特定などを必ずしもおこなう必要はない」との通知を出しました。このニュースについて工藤医師に伺いました。
監修医師:
工藤 孝文(医師)
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
厚生労働省の通知内容とは?
厚生労働省が自治体に対しておこなった通知の内容について教えてください。
工藤先生
今回の通知は、3月16日に各自治体の衛生主管部宛に出されたものです。この通知の中では、これまで企業などの事業所で感染者が出た場合、保健所や事業所が濃厚接触者の調査をして原則7日間の自宅待機を求めていました。それが今回の通知で、「濃厚接触者の特定や一律の行動制限は必ずしもおこなう必要はない」という新しい方針が示されました。この方針の対象には中学校や高校、大学も含まれます。なお、5人以上の感染が発生した際は、濃厚接触者の特定や行動制限をおこなう方針です。
一方、医療機関や高齢者施設、障害者施設、それに家庭内の感染については、濃厚接触者の特定や行動制限を求めるとしています。また、保育所や幼稚園、小学校での感染への対応は、自治体ごとに方針を決めるとしています。さらに、濃厚接触者の自宅待機は陽性者と最後に接触した日から4日目と5日目の抗原検査で陰性だった場合は、5日目に待機を解除できることになりました。
通知内容についての受け止めは?
今回出された通知に対する受け止めを教えてください。
工藤先生
感染や重症化のリスクが高いところに資源を投入するための施策とのことですが、感染が急拡大したときにも医療のひっ迫をなるべく抑えられるため、個人的には有意義だと考えます。
新型コロナウイルス対策と経済活動の維持のバランスについて留意する点は?
新型コロナウイルス対策と経済活動の維持のバランスについて留意する点を教えてください。
工藤先生
新型コロナウイルス収束の糸口が見えない中、「withコロナ」を見据えた施策は必須です。そのため、今回のように経済活動をなるべく止めないルール作りは必要だと考えられます。経済をうまく回すためには、やはり個々人が感染対策をおこない、症状があれば行動を自粛するといった個々人の当事者意識が重要です。
まとめ
厚生労働省が全国の自治体に対して、企業などで感染者が出た場合、濃厚接触者の特定などを必ずしもおこなう必要はないとの通知を出したことが、今回のニュースで明らかになりました。新型コロナウイルス対策と経済活動維持の両立については引き続き注視する必要がありそうです。