【新型コロナウイルス】ファイザー製飲み薬「パキロビッドパック」承認
後藤厚生労働大臣は、アメリカの製薬大手ファイザー社が開発した新型コロナウイルスの飲み薬「パキロビッドパック」を国内で使用することを了承したと発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
後藤厚生労働大臣が発表した内容とは?
後藤厚生労働大臣が発表した内容について教えてください。
中路先生
後藤厚生労働大臣は、厚生労働省の専門家部会でファイザー社が開発した新型コロナウイルスの飲み薬である「パキロビッドパック」を国内で使用することを了承したと発表しました。新型コロナウイルスの飲み薬はすでにメルク社が開発した「ラゲブリオ」が承認されていて、今回が2種類目になります。
政府は今年中にパキロビッドパックを200万人分購入することでファイザー社と最終合意しています。2月27日まではおよそ2000の主要な医療機関での院内処方と、これらの医療機関と連携可能な地域の薬局で試験的な取り組みをおこなったうえで2月28日以降、全国の医療機関で処方できるようにするということです。重症化リスクのある新型コロナウイルス患者を対象とした臨床試験では、入院または死亡のリスクが発症後3日以内に投与した場合は89%、5日以内では88%減少したという結果が出ています。
服薬の対象は?
パキロビッドパックの服薬対象を教えてください。
中路先生
パキロビッドパックの服用対象は、新型コロナウイルスに感染した人のうち12歳以上で、かつ重症化リスクのある患者となります。2種類の薬を1日2回、5日間服用します。服用開始のタイミングは発症後、5日以内にできるだけ早くということです。添付文書では、HIVに感染している人や腎機能や肝機能に障害のある人、妊婦、授乳中の女性などは服用に注意するか、服用しないよう求めています。また、厚生労働省は、高血圧や高脂血症、不眠症などの治療に使われる39種類の薬や食品を使用している人に対するパキロビッドパックの服用を認めていません。
新型コロナウイルスの飲み薬の選択肢が増える意義は?
今回の承認により、国内で使用できる新型コロナウイルスの飲み薬は2種類に増えましたが、選択肢が増える意義を教えてください。
中路先生
ファイザー製の新型コロナウイルス治療薬パキロビッドパックの承認は、重症化のリスクのある高齢者や基礎疾患のある患者への治療の選択肢が増え、我が国の新型コロナウイルス対策に寄与する意味は大きいと考えられます。ただし、前述のごとく併用薬には注意が必要で、高血圧や高脂血症の治療薬など併用できない薬があり、全ての服薬内容の確認が必要です。今後、ほかの新型コロナウイルス治療薬を含めた薬剤適応の順番に関するアルゴリズムに関しても議論されるべきと考えられます。
まとめ
ファイザー社が開発した新型コロナの飲み薬「パキロビッドパック」の国内での使用が承認されたことが今回のニュースでわかりました。39種類の薬や食品を使用する人が服用できないことなどから慎重に使用する方針が示されていますが、臨床試験では高い効果が示されており、今後も注目を集めそうです。