エッセンシャルワーカーの濃厚接触者、待機期間を最短5日目に解除へ
新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者について、これまで最短6日目で解除していたエッセンシャルワーカーの待機期間を、陰性が確認されれば5日目に短縮できると厚生労働省が発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
厚生労働省の発表の内容とは?
今回、厚生労働省が発表した内容について教えてください。
中路先生
今回の発表は1月28日におこなわれたもので、新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者の待機期間の変更が明らかにされました。医療や介護など社会機能を支えるエッセンシャルワーカーはこれまで最短6日目で待機期間が解除されていましたが、今回の発表で検査によって陰性が確認されれば5日目に短縮できることになりました。
感染拡大で濃厚接触者が急増していることから、一部地域では社会活動の維持が難しくなっていることが今回の待機期間短縮の背景となっています。厚生労働省によると、待機期間の4~5日目に抗原検査キットで検査し、2回とも陰性が確認できれば無症状の場合に限って自治体の判断で出勤できるようになるということです。
エッセンシャルワーカー以外の濃厚接触者に定められる待機期間についても、これまでの10日間から7日間に短縮されました。ただし、10日間は検温などで健康状態を確認するよう求められることになります。
海外でのエッセンシャルワーカーめぐる対応は?
今回発表されたエッセンシャルワーカーをめぐる対応ですが、海外ではどのような対応がおこなわれているのでしょうか?
中路先生
現在ヨーロッパでも、オミクロン株による急速な感染拡大が続いています。そのため、ECDC(欧州疾病予防管理センター)は、社会機能の維持が難しくなるのを防ぐためにエッセンシャルワーカーの隔離期間を状況に応じて短縮できるとする指針をEU(ヨーロッパ連合)の加盟国に示しました。
医療が極度にひっ迫した状況においては、医療や公共交通機関の従事者、それに警察官などが感染した場合でも、ワクチンの追加接種をすでに受けているなど一定の条件を満たしていれば、隔離期間を3日間に短縮できるとしています。このように社会機能を維持するための対応は、海外でも重要視されています。
厚生労働省の発表内容についての受け止めは?
濃厚接触者となったエッセンシャルワーカーの待機期間の短縮についての受け止めを教えてください。
中路先生
現在流行中のオミクロン株の特性を考慮して、短期間の待機で職場復帰を果たすことで感染拡大による社会機能不全を未然に予防するという意味では許容されるべきと考えられます。しかし、これで全てのクラスターなどの感染リスクを排除することは困難で、常に数%の感染リスクは負っていることは認識すべきと考えられます。今後も家庭内・職場での基本的感染予防対策を怠らないことが肝要です。
まとめ
エッセンシャルワーカーが新型コロナウイルスの濃厚接触者となった際の待機期間が、陰性が確認されれば5日目に解除できるようになったことが今回のニュースでわかりました。社会機能を維持するエッセンシャルワーカーをどう確保していくのか、今後も注目が集まります。