【新型コロナウイルス】モデルナ社製ワクチンの3回目接種を承認
新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種が12月から始まる中、厚生労働省はモデルナ社製のワクチンの使用を承認しました。このニュースについて工藤医師に伺いました。
監修医師:
工藤 孝文(医師)
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
今回承認された内容とは?
まず、今回承認された内容について教えてください。
工藤先生
今回の承認は厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の専門部会でおこなわれたもので、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種でモデルナ社製ワクチンの使用を承認するというものです。
対象年齢は18歳以上としていて、2回目までの半分の量を接種することになります。今回の承認は緊急時に審査を簡略化できる特例承認に基づいて正式に薬事承認されることになります。3回目の接種では、2回目までと違うワクチンを打つ「交互接種」も認められています。なお、3回目の接種については、すでにファイザー社製のワクチンが承認されています。
交互接種の効果は?
2回目までと3回目で異なるメーカーのワクチンを接種する、交互接種の有効性はどの程度あるのか教えてください。
工藤先生
18歳以上を対象にアメリカでおこなわれた研究結果によると、3回ともモデルナ社製を接種した場合は3回目の接種から15日目の中和抗体値が接種前に比べて10.2倍に上昇しました。それに対して、2回目までファイザー社製のワクチンを接種した人が3回目でモデルナ社製を接種した場合は中和抗体値が、およそ31.7倍に上昇したということです。
しかし、注意しないといけないのは、アメリカでは3回の接種とも同じ量を接種していますが、日本はモデルナ社製で3回目の接種をでおこなう場合は、2回目までの半分の量で接種することになっています。厚生労働省は、3回目に半分の量で交互接種をおこなった場合の有効性に関するデータを現時点では示していません。
モデルナ社製のワクチン承認で期待できることは?
ファイザー社製に加えてモデルナ社製のワクチンも承認されたことで、新型コロナウイルス対策にどのような期待ができるのでしょうか?
工藤先生
承認されたワクチンの種類が増えることにより、単純計算で2倍のワクチンが使用可能になるので、供給の問題が大きく軽減されます。そのため、前倒しでの接種や接種範囲の拡大も可能になるでしょう。
また、別のワクチンを接種することにより、効果が高まる可能性が示唆されています。感染によるリスクが高い人には、別の種類のワクチンを接種することで感染の可能性を下げるという柔軟な考え方も、今後出て来る可能性があります。
まとめ
今回の承認により、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種にモデルナ社製ワクチンも使用できるようになりました。厚生労働省は都道府県に対して、在庫となっているモデルナ社製のワクチンがあれば医療従事者への接種にも配分できると周知しています。