オミクロン株向けのPCR試薬を開発
タカラバイオと島津製作所が、それぞれ新型コロナウイルスのオミクロン株を検出するためのPCR検査試薬を開発したと発表しました。このニュースについて工藤医師に伺いました。
監修医師:
工藤 孝文(医師)
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
両社の発表内容とは?
まず、今回タカラバイオと島津製作所がそれぞれ発表した内容について教えてください。
工藤先生
タカラバイオと島津製作所の2社がそれぞれオミクロン株を検出するためのPCR試薬を開発したと発表しました。
両社が開発した試薬は、ウイルスの表面にあるスパイクタンパクのE484Aという変異を検出するものになります。オミクロン株は変異部位が異なることがあり、この試薬のみで全てを判断することは難しく、島津製作所によると検出率は5~6割だそうです。タカラバイオについてはE484Aのほかに、オミクロン株の特徴とされるスパイクタンパクのG339Dの変異を検出する試薬の受注も併せて始めます。
島津製作所は12月下旬から受注開始予定、タカラバイオは12月15日から受注を始めています。
試薬が開発されたことでどのような影響がある?
オミクロン株を検出するためのPCR検査試薬が開発されたことで、どのような影響があるのでしょうか?
工藤先生
これまで、デルタ株とオミクロン株を識別することは容易ではありませんでしたが、PCR検査試薬の普及でより簡便な識別が可能になるでしょう。
また、そのほかの抗原検査などと比べて迅速な検査が可能なので、検査に関するハードルも低くなるでしょう。ただし、検出率をみると確実性には欠けることから、ほかの検査方法と組み合わせての検査が必要になると考えられます。
オミクロン株の感染拡大を防ぐことで重要なことは?
世界的に感染拡大が続くオミクロン株ですが、日本国内の感染拡大を防ぐために重要なことはなんでしょうか?
工藤先生
オミクロン株は従来のウイルスよりも感染力が強いことが報告されています。これまでの感染対策(3密の回避やマスクの正しい着用など)を継続することが大切です。国内での感染も確認されているので、今後も気を抜かないで取り組む必要があるでしょう。
まとめ
国内2社がそれぞれ新型コロナウイルスのオミクロン株を検出するためのPCR検査試薬を開発したことが今回のニュースで明らかになりました。今後、国内の感染確認数がどのように推移していくのか注目が集まります。