コロナウイルス後遺症の医療関係者向け手引きを公開
新型コロナウイルス感染後の後遺症について、厚生労働省は診療のポイントや患者への対応方法などをまとめた医療関係者向けの手引きを公表しました。このニュースについて上医師に伺いました。
監修医師:
上 昌広(医師)
今回報じられた内容は?
まず、今回報じられた内容について教えてください。
上先生
厚生労働省が、新型コロナウイルスの後遺症についての診療のポイントや患者への対応方法などをまとめた医療関係者向けの手引きを公表しました。
今回の手引きは、感染症の専門家などで組織されている委員会が暫定版としてまとめたもので、12月1日に開かれた厚生労働省の専門家会合で示されました。後遺症については明らかになっていない点が多いものの、一部の患者において様々な後遺症が起こることが分かってきたとして、こうした症状を「罹患(りかん)後症状」と名付けています。
後遺症の医療関係者向け手引きの内容とは?
新型コロナウイルス後遺症の医療機関向け手引きには、どのような内容が書かれているのでしょうか?
上先生
手引きは医師らで構成される罹患後症状のマネジメント編集委員会が、2021年11月26日の情報をもとに作成しました。
(1)罹患後症状、(2)罹患後症状を訴える患者へのアプローチ、(3)呼吸器症状へのアプローチ、(4)循環器症状へのアプローチ、(5)嗅覚・味覚症状へのアプローチ、(6)精神・神経症状へのアプローチ、(7)“痛み”へのアプローチ、(8)小児へのアプローチ、(9)罹患後症状に対するリハビリテーション、(10)罹患後症状と産業医学的アプローチの10項目に分かれています。
今回定義された罹患後症状については「感染症は消失したにもかかわらず、ほかに明らかな原因がなく、急性期から持続する症状や、あるいは経過の途中から新たに、または再び生じて持続する症状全般をいう。罹患後症状が永続するかは不明である」とされています。
代表的な症状としては、咳や痰(たん)、倦怠感、関節痛、筋肉痛、息切れ、胸痛、記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抗うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛が挙げられています。各症状へのアプローチでは文章だけでなく、フローチャートなども添付してわかりやすく説明しています。
この手引きの有用性は?
医療従事者の立場から見て、今回発表された手引きはどれくらい有用性があるものなのでしょうか?
上先生
罹患後症状の実態や治療については、十分に研究が進んでいません。しかし「罹患後症状の手引き」は、現状が簡潔にまとまっており、多くの臨床医にとって有用と考えます。
まとめ
コロナウイルスの後遺症について、厚生労働省がはじめて医療関係者向けの手引きを公表したことが今回のニュースでわかりました。医療関係者だけでなく、一般の人々が見ても役に立つ情報が掲載されているので一度手引きを確認してもいいかもしれません。