新型コロナウイルス変異株「ミュー株」、感染を防ぐ中和抗体の効果を大きく減少させる
東京大学などの研究チームは、新型コロナウイルスの変異株「ミュー株」が、感染を防ぐ中和抗体の効果を大きく減少させることを明らかにしました。この発表について上医師に伺います。
監修医師:
上 昌広(医師)
目次 -INDEX-
今回の発表内容とは?
今回、発表された内容について教えてください。
上先生
この研究は東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授らのグループによりアメリカの医学雑誌、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表されたものです。
グループでは、新型コロナウイルスの変異株であるミュー株の特徴を研究室で再現して、ファイザー製のワクチンを接種した人の血液に含まれる抗体がどれだけ反応するかを実験したそうです。
その結果、ミュー株のウイルスの働きを抑えるのに必要な抗体の量は従来のウイルスに比べ9.1倍多くなっていて、抗体の働きが低下していることが分かりました。
変異株「ミュー」とは?
変異株「ミュー」について教えてください。
上先生
ミュー株は、2021年1月に南米のコロンビアで初めて確認されて以降、南米やヨーロッパで感染が確認されたもので、WHOは「注目すべき変異株」に分類しています。
日本では、検疫で2例検出されています。特にコロンビアとエクアドルで増加傾向にあるとのことです。
ワクチンの効果への影響は?
ミュー株の存在が、ワクチンの効果に影響する可能性はあるのでしょうか?
上先生
ミュー株が拡大した場合、ワクチンの効果が減少することが予想されます。また、感染者が増えると同時に、重症者や死者も増えるでしょう。
ミュー株を拡大させないように検査体制の強化が必要と考えられます。
まとめ
ウイルスの働きを抑えるのに必要な抗体の量が従来のウイルスに比べ9.1倍多くなっていて、抗体効果の低下を引き起こしていることがわかった新型コロナウイルスの変異株であるミュー株。WHOも「注目すべき変異株」に指定しているいるだけに今後も研究の進行が期待されます。