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魚介類やきのこ、大豆などの日本食が認知症リスクを下げる可能性、「日本食スコア」が認知症予防のカギに

 更新日:2023/03/27

国立長寿医療研究センターは、日本食スコアと言われる日本食の食事パターンが認知症などと関連することを発見したと発表しました。この発表について前田医師に伺います。

前田孝文 医師

監修医師
前田 孝文(医師)

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京都府立医科大学卒業。その後、国内外複数の病院の勤務を経て、2012年より「辻仲病院柏の葉」にて骨盤臓器脱専門外来・便秘外来を担当、現在は臓器脱センター医長として勤務。日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医(一般外科:大腸)、消化器癌外科治療認定医身体障害者福祉法指定医(ぼうこう又は直腸機能障害、小腸機能障害)。

今回の発表内容とは?

今回、国立長寿医療研究センターが発表した内容について教えてください。

前田孝文 医師前田先生

今回発表された研究は、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが東北大学、久留米大学などと協力して行ったものです。その結果、日本食の食事パターンと腸内細菌や認知症との関連を発見しました。

日本食スコアが下がった人の方が認知症になりやすく、上がった人は認知症になりにくかったという結果で、魚介類やきのこ、大豆、コーヒーを多く摂取していたということです。また、これらの食品摂取が多いと腸内細菌の代謝産物濃度が低い傾向が出ました。

日本食スコアとは?

今回の発表にあった、日本食スコアについて教えてください。

前田孝文 医師前田先生

米飯、味噌、魚介類、緑黄色野菜、海藻類、漬物、緑茶、大豆類、果物、きのこ類などの食品を「プラス1点」、逆に牛肉、豚肉、コーヒーなどの食品を「マイナス1点」として、これらを積み上げて算出する指標です。

伝統的日本食スコア(米、味噌、魚介類、緑黄色野菜、海藻類、漬物、緑茶、牛肉・豚肉、コーヒーの9品目の摂取状況)」と「現代的日本食スコア12品目」の2つに設定されています。

現代的日本食スコアは米、味噌、魚介類、緑黄色野菜、海藻類、漬物、緑茶がプラスポイント、牛肉・豚肉、コーヒーはマイナスポイントの計9品目、JDI9に大豆・大豆製品、果物、きのこの3品目をプラスポイントで追加の計12品目の摂取状況で算出します。

なぜ日本食スコアが高いと、認知症になる割合が低くなるのか?

なぜ、日本食スコアが高いと、認知症になる割合が低くなるのでしょうか?

前田孝文 医師前田先生

日本食スコアが高い人は野菜や果物、魚の摂取量が多く、抗酸化作用や抗炎症作用によって認知症になる割合が低くなるのかもしれません。また、日本食スコアに含まれる食品を栄養とする腸内細菌が腸の中で増えることで、それらの腸内細菌が作り出す代謝産物が認知症になりにくくしている可能性も考えられます。

今回の研究では、日本食スコアが高い人は認知症リスクが下がることがわかりましたが、その理由はまだはっきりわかっていません。今後の研究で理由が判明することによって、認知症の予防や治療に役立つかもしれません。

まとめ

日本食が健康にいいというデータは既に報告されていますが、腸内細菌や認知症との関連を示したデータはありませんでした。日本食と腸内細菌、認知機能が関連する機序の解明は、認知症の新しい予防方法の糸口になるかもしれません。

この記事の監修医師