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認知症の人が入院する際の注意点は? 入院可能な病院の選び方や注意点について

 更新日:2023/12/08
認知症の人が入院する際の注意点は? 入院可能な病院の選び方や注意点について

認知症は、家族や友人の記憶が少しずつ薄れていく深刻な病気です。しかし、多くの人が正しい知識を持たず、どのように対応すべきか悩んでいます。さらに、認知症の方で入院が必要となった場合、どこに相談すればいいのか分からない、という人もいらっしゃるのではないでしょうか? 本記事では、認知症の初期症状から進行過程、そして入院の際の適切な病院選びや入院後のケアに至るまで、介護福祉士の若山さんに解説してもらいました。

若山 慎吾

監修介護福祉士
若山 慎吾(介護福祉士)

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介護福祉士として10年にわたる介護の現場経験を持ち、現在は特別養護老人ホームにてユニットリーダーを務める。また、実務に基づいた豊富な知識と経験を活かし、福祉ライターとしても多くのメディアで監修や執筆を手掛けている。専門家としての知見を分かりやすく伝えることを重視し、介護に関わる全ての人々が質の高い情報にアクセスできるよう、日々執筆活動に励んでいる。

認知症の症状にはどんなものがある?

認知症の症状にはどんなものがある?

編集部編集部

認知症の症状にはどのようなものがありますか?

若山 慎吾さん若山さん

認知症の主な症状としては、記憶障害や理解力と判断力の低下があります。これらは「中核症状」と呼ばれるもので、さらに人によって異なる「行動・心理症状(BPSD)」も存在します。例えば「今いる場所がわからない」「トイレに失敗する」といった症状は中核症状です。一方で、不安や「うつ」、睡眠障害などは行動・心理症状と呼ばれています。また、認知症には「アルツハイマー型」「血管性」「レビー小体型」と、さまざまな種類があります。それぞれ特有の症状もあり、認知症の症状は非常に複雑です。日常生活の中で、少しでもおかしいなと感じたら早めに受診しましょう。

編集部編集部

初期段階で見られる症状にはどのようなものがありますか?

若山 慎吾さん若山さん

初期段階では、記憶力の低下、時間や場所がわからなくなる見当識障害などの症状が見られます。これらは日常的な物忘れと混同されやすいですが、認知症では物忘れの自覚がないことが特徴的です。認知症は進行性の病気ですが、早期発見と適切な介護や治療により、症状の進行を遅らせることができます。

編集部編集部

認知症の進行によって症状はどのように変化しますか?

若山 慎吾さん若山さん

初期の物忘れから始まり、中期になると「記憶障害」がさらに進み、家族や友人など親しい人の名前や顔が思い出せなくなります。後期にさしかかると忘れていることが自覚できない、物事への関心が持てない、生活の意欲が低下するといった症状がみられます。最終的には、運動機能が低下して寝たきりになるという可能性も少なくありません。

認知症の人でも入院できる病院はある 病院の特徴は?

認知症の人でも入院できる病院はある 病院の特徴は?

編集部編集部

認知症の方でも受け入れてくれる病院にはどんな特徴があるのでしょうか?

若山 慎吾さん若山さん

認知症の方を受け入れる病院には、精神科病院認知症疾患医療センターがあります。これらは、認知症の診断や治療、医療相談などを専門に行う病院です。認知症疾患医療センターは、各自治体が指定した総合病院や大学病院などに設置されています。また、老人性認知症疾患療養病棟のある病院では、患者一人ひとりに十分なスペースを確保し、日中は1部屋ごとに、夜間は2部屋ごとに介護職員または看護職員を配置しています。

編集部編集部

どのような場合に入院が必要になるのでしょうか?

若山 慎吾さん若山さん

自宅での生活が困難になった場合や、介護施設から退居しなければならなくなった際に、病院への入院が検討されることが多いようです。特に、日常生活に大きな支障が出るほどの精神症状や行動障害が見られる場合や、ほかの病気が合併しているときには入院が必要になるケースが多くみられます。

編集部編集部

認知症の患者さんが入院すると、具体的にどのような治療を受けるのでしょうか?

若山 慎吾さん若山さん

入院した認知症の患者さんは、まず詳細な診断を受けた後、認知症の種類や症状の重さに応じた薬物療法が行われます。また、患者さんの混乱や不安を軽減するために、環境調整や日中活動の支援が行われます。治療病棟では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた個別ケアが提供され、必要に応じて心理・社会的なサポートやリハビリテーションが提供されます。

症状によっては退院を求められることもある? 退院の場合の対応方法は?

症状によっては退院を求められることもある? 退院の場合の対応方法は?

編集部編集部

認知症の患者さんが退院を求められることはあるのでしょうか?

若山 慎吾さん若山さん

一般的な病院では、認知症の患者さんが退院を求められることはあります。特に、徘徊や暴力・暴言など、認知症の症状によって対応が困難と判断された場合、一般の病院では入院を断られることがあります。その場合は、認知症専門の病院へ転院を検討しましょう。また、骨折や急病などで救急搬送された場合に入院となった場合は、その治療が終われば退院を促されることもあります。

編集部編集部

退院後、どのようなサポートが考えられますか?

若山 慎吾さん若山さん

退院後のサポートとしては、地域包括支援センターへの相談が有効です。早期に適切な受診を行い、退院後の居場所を見つけることが大切です。例えば、認知症専門の病院や、介護施設、在宅介護サービスなど、患者さんの状態に応じたさまざまなサポートを受けることができます。また、病院の看護師に相談し、必要な介護や対応について確認することも重要です。

編集部編集部

退院が決まった場合、患者や家族はどう対応すべきですか?

若山 慎吾さん若山さん

退院が決まった場合、患者さんや家族は退院後の生活に必要な準備を進めましょう。これには、在宅での生活が可能かどうかの評価、必要な介護サービスや医療機器の手配、住環境の調整が含まれます。認知症の方の場合、日常生活を送るための支援や介護計画を事前に立てておくことが望ましいです。また、認知症のサポートを提供する地域のサービスを利用することも考慮に入れると良いでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

若山 慎吾さん若山さん

認知症と診断されると、患者さんも家族も不安に感じることが多いでしょう。しかし、一人で抱え込まずに、積極的に地域の支援を活用してください。認知症の方々が安心して生活できるようなサポートが提供されています。治療やケアの選択肢、介護費用の負担軽減方法など、情報を得る手段は多くあります。病院や介護施設、地域包括支援センターなど、様々な施設が皆さんの援助を行います。不安な気持ちを少しでも和らげ、希望を持って日々を過ごすためにも、ぜひこれらの相談窓口を活用しましょう。

編集部まとめ

認知症は進行性の病で、記憶障害や判断力の低下などが中核症状として現れます。早期に気づくことで、症状の進行を遅らせる可能性があります。また、認知症の方でも入院することは可能で、精神科病院や認知症疾患医療センターなどで適切な治療を受けましょう。退院が決まったら、地域の支援センターへ相談のうえ、適切な介護計画を事前に立てることが重要です。認知症についての理解を深め、必要なサポートを得られるようにしましょう。

この記事の監修介護福祉士