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新型コロナ、米製薬大手メルクの飲み薬を年内調達へ

 更新日:2023/03/27

米製薬大手メルクが開発を進める新型コロナウイルス感染症の飲み薬について、日本政府が年内にも特例承認し、調達する方向で同社側と協議に入ったというニュースが注目を集めています。このニュースについて工藤医師に伺います。

工藤 孝文 医師

監修医師
工藤 孝文 医師

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みやま市工藤内科 院長・糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方治療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が現在人気を集めている。 
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

メルク社が開発進める飲み薬の効果は?

メルク社が開発を進める飲み薬の効果について教えてください。

工藤 孝文 医師工藤先生

今回話題になっている飲み薬は「モルヌピラビル」という名前の治療薬になります。メルク社が米生物医薬品企業リッジバック・バイオセラピューティクスと共同で開発したもので、患者775人を対象に後期臨床試験を実施しました。検査では約半数の患者にモルヌピラビルを、残りの患者には偽薬を5日間投与しました。その結果、29日目までに入院した割合は、偽薬を投与されたグループでは14.1%に上ったのに対し、モルヌピラビルを投与された患者では7.3%と、およそ半分に減少したというデータが得られました。また、偽薬投与グループでは8人が死亡しましたが、モルヌピラビルを投与されたグループで死者は出ませんでした。有効性は感染力の強いデルタ株を含む変異株に対しても維持され、安全性も高いとされています。

対象になる人は? 飲み方は?

モルヌピラビルの対象になる人と飲み方について教えてください。

工藤 孝文 医師工藤先生

今回の臨床試験は発症から5日以内の患者の方を対象として行われましたので、発症から早い段階で飲むと効果があると考えられます。日本国内で承認された際には、対象患者などの指針も提示されると思うので、そこに従った運用になるかと思います。飲み方としては1日2回、5日間服用することになります。このことで体内でウイルスの増殖を抑え、重症化を防ぐ効果があるとされています。

承認されると新型コロナウイルスをとりまく環境はどう変わる?

モルヌピラビルが承認されると新型コロナウイルスをとりまく環境はどう変わりますか?

工藤 孝文 医師工藤先生

新型コロナ感染者の治療が飲み薬で行えるようになれば「ポストコロナ」への足掛かりになることは間違いないと考えられます。日本でもこの治療薬が積極的かつ有効に活用されるようになるには、感染初期の軽症患者への治療をいかに早く対応できるかが課題となるでしょう。

まとめ

メルク社は10月中に臨床試験を終えて、11月にも米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する方針で、認められれば世界初の軽症者向け経口薬となります。先日実施された、抗体カクテル療法と合わせて活用することで新型コロナウイルス感染者への有効な治療手段になることが期待されます。

この記事の監修医師