【厚生労働省発表】インフルワクチンの供給遅れでコロナと同時流行が懸念
厚生労働省は、インフルエンザワクチンの供給遅れによって、毎年行われているインフルエンザの予防接種の時期が、例年よりも遅くなる見通しであることを示しました。今回の発表の詳細について中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
今回の発表の詳細は?
今回の発表の詳細について、詳しく教えてください。
中島先生
インフルエンザの予防接種は、インフルエンザの流行期に合わせて接種が進められます。今季のインフルエンザの予防接種は、ワクチンの供給遅れの影響で遅れる見通しであることが判明しました。
昨季のインフルエンザの推定患者数は約1万4000人で、例年の1000万~2000万人と比べて非常に少なく、さらに2019~2020年の約728万5000人の約500分の1以下であることから、インフルエンザは流行しなかったと考えられています。
しかし、今季は新型コロナと同時に流行する可能性が懸念されています。そのため、専門家はワクチン接種と感染症対策を徹底するように呼びかけています。
インフルエンザワクチンの供給量は?
インフルエンザワクチンの供給量は問題ないのでしょうか?
中島先生
厚生労働省によると、インフルエンザワクチンの供給量は約5130万~5580万人分です。昨季よりは少ないものの、例年の接種人数を踏まえると不足する心配はないでしょう。供給が遅れる理由は、世界的にワクチンの原料が不足しているためです。
今季のインフルエンザの流行見込みは?
インフルエンザが流行する可能性はあるのでしょうか?
中島先生
今季のインフルエンザの流行は、見通しが立っていません。国立感染症研究所の脇田隆字所長は、「昨年度はインフルエンザと新型コロナが同時に流行しなかったことから、今年の流行を見通すことは難しい」としています。また、日本ワクチン学会は、「もしインフルエンザと新型コロナが同時に流行すれば医療体制がひっ迫する恐れがあるため、乳幼児や高齢者、妊婦などは特に接種が推奨される」と述べました。
さらに、川崎医科大の中野貴司教授(感染症学)は、「昨季にインフルエンザが流行しなかったことで、幅広い世代で感染者が増える恐れがある」と指摘しています。また、「インフルエンザの予防接種を受けるとともに、それ以外の感染症にも警戒し、感染症対策を続けてほしい」と述べました。
まとめ
インフルエンザが今年も流行するかどうかは不明ですが、医療現場のひっ迫を防ぐためにも接種を前向きに検討することが大切です。また、例年と比べてインフルエンザワクチンの供給が遅れているため、接種開始ができるようになった際は早めに受診しましょう。