がん検診の受診者3割減、新型コロナ影響か!?
日本対がん協会は、2020年にがん検診を受けた人が2019年度と比べて3割減少した調査結果を発表しました。がん検診は、がんの早期発見に役立つとされているため、積極的に受けることが望ましいです。今回は、日本対がん協会の発表について、中島先生に詳しくお伺いしました。
監修医師:
中島 由美 医師
今回の発表の詳細は?
日本対がん協会が発表した内容について、詳しく教えください。
中島先生
日本対がん協会は今年2~3月に、全国42支部に対して「自治体が実施している胃、肺、大腸、乳、子宮頸(けい)のがん検診」を受けた人数を尋ねました。回答を得た32支部からの報告を集計した結果、2019年のがん検診を受けた人数が567万人であるのに対し、2020年は約30%減の約394万人であることがわかりました。
特に、4~6月にがん検診を受ける人が大幅に減少しています。これは、緊急事態宣言の発令に伴い、がん検診の中止や延期を決断した自治体が多かったためだと推測されます。
がん検診を受けなかった人が多かったことの問題点とは?
今回、がん検診を受けた人が少なかったことには、どのような問題があるのでしょうか。
中島先生
日本対がん協会は、各検診を受けた人の減少とそれぞれのがんの発見率を分析し、1000~2100人ほどの人が、がんを発見されなかった可能性を示しました。次回の検診までにがんが大きく進行する可能性も否定できません。
同協会は、乳がん検診のように2年に1回と間隔が大きく空く検診もあるため、2020年度受けなかった人は今年こそ必ず受けるように呼びかけています。
がん検診を受けなかった人が取るべき行動とは?
がん検診を受けなかった人は、どのように行動すべきなのでしょうか。
中島先生
がんのリスクが高いとされている方は、早めにがん検診を受けることが大切です。気になる症状がある場合は、なおのこと早めに受診した方がよいでしょう。進行スピードや悪性度は、がんの種類によって大きく異なります。1年、がん検診を受けていないだけでは問題がないと思い込むのではなく、可能な限り早く検診を受けることをおすすめします。
まとめ
2020年は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により、がん検診を受けた人が2019年の3割減になったことがわかりました。緊急事態宣言解除後も、がん検診を受けない人が増加傾向に。がんの罹患率が高い年齢の方は、外出自粛が望まれる状況であってもがん検診を受診することが理想的と言えるでしょう。