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英アストラゼネカ製のワクチン、血栓との因果関係を示す明確なデータなし

 更新日:2023/03/27

イギリスのアストラゼネカのワクチンに血栓症を引き起こすとの懸念が広まったため、複数の国がワクチン接種を一時中止しています。しかしその後、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンと血栓症の因果関係を示す証拠が見つからなかったことが発表されました。今回は、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンと血栓症の因果関係に関する発表について、渡海先生に詳しくお伺いします。

監修医師
渡海 由貴子 医師

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長崎大学医学部卒業。その後、婦人科・形成外科の知識と経験を活かして乳腺外科医として活動中。乳がんのオンコプラスティックサージャリー、陥没乳頭、肥大乳頭、授乳期トラブルなどの良性疾患の診療を得意とする。医学博士。日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、日本超音波医学会超音波認定医、日本乳がん検診精度管理中央機構マンモグラフィ読影認定医。

アストラゼネカのワクチン接種が中断された経緯

アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの接種が一時中止された経緯を教えください。

渡海先生

イギリスの大手製薬会社のアストラゼネカが開発した新型コロナウイルスワクチンを接種した人に血栓が生じ、死亡する例が報告されました。それを受けてアイルランド、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、オランダが同社のワクチン接種を一時中止しました。その後、オーストリアでも1人が死亡する事例があったため、国内におけるワクチン接種を一時中止しています。

また、イタリアのANSA通信の報道では、アストラゼネカ製のワクチン接種後に血栓ができた症例が4件で、そのうち3件は同一の製造ロットだとされています。

今回の発表の詳細は?

アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンと血栓症との関連を示す証拠が見つからなかったとのことですが、その根拠について詳しく教えください。

渡海先生

アストラゼネカは、ワクチン接種データを調査したところ、深部静脈血栓症の事例が15件、肺梗塞症が22件であり、他社のワクチンと大きな差が見られなかったことを発表しました。また、欧州医薬品庁(EMA)と世界保健機関(WHO)も、アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンと血栓症との関連が認められないとの見方を表明しています。

このことから、現時点ではアストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの接種を避けるべきとは言えないでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスワクチンは多くの国々が待ち望んでいたものですが、副反応については詳しくはわかっていません。そのような状況の中で、ワクチンと血栓症との関連が疑われたため、多くの人々が不安を感じていることでしょう。今回のように、詳しく調査した結果、ワクチンとの関連を示す証拠が見つからないケースが今後も発生することが予想されます。最新の発表を随時チェックして、新型コロナウイルスワクチンの正しい知識を得ることが大切です。

この記事の監修医師