HIV感染・エイズ発症者は3年連続で減少!
厚生労働省は9月15日、2019年のエイズウイルス(HIV)感染者とエイズ患者が3年連続で減少したことを発表しました。今回は、HIV感染・発症者の減少が続いていることについて、中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
HIV感染者とエイズ患者の違いは?
そもそも、HIV感染者とエイズ患者は何が違うのか詳しく教えください。
中島先生
HIV(Human Immunodeficiency Virus)はヒト免疫不全ウイルスのことで、身体を病原体から守る免疫において重要な役割を果たすTリンパ球やマクロファージなどに感染します。感染してすぐの段階では、エイズ患者ではなくHIV感染者に該当します。
エイズは、HIV感染の結果、免疫において重要な役割を持つ細胞が減少し、普段は感染しない病原体に感染することで病気になった状態です。代表的な23の病気が定められており、これらに発症した状態をエイズといいます。
今回の発表の詳細は?
今回、厚生労働省が発表したHIV感染者とエイズ患者の減少について、詳しく教えください。
中島先生
厚生労働省は、2019年に判明したHIV感染者とエイズ患者が合計1236人で前年比81人減となったことを発表しました。また、2020年4~6月の検査数と相談数は、いずれもこれまでの3割ほどと激減しています。これは、市がコロナ対応に追われたことや、外出自粛に伴い検査を受ける市民が減少したためだと想定されます。
HIVの検査数はどれぐらい?
HIVは2019年にどれだけ検査されたのか教えください。
中島先生
HIV感染を調べる抗体検査を行った件数は、2019年が14万2260件で前年比1万1501件増でした。検査数が増えているのに対して、HIV感染者の数が減っていることから、単純に検査を受ける人が減ったからHIV感染者の数が減ったように見えるわけではないでしょう。
最も多かった感染経路は?
2019年に判明したHIV感染者とエイズ患者において、最も多かった感染経路について教えください。
中島先生
2019年に判明したHIV感染者とエイズ患者の合計1236人のうち、感染者は903人で患者は333人でした。このうち、日本国籍の人が1060人、外国籍の人が176人です。そして、感染経路は「同性間の性的接触」が831人と最も多く、次いで「異性間の性的接触」が192人と多い結果となりました。
まとめ
HIV感染者とエイズ患者の数は減少傾向にありますが、減少し始めて3年目のため、再び増える可能性は十分に考えられます。性交時には、コンドームを使用し、感染予防に努めることが大切です。また、少しでもHIV感染の疑いがあったり心配になったりしたときは、速やかに検査を受けましょう。