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中国ワクチン工場でブルセラ菌の漏えい! 3000人以上が感染

 更新日:2023/03/27

中国誌の財新週刊は、中国内陸部の甘粛省蘭州市にある動物用ブルセラ症ワクチン工場からブルセラ菌が漏れ、これまでに3000人以上が感染したことを明らかにしました。今回は、ブルセラ菌とは何か、工場から漏えいした原因などを中島先生に詳しくお伺いします。

中島 由美 医師

監修医師
中島 由美 医師

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金沢医科大学医学部卒業後、同大学病院にて小児科・内科として研修を積む。その後は複数の病院で内科医や皮膚科医として勤務。2018年より福岡市中央区に「国を超えた新しい形の医療を提供」をコンセプトに、クリスタル医科歯科クリニックを歯科医師である夫と開院。

ブルセラ菌とは?

今回、工場から漏えいしたブルセラ菌は、どのような菌なのでしょうか。また、ブルセラ症の症状についても教えください。

中島 由美 医師中島先生

ブルセラ症は、ブルセラ菌に感染することで発症する人獣共通感染症です。1900年代中頃に流行したことをきっかけに、世界的に注目されるようになりました。人への感染が報告されているブルセラ菌は3種類で、それぞれ感染症法によって取り扱いや所持が厳しく制限されています。

感染経路は、主にブルセラ菌に感染した動物の加熱殺菌が不十分な乳製品、肉による経口感染です。そのほか、空気中に放出されたブルセラ菌を吸い込むことによる空気感染も報告されています。

また、授乳や性交、臓器移植によって人から人に感染するとの報告がありますが、極めて稀です。

症状は原因不明の発熱、倦怠感、悪寒、発汗などでインフルエンザと似ています。また、午後から夕方にかけて高熱が出て、朝には解熱するという状態が数週間続き、その後は一時的に軽快するものの、再び発熱と解熱を繰り返すようになります。

なお、家畜用ワクチンは実用化されていますが、人に使えるワクチンは実用化に至っていません。

ブルセラ菌が漏れた理由と3000人以上も感染した原因とは?

動物用ブルセラ症ワクチン工場からブルセラ菌が漏れた原因と、3000人以上もの感染者が発生した理由について詳しく教えください。

中島 由美 医師中島先生

動物用ブルセラ症ワクチン工場からブルセラ菌が漏れた原因は不明です。しかし、使用期限切れの消毒剤を使用していたため、滅菌が不十分な空気が工場の外へ排気されたことが原因だと考えられています。

また、ブルセラ菌が漏れたことが発覚した昨年12月には、地元の衛生当局が「風向きなどの関係で大量の感染者が発生する心配がない」と発表していました。しかし、今年の9月16日には、検査した2万人あまりのうち3245人が感染していたと中国メディアが報じています。

これは、「大量の感染者は発生しない」と安易に断定したことが原因と言えるでしょう。

まとめ

ブルセラ菌が漏れたことで3000人以上もの感染者が発生しました。人から人へ感染することは稀とされていますが、今後も警戒は必要です。これが人から人へ感染しやすいウイルスや細菌であれば、パンデミックが起きていた可能性があります。もし、本当に工場の衛生管理の問題が原因だとすれば、すぐにでも改善が必要でしょう。

この記事の監修医師