潰瘍性大腸炎の治療法が新型コロナ重症化予防に有効か!?
鹿児島大学の研究チームは、8月31日に潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)の治療法の一つが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を防ぐ可能性があることを発表しました。今回は、潰瘍性大腸炎の治療法が新型コロナの重症化予防に有効なことが判明した件について、中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
目次 -INDEX-
今回の発表の詳細は?
今回の発表について、詳細を教えください。
中島先生
鹿児島大学は、潰瘍性大腸炎やクローン病に対して保険適用されている治療法が、新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐのに有効とする論文を国際感染症学会の専門誌で発表しました。
新型コロナに感染した人の一部は、活性化した白血球によって炎症性サイトカインが過剰発生し、免疫反応が起こることで肺に血栓ができて重症化するとされています。
鹿児島大学の研究チームは、潰瘍性大腸炎やクローン病に適用される「顆粒(かりゅう)球・単球吸着除去療法(GMA)」によって、炎症性サイトカインの過剰発生に関わる白血球のみを除去することで、新型コロナの重症化を防げるとの見解を示しています。
また、6月にはスペインで、新型コロナに感染した潰瘍性大腸炎の患者に対して、「顆粒(かりゅう)球・単球吸着除去療法(GMA)」を実施したところ、潰瘍性大腸炎と肺炎の両方の症状が緩和されたとの報告もあります。
新型コロナの重症化予防の意義とは?
新型コロナのワクチン開発が急がれる中、重症化予防のための治療法の確立には、どのような意義があるのでしょうか。
中島先生
新型コロナで亡くなる方が減少し、感染に対する不安感が和らぐことも期待できます。ただし、重症化を必ず防げるとは限りません。また、感染対策が不要になるわけでもないため、過度な期待は禁物でしょう。手洗いうがい、部屋の換気、ソーシャルディスタンスなどを徹底して、感染対策を続けることが大切です。
まとめ
潰瘍性大腸炎やクローン病に対して保険適用されている治療法が、新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ可能性があることがわかりました。臨床試験によって効果が確認されれば、重症化予防の方法の一つとなる可能性があり得ます。いずれにしても、マスクの着用や手洗いうがい、部屋の換気、消毒などは継続することが大切です。新型コロナの感染と重症化を防ぐために、できることから始めましょう。