新型コロナ軽症でも免疫獲得か 仏研究
フランスのパスツール研究所は、新型コロナウイルスに感染した場合、軽症でも免疫を獲得できる可能性があることを報告しました。また、免疫を獲得できるまでにかかる大体の期間も判明したとしています。今回は、新型コロナウイルスの免疫獲得の条件など、この研究結果について中島先生に詳しく伺いました。
監修医師:
中島 由美 医師
目次 -INDEX-
ウイルス感染による免疫獲得とは?
そもそも、ウイルス感染による免疫獲得とは、どのような仕組みなのでしょうか。
中島先生
免疫とは、ウイルスや細菌などの外敵から身体を守るシステムです。ウイルスや細菌などが体内に侵入すると、抗体による攻撃が始まります。このとき、侵入したウイルスや細菌を免疫システムが記憶するのです。そして、同じウイルスや細菌が再び侵入した際には、情報を記憶していた抗体がすぐに反応して、外敵を排除します。
このように、免疫を獲得することで、再び同じ感染症にかかりにくくなるのです。
今回の研究内容と判明したこととは?
フランスのパスツール研究所での研究内容と判明したことを詳しく教えください。
中島先生
今回の研究で判明したことは次の3つです。
・新型コロナウイルス感染症は軽症者でも免疫を獲得できる可能性がある
・免疫獲得にかかる期間は発症から15日以内
・時間の経過とともに中和活性が上昇している可能性がある
研究の対象者は、フランスのストラスブールにある2つの病院に勤める職員です。新型コロナウイルスの感染者のうち、それぞれ160人の軽症者が対象になりました。免疫を獲得しているかを調べる検査を実施したところ、1院は160人中153人、もう1院では160人中159人から抗体が発見されました。
また、抗体ができた時期が発症から15日以内であることも判明したのです。さらに、抗体の感染阻止能力を調べる検査において、検査対象者の約98%が最初の兆候から28~41日のうちに、免疫を獲得していたことも判明しました。これは、抗体がウイルスを排除する「中和活性」が時間の経過とともに上昇することを意味します。
つまり、感染から時間が経つほどに、新型コロナウイルスを排除する能力が高くなる可能性があることがわかりました。
まとめ
新型コロナウイルスに感染した場合、軽症であっても免疫を獲得できる可能性があることがわかりました。新型コロナウイルスについてはまだまだ不明な点が多いため、今後も次々と新しい情報が明らかになることが見込まれるため、国民としては常にアンテナを張っておきたいところでしょう。