“世界で最も高い薬”難病治療薬「ゾルゲンスマ」が保険適用 価格は1億6700万円
難病治療薬の「ゾルゲンスマ」が保険適用となり、1回あたりの価格が国内最高額の1億6700万円になることがわかりました。
アメリカでは、1回あたり2億円以上で、「世界で最も高い薬」といわれています。ここでは、ゾルゲンスマの保険適用について中島先生に詳しくお伺いしました。
監修医師:
中島 由美 医師
ゾルゲンスマとは?
ゾルゲンスマがどのような薬なのか詳しく教えください。
中島先生
ゾルゲンスマは、主に幼い子どもの全身の筋力が低下する脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう/SMA)の治療薬で、2020年3月に承認を受けました。神経と筋肉の機能を高めることで筋肉の萎縮を防ぎ、予後と運動機能を改善することが期待できます。ただし、ゾルゲンスマの効果には個人差があります。
ゾルゲンスマの保険適用について
ゾルゲンスマの保険適用と薬価の決め方について詳しく教えください。
中島先生
中央社会保険医療協議会は、ゾルゲンスマを保険適用の対象とし、薬価を1回あたり1億6700万円にすることを承認しました。これまでは、白血病などの治療薬「キムリア」が3349万円と国内最高額でしたが、それを大きく超える金額になっています。
薬価は、類似薬がある場合は「類似薬効比較方式」、類似訳がない場合は「原価計算方式」で決定します。ゾルゲンスマはスピンラザの類似薬のため、類似薬効比較方式で算定されました。類似薬の薬価に対し、有用性や画期性、小児加算などを考慮した加算を行います。そのほか、複数国における価格の平均額を踏まえた調整を行うなど、さまざまなルールがあります。
費用が高すぎて治療を受けたくても受けられない?
ゾルゲンスマは、1回あたり1億6700万円とのことですが、これでは治療を受けたくても受けられないのではないでしょうか。
中島先生
確かに、1回の治療に1億6700万円もの医療費を支払える人は限られています。しかし、日本には公的医療保険の「高額療養費制度」があるため、実際の負担額は低く抑えられます。さらに、骨髄性筋委縮症は小児慢性疾患医療費助成制度の対象です。それに加え、自治体が子どもの医療費を助成しているため、自己負担額はほとんど発生しないでしょう。
まとめ
今回、中島先生がおっしゃられたように、ゾルゲンスマの治療費の自己負担額は少なくて済むため、対象となれば問題なく治療を受けることが可能です。難病の骨髄性筋萎縮症は、これまで根本的な治療法が見つかっていません。ゾルゲンスマによって、1人でも多くの患者の命が救われることを願うばかりです。