新型コロナで脳梗塞発症の報告 血栓の発生が関係か?
新型コロナウイルスへの感染で脳梗塞の発症リスクが高まることをアメリカの研究グループが報告しました。
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで血流が止まり、脳の細胞が壊死する病気です。命を落としたり重大な後遺症が残ったりする場合もあるため、新型コロナウイルス感染症の危険性がより一層高まったと言えるでしょう。ここでは、新型コロナウイルスと脳梗塞の関係について、中島先生に詳しくお話を伺いました。
監修医師:
中島 由美 医師
新型コロナウイルスが脳梗塞を引き起こす?
新型コロナウイルスへの感染が脳梗塞のリスクを高めることについて、詳しくお教えください。
中島先生
ニューヨーク市のマウントサイナイ医科大学の研究グループは、2020年3月23日~4月7日までに脳梗塞と診断された33~49歳の男女5人全員が新型コロナウイルスに感染していることを確認しました。脳梗塞は再発しやすく、5人のうち1人は、過去に脳梗塞を発症しています。残り4人は、これまで脳梗塞になったことがないため、新型コロナウイルスとの関係がより強く疑われています。
新型コロナウイルスが脳梗塞を引き起こす原因は?
新型コロナウイルスが脳梗塞を引き起こした原因について詳しくお教えください。
中島先生
ウイルスの影響で血液の凝固機能が亢進し、「血栓」の形成が促進され、脳梗塞発症につながった可能性があります。そのため、同研究グループは脳以外の臓器で発生した血栓が脳の血管へと流れて脳梗塞を引き起こした疑いが強いとしています。
脳梗塞の症状と受診の目安は?
脳梗塞の症状と受診の目安を教えください。
中島先生
脳梗塞になると下記の症状が現れます。
・しびれ
・めまい
・言語障害
・視野障害
・歩行障害
・意識障害 など
いずれかの症状が1つでも現れたら、すぐに医療機関を受診してください。若い人は脳梗塞にならないと思っている方もいらっしゃいますが、10~20代の人も発症する可能性があります。特に、糖尿病や高血圧、高脂血症など動脈硬化の危険因子が1つでもあると、脳梗塞のリスクが高まるため、より一層の注意が必要です。
まとめ
新型コロナウイルス感染症は、脳梗塞のリスクを高めることがわかりました。ただし、研究対象が5人と少人数のため、どの程度リスクが高まるのか詳しいことはわかりません。新型コロナウイルス感染症は、症状が現れないケースもあります。そのため、感染していない人も、めまいやしびれ、言語障害などの症状に注意しておくことが大切です。