新型コロナへの効果が期待される「イベルメクチン」とは?
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。パンデミックを早く鎮めるために、さまざまな既存薬の転用が試されています。
そんな中、駆虫薬のイベルメクチンが新型コロナウイルス感染症に効く可能性があることがわかりました。今回は、イベルメクチンの特徴と新型コロナウイルス感染症に関して、日本内科学会認定内科医の中島由美先生にお話を伺いました。
監修医師:
中島 由美 医師
目次 -INDEX-
イベルメクチンはどんな薬?
イベルメクチンはどのような薬のでしょうか。
中島先生
イベルメクチンは、2015年度「ノーベル医学生理学賞」を受賞した大村智氏が発見したアベルメクチンを含む薬です。当初は、家畜の寄生虫感染症薬として用いられていましたが、後に人にも効果があることがわかり人へ使えるように再開発されました。
イベルメクチンは新型コロナウイルス感染症に効果がある?
なぜ、新型コロナウイルス感染症への効果に期待が高まっているのでしょうか。
中島先生
イベルメクチンは寄生虫感染症の薬ですが、インフルエンザウイルスや狂犬病ウイルス、HIV-1など、さまざまなウイルスの増殖を防ぐことが実証されています。そのため、新型コロナウイルスの増殖も防げるとの見方ができるのです。
新型コロナウイルス感染症への効果は立証されている?
イベルメクチンが新型コロナウイルス感染症に効果があることは、立証されているのでしょうか。
中島先生
オーストラリアのビクトリア感染研究所の研究グループによって、イベルメクチンが新型コロナウイルスのタンパク質生成を阻害し、増殖を抑制することが確認されています。これは、イベルメクチンの新型コロナウイルスへの効果が立証されたことになります。ただし、人に対して実際に投与したわけではないため、今後も研究を重ねる必要があるでしょう。
イベルメクチンが普及するのには時間がかかる?
イベルメクチンが新型コロナウイルス感染症に効くことがわかっても、普及には時間がかかるのではないでしょうか。
中島先生
イベルメクチンは、すでに多くの国で薬事承認を得ているため、比較的早く普及するのではないかと思います。また、すでに生産ラインがあるうえに、ストックも大量にあるとされているため、製造過程で問題が起こることも考えにくいでしょう。ただし、イベルメクチンを新型コロナウイルス感染症に使用するかどうか現時点では不明です。
また、他にもアビガンを始めとしたさまざまな薬が新型コロナウイルス感染症に用いられる可能性があります。
イベルメクチンに副作用はある?
イベルメクチンを使用するうえでの注意点や副作用について教えてください。
中島先生
イベルメクチンには、吐き気や嘔吐、かゆみ、発疹、肝機能異常などの副作用が報告されています。また、倦怠感や食欲不振、鼻血、歯ぐきの出血、手足などの皮下出血といった症状がみられた場合は、使用をやめて早急に医師の診察を受ける必要があります。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の改善効果が期待できるイベルメクチンは、世界中で使用実績がある駆虫薬です。しかしながら世界の多くの国で薬事認証を受けているイベルメクチンが、今後新型コロナウイルス感染症に使用できるようになる可能性は十分考えられるようです。新型コロナウイルス感染症に使用できる薬が登場すれば、収束に一歩近づくのではないでしょうか。国民としては、少しでも感染拡大を抑えるために、人との接触を避けたりマスクを着用したりと、対策を徹底することが大切です。