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介護保険は閉塞性動脈硬化症で利用できる?対象条件や注意点を解説

 公開日:2026/03/02
介護保険は閉塞性動脈硬化症で利用できる?対象条件や注意点を解説

閉塞性動脈硬化症と診断され、「介護保険は使えるのだろうか」「どのような状態なら対象になるのか」と疑問や不安を感じる方は少なくありません。

本記事では、閉塞性動脈硬化症と介護保険の関係について、以下の点を中心に解説します。

  • 閉塞性動脈硬化症の基礎知識と介護保険を利用できる条件
  • 介護保険を利用するまでの流れと注意点
  • 閉塞性動脈硬化症の予防と悪化防止
介護保険と閉塞性動脈硬化症の関係を理解し、利用を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みください。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

閉塞性動脈硬化症の基礎知識と介護保険を利用できる条件

閉塞性動脈硬化症の基礎知識と介護保険を利用できる条件

閉塞性動脈硬化症とはどのような病気ですか?

閉塞性動脈硬化症とは、主に足の血管に動脈硬化が起こり、血流が悪くなることでさまざまな症状を引き起こす病気です。動脈硬化によって血管の内側が狭くなったり詰まったりすることで、足先まで十分な血液が届かなくなります。

初期には自覚症状がほとんどない場合もありますが、進行すると歩行時に足が痛くなり、休むと改善する間欠性跛行(かんけつせいはこう)がみられることがあります。

さらに重症化すると、安静時でも痛みが続いたり、足の皮膚に傷ができて治りにくくなったりすることもあります。糖尿病や高血圧、喫煙習慣がある方に発症しやすいとされており、早期発見と継続的な治療が生活機能の維持につながると考えられています。

閉塞性動脈硬化症は介護保険を利用できますか?

閉塞性動脈硬化症と診断された場合でも、病名だけで介護保険が利用できるわけではありません。

介護保険制度では、日常生活にどの程度支援や介助が必要かという要介護状態に該当するかどうかが判断基準となります。65歳以上の方であれば、原因となる病気を問わず、要介護認定を受けることで介護保険サービスを利用できます。

一方、40歳から64歳の方の場合は、閉塞性動脈硬化症が特定疾病の一つに該当するため、症状によって生活機能が低下していると認められれば、介護保険の対象になる可能性があります。

閉塞性動脈硬化症で介護保険の対象になる状態を教えてください

閉塞性動脈硬化症で介護保険の対象となるかどうかは、症状が日常生活にどの程度影響しているかによって判断されます。

例えば、足の痛みや血流障害の影響で長時間の歩行が困難になり、外出や買い物に支援が必要な状態は、要介護認定の判断材料になります。また、潰瘍や壊死が生じ、継続的な処置や見守りを要する場合も、介護の必要性が認められることがあります。

一方で、治療中であっても身の回りの動作が自立している場合は、介護保険の対象外となるケースもあります。最終的な判断は、訪問調査と医師の意見書をもとに総合的に行われます。

介護保険を利用するまでの流れと注意点

介護保険を利用するまでの流れと注意点

閉塞性動脈硬化症で介護保険を利用する場合の申請方法を教えてください

閉塞性動脈硬化症で介護保険を利用する場合、まず市区町村の介護保険担当窓口で要介護認定の申請を行います。申請は本人のほか、家族や地域包括支援センター、居宅介護支援事業者などが代行することもできます。

申請時には、介護保険被保険者証(65歳以上、または40〜64歳で特定疾病に該当する場合)を提出します。なお、40歳から64歳までの方(第2号被保険者)が閉塞性動脈硬化症で申請を行う場合は、特定疾病に該当していることを確認するため、医療保険証の提示が必要とされています。

申請後、市区町村による認定調査が実施され、調査員が自宅などを訪問し、歩行状態や日常生活動作、症状による生活への影響を確認します。併せて主治医意見書が作成され、これらの情報をもとに介護認定審査会で要支援・要介護区分が判定されます。

結果が通知されるまでには、原則として申請から30日程度かかる点も把握しておく必要があります。

主治医意見書の作成にあたって医師へ伝えておくべきことはありますか?

主治医意見書は、要介護認定において重要な判断材料の一つとされています。そのため、受診時には閉塞性動脈硬化症による具体的な生活上の困りごとを医師に正確に伝えることが大切です。

例えば、「一定距離を歩くと足が痛くなり休憩が必要になる」「階段の昇り降りが難しい」「買い物や通院が一人では不安」などの日常生活への影響は、意見書作成に反映されやすい情報です。

また、症状のよい日、悪い日の差や、痛みやしびれが出る頻度も伝えておくと、実態に即した評価につながる可能性があります。医師は診察データだけでなく、日常生活動作や生活機能の低下状況も踏まえて意見書を作成するため、遠慮せず具体的に説明する姿勢が重要だと考えられます。

介護保険を利用する際の注意点を教えてください

介護保険を利用する際には、いくつか注意しておきたい点があります。

まず、要介護認定の結果によって利用できるサービス内容や支給限度額が異なるため、希望する支援が受けられるとは限りません。そのため、認定結果を踏まえたうえで、ケアマネジャーと相談しながら利用可能な範囲でのケアプランを作成することが求められます。

また、閉塞性動脈硬化症は症状の進行や治療状況によって身体状態が変化することがあります。状態が変わった場合には、区分変更申請を行うことで、より適切な介護サービスにつながる可能性もあります。

さらに、介護保険サービスには原則1割から3割の自己負担が発生する点も見落とせません。医療保険との併用や費用負担のバランスについても、事前に確認しておくことが安心につながるでしょう。

閉塞性動脈硬化症の予防と悪化防止

閉塞性動脈硬化症の予防と悪化防止

閉塞性動脈硬化症の予防法を教えてください

閉塞性動脈硬化症の予防では、動脈硬化の進行要因を日常生活のなかで減らしていくことが基本とされています。特に喫煙は血管を収縮させ、血流低下を招く要因になると考えられており、禁煙は重要な対策の一つです。

また、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は発症リスクと関連するため、医療機関での継続的な管理が望ましいとされています。加えて、無理のない範囲での歩行運動は下肢の血流を保つうえで効果が期待できます。

食事面では、塩分や脂質を控え、栄養バランスを意識することが、血管の健康維持につながる可能性があると考えられています。

早期発見のためにどのような症状に注意すべきですか?

閉塞性動脈硬化症は、初期段階では自覚症状が目立ちにくい場合があります。そのため、日常生活での変化に注意を払うことが早期発見の手がかりになります。代表的な症状には、歩行時に足が痛くなり、休憩すると改善する間欠性跛行が挙げられます。 さらに、足先の冷えやしびれ、皮膚の色調変化、傷が治りにくいなどの症状が見られることもあります。これらは下肢の血流低下に関連する可能性があり、特に左右差がある場合や症状が続く場合には注意が必要です。気になる変化がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

閉塞性動脈硬化症の悪化を防ぐために気を付けるべきことを教えてください

閉塞性動脈硬化症と診断された場合、症状の進行を抑えるためには日常的な管理が重要とされています。医師から処方された薬がある場合は、自己判断で中断せず、指示にしたがって服用を続けることが基本です。

また、血流が低下している足は小さな傷でも悪化しやすいため、毎日の観察や清潔保持が必要とされています。靴や靴下は足を圧迫しないものを選び、皮膚トラブルを防ぐ工夫も大切です。

さらに、安静にしていても痛みが出る、急激に症状が変化するといった場合には、重症化の可能性も考えられるため、速やかに医療機関への受診が望ましいとされています。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで介護保険と閉塞性動脈硬化症の関係についてお伝えしてきました。
要点をまとめると、以下のとおりです。

  • 閉塞性動脈硬化症は足の血流障害によって日常生活に支障が出ることがあり、病名のみで介護保険が利用できるわけではなく、年齢区分や要介護認定の結果、生活機能への影響の程度によって判断される
  • 市区町村への申請後、認定調査や主治医意見書を経て要介護度が判定され、結果に応じて利用できるサービスや自己負担額が決まるため、症状や困りごとを正確に伝えることが重要
  • 生活習慣の見直しや治療の継続、足の状態を日常的に確認することが、症状の進行を抑え、生活機能を維持するためのポイントとなる
閉塞性動脈硬化症で介護保険の利用を考える際は、制度の仕組みを理解したうえで、医療機関や市区町村へ早めに相談しましょう。

今回の記事が、介護保険の利用を検討する際の不安解消や判断の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師