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高額介護サービス費とは?制度の仕組みや対象、申請方法をわかりやすく解説します

 公開日:2026/04/18
高額介護サービス費とは?制度の仕組みや対象、申請方法をわかりやすく解説します

介護保険サービスを利用すると、利用者は原則として費用の1~3割を自己負担する仕組みです。しかし、複数のサービスを併用したり、長期間にわたって介護が必要になったりすると、月ごとの自己負担額が大きくなり、家計への負担が重くなることがあります。
こうした経済的な負担を軽減するために設けられている制度の一つが高額介護サービス費支給制度です。本記事では、高額介護サービス費支給制度の基本的な仕組みや対象となる方、自己負担上限額の目安、申請方法、利用する際の注意点を解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

高額介護サービス費支給制度とは

高額介護サービス費支給制度とは

介護保険サービスを利用すると、利用者は原則として費用の1~3割を自己負担します。サービスの利用回数が増えたり、複数のサービスを併用したりすると、月ごとの自己負担額が大きくなることがあります。こうした負担を軽減するために設けられているのが高額介護サービス費支給制度です。ここでは、この制度の基本的な内容や仕組み、制度が設けられている理由、さらに医療費の高額療養費制度との違いを解説します。

高額介護サービス費支給制度の基本

高額介護サービス費支給制度とは、1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担額が、所得区分ごとに定められた上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。

介護サービスは長期間にわたって利用されることが多く、訪問介護や通所介護、施設サービスなどを併用すると費用が高額になることがあります。この制度により、利用者の自己負担額が一定の範囲に収まるよう調整される仕組みになっています。

高額介護サービス費の仕組み

高額介護サービス費は、同じ月に利用した介護保険サービスの自己負担額を合計して計算されます。その合計額が所得区分ごとの上限額を超えた場合、超過分が後から払い戻されます。

また、同一世帯に複数の介護サービス利用者がいる場合は、世帯単位で自己負担額を合算して計算されることもあります。支給を受けるには申請が必要な場合が多く、市区町村が確認を行った後、指定口座に払い戻しが行われます。

制度が設けられている理由

介護は長期間にわたって必要になるケースが多く、サービス利用が増えると家計への負担が大きくなる可能性があります。高額介護サービス費支給制度は、このような経済的負担が過度に大きくならないようにするために設けられています。

特に高齢者世帯では、年金収入を中心とした生活を送っていることが多いため、介護費用の上限を設けることで安心して必要なサービスを利用できるよう配慮されています。

医療費の高額療養費制度との違い

高額介護サービス費支給制度は、医療保険における高額療養費制度と似た仕組みですが、対象となる費用が異なります。
高額療養費制度は医療機関で支払った医療費を対象とする制度であり、入院費や手術費などが対象です。一方、高額介護サービス費は、介護保険サービスの自己負担分を対象とする制度です。

医療費と介護費の両方が高額になる場合には、高額介護合算療養費制度という制度が適用されることもあります。それぞれの制度の違いを理解しておくことで、家計への負担をより適切に管理しやすくなります。

参照:
『高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)』(全国健康保険協会)
『高額介護合算療養費制度概要』(内閣府)

高額介護サービス費支給制度を利用できる人

高額介護サービス費支給制度を利用できる人

高額介護サービス費支給制度は、介護保険サービスを利用しているすべての方が自動的に対象になるわけではなく、一定の条件を満たしている場合に利用できる制度です。基本的には、介護保険の被保険者として要介護認定または要支援認定を受け、介護保険サービスを利用している方が対象です。
介護保険制度では、原則としてサービス利用費の1~3割を自己負担する仕組みになっていますが、同じ月に利用したサービスの自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超過分が払い戻されます。したがって、訪問介護、通所介護、訪問看護、短期入所生活介護、介護老人福祉施設など、介護保険が適用されるサービスを利用している方であれば制度の対象となる可能性があります。

また、同一世帯に複数の介護サービス利用者がいる場合には、世帯単位で自己負担額を合算して計算されることもあります。そのため、家族のなかで複数の方が介護サービスを利用している世帯では、上限額を超える可能性が高くなり、この制度による払い戻しを受けられるケースもあります。

なお、支給を受けるためには市区町村への申請が必要になる場合があります。多くの自治体では、対象となる場合に申請書や案内が送付されますが、自治体によって手続き方法が異なることもあるため、詳しくは居住している市区町村の介護保険担当窓口に確認するとよいでしょう。

高額介護サービス費支給制度の対象になる自己負担金額の目安

高額介護サービス費支給制度の対象になる自己負担金額の目安

高額介護サービス費支給制度では、1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担額が、所得区分ごとに定められた上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻されます。上限額は世帯の所得状況によって異なり、所得が低い世帯ほど自己負担の上限額が低く設定されています。

例えば、一般的な所得水準の世帯(住民税課税世帯)の場合、1ヶ月の自己負担上限額は44,400円(世帯単位)とされています。仮に同じ月に介護サービスの自己負担額が60,000円かかった場合、上限額を超えた15,600円が払い戻しの対象です。

一方、住民税非課税世帯の場合は上限額が24,600円(世帯単位)となり、さらに所得が少ない方など一定の条件に該当する場合には15,000円(個人単位)など、より低い上限が設定されています。また、生活保護を受給している方についても、自己負担上限額は15,000円(個人単位)とされています。

反対に、一定以上の所得がある世帯では、自己負担上限額が140,100円(世帯単位)と高めに設定されています。このように、高額介護サービス費支給制度では所得状況に応じて上限額が設定されており、介護サービスの利用による経済的負担が過度に大きくならないよう配慮されています。

参照:『サービスにかかる利用料』(厚生労働省)

高額介護サービス費の申請方法

高額介護サービス費の申請方法

高額介護サービス費は、条件を満たしていれば自動的に振り込まれるわけではなく、自治体の案内にしたがって申請手続きを行う必要があります。ただし、多くの自治体では一度申請を行うと、その後は対象となる月が発生した際に自動的に支給される仕組みになっています。制度の流れを理解しておくことで、手続きの漏れを防ぎやすくなります。ここでは、高額介護サービス費の申請の流れや必要書類、支給までの期間の目安について解説します。

申請の流れ

高額介護サービス費の対象となる可能性がある場合、市区町村から支給申請書や案内が送付されることがあります。利用者本人または家族は、その申請書に必要事項を記入し、振込先口座などを記載して提出します。

提出先は通常、居住している市区町村の介護保険担当窓口です。郵送での提出が可能な場合もあります。自治体が申請内容を確認し、対象となることが確認されると、自己負担上限額を超えた分が指定口座に振り込まれます。

また、多くの自治体では初回申請後は自動支給となり、以降は申請手続きが不要になるケースもあります。ただし、転居した場合や口座情報が変更になった場合などは再度手続きが必要になることがあります。

申請に必要な書類

申請時には、自治体から送付された申請書のほか、いくつかの書類が必要になる場合があります。一般的には、振込先口座が確認できる書類(通帳の写しなど)や、本人確認書類の提出を求められることがあります。

また、申請書には利用者の氏名や住所、被保険者番号、振込先口座などの情報を記入します。自治体によって必要書類や提出方法が異なることもあるため、案内に記載されている内容を確認して手続きを進めるとよいでしょう。

支給までの期間

高額介護サービス費は、介護サービスを利用した月の翌月にすぐ支給されるわけではありません。サービス事業者からの請求内容を自治体が確認し、自己負担額の計算を行う必要があるため、支給までには一定の期間がかかります

一般的には、サービスを利用した月から3ヶ月前後を目安に支給され、指定した口座に振り込まれる形で支給されます。ただし、自治体の事務処理の状況や申請時期によっては、さらに時間がかかる場合もあります。支給状況について不明な点がある場合は、市区町村の介護保険担当窓口に確認するとよいでしょう。

参照:
『高額介護サービス費等の支給』(藤沢市)
『高額介護(予防)サービス費等の支給』(神戸市)

高額介護サービス費制度を利用するときの注意点

高額介護サービス費制度を利用するときの注意点

高額介護サービス費制度は、介護保険サービスを多く利用した場合の自己負担を軽減する重要な制度ですが、利用する際にはいくつか注意しておきたいポイントがあります。すべての介護関連費用が対象になるわけではなく、対象外となる費用もあります。

また、自治体によっては申請手続きが必要になる場合や、世帯単位での計算が行われる場合もあります。制度を正しく理解しておくことで、本来受けられるはずの支給を受けることにつながります。ここでは、高額介護サービス費制度を利用する際に知っておきたい主な注意点を解説します。

対象外となる費用

高額介護サービス費の対象となるのは、介護保険が適用されるサービスの自己負担分です。そのため、介護に関係するすべての費用が対象になるわけではありません。
例えば、介護施設に入所した場合の食費や居住費(部屋代)、日常生活費などは介護保険給付の対象外であるため、高額介護サービス費の計算には含まれません。また、福祉用具購入費や住宅改修費などは別の給付制度として扱われるため、この制度の対象外となる場合があります。こうした費用は自己負担となるため、制度の対象範囲を理解しておくことが大切です。

自動で支給される場合と申請が必要な場合

高額介護サービス費は、対象となる場合に市区町村から申請書や案内が送付されることが一般的です。利用者または家族が申請書を提出することで、支給手続きが行われます。
多くの自治体では、一度申請を行えば、その後は対象となる月が発生した場合に自動的に払い戻しが行われる仕組みになっています。ただし、自治体によっては毎回申請が必要な場合もあるため、案内が届いた際には内容をよく確認することが大切です。また、振込口座の変更や転居などがあった場合には、あらためて手続きが必要になることがあります。

世帯合算の考え方

高額介護サービス費制度では、同一世帯に複数の介護サービス利用者がいる場合、それぞれの自己負担額を合算して計算する世帯合算という仕組みがあります。

例えば、同じ世帯に介護サービスを利用している方が2人いる場合、それぞれの自己負担額を合計し、その合計額が所得区分ごとの上限額を超えていれば超過分が払い戻されます。この仕組みにより、家族内で複数の方が介護サービスを利用している世帯でも、経済的負担が過度に大きくならないよう配慮されています。

ただし、世帯の範囲や合算の対象となる条件は自治体の運用や制度の詳細によって異なる場合もあるため、具体的な取り扱いについては市区町村の介護保険担当窓口に確認しておきましょう。

まとめ

まとめ

高額介護サービス費支給制度は、介護保険サービスを利用した際の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。介護は長期間にわたることが多く、サービス利用が増えると家計への負担が大きくなる可能性があります。この制度は、そうした負担を軽減し、必要な介護サービスを安心して利用できるようにするために設けられています。

また、自己負担上限額は世帯の所得状況によって異なり、申請手続きが必要な場合や世帯合算が適用される場合もあります。さらに、食費や居住費など制度の対象外となる費用もあるため、仕組みを理解しておくことが大切です。
介護費用の負担を適切に管理するためにも、高額介護サービス費支給制度の内容を把握し、必要に応じて市区町村の介護保険担当窓口やケアマネジャーに相談しながら活用しましょう。

この記事の監修社会福祉士