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在宅介護とは?やるべきことや活用できるサービス、負担を軽減するポイントを解説

 公開日:2026/04/16
在宅介護とは?やるべきことや活用できるサービス、負担を軽減するポイントを解説

住み慣れた自宅で暮らし続けたいという願いを叶える在宅介護は、ご本人にとって大きな安心感につながります。しかし、いざ介護が始まると何から手を付ければよいのか、仕事と両立できるのかなど、多くの不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、在宅介護の概要や施設介護との違い、まずやるべき手続きに関して解説します。また、活用できる主な介護サービスや負担を軽減するためのポイント、さらにはサービスの利用拒否などよくあるお悩みへの具体的な対処法も解説します。
納得のいく形で介護生活をスタートさせ、ご自身の大切な生活も守りながら継続できるよう、ぜひ参考にしてください。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

在宅介護とは

在宅介護とは
在宅介護は、高齢の方がこれまでどおり自宅で生活しながら、家族や専門スタッフの支援を受けて暮らす形態を指します。住み慣れた環境を変えずに過ごせることは、ご本人の精神的な安定につながります。

在宅介護の概要

在宅介護は、単に家族が身の回りの世話をすることだけではありません。介護保険制度に基づき、ホームヘルパーや看護師、ケアマネジャーなどの専門職がチームとなって生活を支える仕組みです

在宅介護で提供される主な支援には、以下のようなものがあります。

  • 生活援助(掃除、洗濯、買い物、調理など)
  • 身体介護(入浴、排せつ、食事の介助など)
  • 医療的ケア(点滴管理、褥瘡(じょくそう)の処置など)
  • リハビリテーション

家族だけで抱え込まず、これらのサービスを適切に組み合わせることが、持続可能な介護の鍵となります。

在宅介護と施設介護の違い

在宅介護と施設介護(特別養護老人ホームや有料老人ホームなど)では、生活環境や費用、自由度が大きく異なります。主な違いを以下の表にまとめました。

比較項目 在宅介護 施設介護
生活環境 住み慣れた自宅 施設内の居室
費用 サービス利用分のみ 月額利用料や食費、管理費など
生活の自由度 高い(自分のペースで過ごせる) 一定の制限あり(集団生活のルール)
家族の負担 心身の負担が生じやすい 大幅に軽減される

在宅介護は、ご本人の希望を優先できるメリットがありますが、24時間の見守りが必要な場合などは家族の負担が重くなる傾向にあります。これに対して施設介護は、専門スタッフが常駐しているため安心感は高いものの、環境の変化による戸惑いなどを考慮する必要があります。

在宅介護が始まるきっかけ

在宅介護が必要になる背景は人それぞれですが、多くの場合、心身の機能低下が日常生活に支障をきたし始めたときが始まりとなります。
きっかけとしてよく見られるのは、以下のケースです。

  • 急なケガや病気(転倒による骨折、脳血管疾患などでの退院後)
  • 薬の管理が困難(飲み忘れ、重複服用など)
  • 認知症の進行(一人での外出が危ない、火の不始末など)
  • 加齢による心身の衰弱(歩行の不安定、自炊が難しくなるなど)

「実家の父の様子が少しおかしい」などの変化に気付くことが、適切な支援につなげる第一歩となります。

在宅介護を始める際にまずやるべきこと

在宅介護を始める際にまずやるべきこと

いざ在宅介護を始めようと思っても、何から手続きを進めればよいのか迷う方も多いでしょう。円滑にスタートするために、以下の3つのステップを順番に踏んでいくことが大切です。

地域包括支援センターへの相談

初めての介護で不安を感じたときは、最寄りの地域包括支援センターへ相談しましょう。高齢の方の生活に関するあらゆる悩みに対応する総合窓口であり、専門的な知識を持ったスタッフがアドバイスをしてくれます。
窓口で対応してくれる主な職種は、以下のとおりです。

  • 社会福祉士
  • 保健師(または看護師)
  • 主任ケアマネジャー

社会福祉士は権利擁護や福祉全般、保健師は健康管理や介護予防、主任ケアマネジャーは地域との連携体制づくりなどを担当しています。それぞれの専門家が連携して、ご本人や家族にとって適切な支援策を一緒に考えてくれます。

要介護認定の申請

自宅で介護保険サービスを利用するためには、自治体から要介護認定を受ける必要があります。
申請は、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで行うことが可能です。
申請後の一般的な流れは、以下のとおりです。

  • 認定調査
  • 主治医意見書
  • 審査・判定
  • 結果通知

まずは、自治体の調査員が自宅を訪問し、心身の状態や生活の様子をヒアリングする認定調査が行われます。その後、かかりつけの医師が医学的な見地から主治医意見書を自治体へ提出します。

これら2つの情報に基づき、介護認定審査会が介護の必要性を判定し、原則として申請から30日以内に認定結果が自宅に届きます。判定結果は、要支援1・2、要介護1〜5、または非該当のいずれかになります。
認定調査の際は、ご本人が「自分は何でもできる」と無理をして答えてしまうことがあるため、立ち会う家族は普段の困りごとをメモなどを用いて具体的に伝えるようにしましょう

家族、親族内の情報共有と話し合い

介護は特定の一人だけで背負えるものではありません。早い段階で、兄弟姉妹や親族と現在の状況を共有し、今後の役割分担に関して話し合っておくことが重要です。
話し合いで決めておくべき主な項目は、以下のとおりです。

  • キーパーソン(中心となる介護者)の選定
  • 費用の分担(親の資産をどう活用するかなど)
  • 緊急時の連絡体制

特に費用の分担は、後々のトラブルを防ぐために具体的に決めておく必要があります。家族がチームとして機能する体制を整えることが、共倒れを防ぐための防御策となります。

在宅介護で活用できる主な介護サービス

在宅介護で活用できる主な介護サービス
要介護認定を受けると、ケアマネジャーと相談して作成したケアプラン(介護サービス計画書)に沿って、さまざまなサービスを原則1〜3割の自己負担で利用できます。

訪問型サービス

専門のスタッフが自宅を訪問して提供する支援です。生活の質を維持するために欠かせないサービスには、以下のようなものがあります。

  • 訪問介護(ホームヘルプサービス)
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション

訪問介護では、食事や排せつなどの身体介護だけでなく、掃除や買い物などの生活援助も受けられます。訪問看護は、看護師が健康状態の確認や医療的な処置を行うサービスです。支援を組み合わせることで、医療的な配慮が必要な状態であっても自宅での生活を継続しやすくなります

通所型サービス

ご本人が施設へ日帰りで通い、支援を受けるサービスです。自宅に閉じこもりがちな方のリフレッシュや、家族の休息時間を確保する役割も果たします。
主な種類は、以下のとおりです。

  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)

デイサービスでは、食事や入浴、レクリエーションなどを通じて、ほかの方との交流を楽しめます。一方、デイケアは理学療法士などのリハビリ専門職が配置されており、機能維持や回復に重点を置いているのが特徴です。外出の機会を持つことは、認知機能や身体機能の低下防止に大きな効果を発揮します

短期入所サービス

ショートステイと呼ばれ、数日から1週間程度の短期間、施設に宿泊して介護を受けるサービスです。活用される主なシーンは、以下のとおりです。

  • 家族の冠婚葬祭や出張
  • 介護者の体調不良
  • 介護者のリフレッシュ(レスパイト)

急な用事だけでなく、介護者が休息をとるために利用することも推奨されています。介護には、休むことも仕事のうちと考え、ショートステイを計画的に取り入れましょう

環境を整理するための補助

安全に在宅生活を送るためには、転倒などを防ぐための住環境の整備が必要です。介護保険では、以下のような支援制度が用意されています。

  • 福祉用具のレンタル(車いす、歩行器、介護用ベッドなど)
  • 特定福祉用具の購入補助(ポータブルトイレ、入浴補助具など)
  • 住宅改修費の支給(手すりの設置、段差の解消など)

住宅改修では、一生涯に20万円を上限として、工事費用の自己負担額(1〜3割)を除く分が支給されます。

参照:『介護保険における住宅改修』(厚生労働省)

早い段階で専門家に自宅の状況を確認してもらい、転ばない環境を作ることが、自立した生活を長く続ける秘訣です。

在宅介護の負担を軽減するポイント

在宅介護の負担を軽減するポイント

在宅介護を長く、かつ健康的に続けていくためには、介護者自身の心身を守る視点が欠かせません。頑張りすぎず、周囲の力を借りる勇気を持ちましょう。

介護サービスを早めに利用する

まだ自分たちでできるからと、ギリギリまで我慢してしまうケースは少なくありません。しかし、介護者の体力や精神力が限界に達してからサービスを探し始めるのでは遅すぎます
早い段階でサービスを利用し始めるメリットは、以下のとおりです。

  • 生活のリズムができる
  • 緊急時の対応がスムーズになる
  • プロの視点でリスクを回避できる

初めは週に1回のデイサービスから始めるなど、スモールステップでサービスに慣れていくことが、将来の安心感につながります。

関係機関との連携を密にする

ケアマネジャーや訪問スタッフは、介護のプロであると同時に、介護者のよき理解者でもあります。困ったことや不安なことがあれば、小さなことでも相談する習慣をつけましょう。

定期的なモニタリングなどを通じて、以下の情報を共有することが大切です。

  • ご本人の様子や変化
  • 介護者の睡眠不足や疲労感
  • 家族内での悩みごと

プロの視点から、「こういうサービスもありますよ」と提案されることで、一人では思いつかなかった解決策が見つかることもあります。孤立せず、チームで介護に向き合う意識を持ちましょう。

介護者の休息時間を確保する

介護は24時間365日の終わりなき仕事になりがちです。意識的に介護から離れる時間を作ることは、介護うつなどを防ぐために不可欠です。
自分の時間を確保するために、以下のような方法を検討してください。

  • ショートステイの定期的な利用
  • 家族や親族へのバトンタッチ
  • 趣味や自分のキャリアのための時間の優先

「親を預けて自分だけ楽しむなんて」と罪悪感を持つ必要はありません。介護者が笑顔でいられることが、ご本人にとっても安心材料になります。

在宅介護で起こりやすい問題と対処法

在宅介護で起こりやすい問題と対処法

在宅介護を続けていると、きれいごとだけでは済まない場面に直面します。ここでは、多くの介護者が抱えやすい3つの悩みと、その対処法を解説します。

介護と仕事の両立が難しいとき

介護離職は、経済的な基盤を失うだけでなく、社会とのつながりも断たれてしまうため、避けるべき選択肢です。両立するための工夫として、以下の制度や方法を活用しましょう。

  • 介護休業・介護休暇の取得(体制を整えるための時間として活用)
  • 会社への早めの相談(テレワークや時短勤務の検討)
  • ケアマネジャーへの正直な状況共有(残業がある、出張があるなど)

会社の制度を知り、周囲の理解を得ることで、キャリアを諦めずに介護を継続できる道が見つかります

被介護者が介護サービスを拒否するとき

ご本人が「他人に触られたくない」「自分はまだ大丈夫だ」と、サービスの利用を頑なに拒むことがあります。これは介護者にとって、特に悩みやすく精神を削られる問題の一つです。
ご本人のプライドや想いに寄り添いつつも、以下のマインドと対処法を試してみてください。

  • 完璧を目指さないマインドを持つ
  • 現場のプロに任せる
  • 超スモールステップから始める
  • ある程度の距離をとる

よかれと思って提案したことが拒絶されても、自分を責めないでください。まずはご本人の納得を尊重し、妥協点を探る姿勢が大切です。介護スタッフは、拒否されることにも慣れています。家族が説得するよりも、第三者であるケアマネジャーやヘルパーから、「地域の交流会のようなものですよ」と誘ってもらうほうがうまくいくことが多くあります。

いきなりデイサービスに行くのではなく、まずはケアマネジャーが家を訪れて会話をするだけにするなど、ハードルをできるだけ下げて慣れてもらいましょう。ケアの主役はご本人です。本人がどうしても望まない場合は、安全性を確保したうえで見守りに徹するなど、適切な距離感を保つことも、長く続けるための知恵です。

介護にストレスを感じたとき

「もう逃げ出したい」「イライラしてしまう」と感じるのは、あなたが真剣に介護に向き合っている証拠です。ストレスを感じたときの解消法として、以下を試してください。

  • 感情を言葉にして吐き出す(友人、カウンセラー、SNSなど)
  • 物理的に離れる時間を増やす
  • セルフケアを優先する

「自分がやらなければならない」という思い込みを手放し、適度に肩の力を抜くことが、結果としてよい関係を築くことにつながります。

まとめ

まとめ
本記事では、在宅介護の概要から始め方、活用できるサービス、そして負担を軽減するためのポイントについて解説しました。
在宅介護は、住み慣れた環境で過ごせるという大きな魅力がありますが、その分、家族の負担も大きくなりがちです。一人で解決しようとせず、地域包括支援センターやケアマネジャーなどの専門職を全面的に頼りましょう。
完璧を目指さず、ご自身の生活も大切にするマインドを持つことが、持続可能な介護の第一歩です。プロの力を借り、超スモールステップで妥協点を探しながら、無理のない範囲で介護と向き合っていきましょう。

この記事の監修医師