介護用品の種類や選び方、購入とレンタルの違いを詳しく解説!

高齢化が進むなか、自宅での介護や在宅生活を支えるうえで介護用品の役割はますます重要になっています。歩行や移動、排泄、入浴などの日常生活を支えるための介護用品を適切に活用することで、利用者の安全性や生活の質を高めるだけでなく、介護を行う家族の負担軽減にもつながります。
しかし、介護用品には多くの種類があり、身体の状態や住環境によって適したものは異なります。また、介護保険制度を利用することで、レンタルや購入補助を受けながら導入できる用品もあります。本記事では、介護用品の役割や種類、選び方のポイント、さらに介護保険で利用できる制度や購入とレンタルの違いを解説します。

監修作業療法士:
稲木 康平(作業療法士)
経歴:回復期病棟で約9年ほど、患者様やご家族様のニーズに合わせたリハビリテーションを実施する。また、数多くの患者様に対して、退院後に快適な生活を過ごされるための自宅の環境調整や、介護サービスの提案、家族指導も行ってきた。
資格:作業療法士免許、医療経営士3級
目次 -INDEX-
介護用品とは

高齢の方や介護が必要な方の生活を支えるために使われる用具のことを、一般的に介護用品と呼びます。歩行や移動、食事、排せつ、入浴などの日常生活をサポートする役割があり、利用者本人の安全性や生活の質を高めるだけでなく、介護を行う家族や介護者の負担を軽減することにもつながります。ここでは、介護用品の主な役割と、どのようなタイミングで必要になるのかを解説します。
なお、介護の現場では介護用品という言葉のほかに、福祉用具という言葉も使われます。福祉用具は、身体機能の低下などによって日常生活に支障がある方を支援するための用具を指す行政上の用語であり、介護保険制度ではこの福祉用具の一部がレンタルや購入補助の対象となっています。
介護用品の役割
介護用品の主な役割は、日常生活の動作をサポートし、利用者ができるだけ自立した生活を続けられるようにすることです。例えば、歩行器や杖は歩行を補助し、転倒のリスクを減らす効果があります。また、手すりや入浴補助具などは安全に移動や入浴を行うために役立ちます。
さらに、介護用品は介護者の負担軽減にも重要な役割を果たします。介護ベッドや移乗補助具などを使用することで、身体的な負担を減らしながら安全に介助を行うことができます。適切な介護用品を使用することで、利用者と介護者の双方にとってより安心できる介護環境を整えることができます。
介護用品が必要になるタイミング
介護用品が必要になるタイミングは人によって異なりますが、一般的には加齢や病気、けがなどによって日常生活の動作が難しくなったときに検討されます。
例えば、歩くときに不安定さを感じるようになった場合には杖や歩行器の利用が考えられますし、立ち上がりや起居動動作が難しくなった場合には手すりや介護ベッドが役立つことがあります。
また、退院後の在宅生活や要介護認定を受けた後なども、介護用品の導入を検討するタイミングの一つです。必要な介護用品は利用者の身体状況や生活環境によって異なるため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などの専門職に相談しながら選ぶことが大切です。
介護用品の種類

介護用品にはさまざまな種類があり、利用者の身体状況や生活環境に応じて選ばれます。主に、移動や歩行を助けるもの、睡眠や移乗をサポートするもの、排泄を補助するもの、入浴や清潔を保つためのものなどに分けられます。適切な介護用品を使用することで、日常生活の安全性を高めるだけでなく、介護を行う家族の負担軽減にもつながります。
移動・歩行をサポートする介護用品
移動や歩行をサポートする介護用品は、転倒を防ぎながら安全に移動するために役立ちます。代表的なものには、杖、歩行器、シルバーカー、車いすなどがあります。これらの用品を使用することで、歩行時の安定性が高まり、外出や室内移動をより安全に行えるようになります。また、住宅内では手すりを設置することで、立ち上がりや移動をサポートすることも可能です。
睡眠や移乗を支援する介護用品
ベッドへの乗り降りや体位の調整をサポートする介護用品もあります。代表的なものとしては、介護ベッドやベッド用手すり、体位変換クッションなどがあります。電動介護ベッドは背もたれや高さを調整できるため、利用者が楽な姿勢を保ちやすく、介護者が移乗をサポートする際の負担軽減にもつながります。
排泄に役立つ介護用品
排泄に関する介護用品は、トイレ動作をサポートし、利用者の自立を促す役割があります。排泄の自立は利用者の尊厳や生活の質(QOL)に大きく関わり、適切な介護用品を使用することで自立した生活を維持できます。ポータブルトイレや尿器、便器補助具などが代表的です。
夜間にトイレまでの移動が難しい場合には、ベッドの近くにポータブルトイレを設置することで安全性が高まります。また、吸収パッドやおむつなどの衛生用品も、排泄ケアをサポートする重要な用品です。
入浴・清潔補助をサポートする介護用品
入浴や清潔を保つための介護用品には、入浴用いす、浴槽手すり、滑り止めマットなどがあります。浴室は滑りやすく転倒のリスクが高いため、これらの用品を活用することで安全に入浴しやすくなります。また、洗髪用具や清拭用品なども、身体を清潔に保つためのサポート用品として利用されることがあります。
介護用品を選ぶポイント

介護用品を選ぶ際には、単に便利そうなものを選ぶのではなく、利用者の身体状況や生活環境に合ったものを選ぶことが重要です。適切な介護用品を使用することで、日常生活の動作が行いやすくなり、利用者の安全性や生活の質の向上につながります。また、介護を行う家族の身体的・精神的な負担を軽減するという点でも、介護用品の選び方は重要なポイントです。ここでは、介護用品を選ぶ際に意識しておきたい主なポイントを解説します。
身体の状態を把握する
まず大切なのは、利用者の身体の状態や日常生活動作(ADL)の状況を正しく把握することです。例えば、歩行が不安定なのか、立ち上がりが難しいのか、排泄や入浴に介助が必要なのかなど、どの場面でサポートが必要なのかを確認します。
身体の状態に合わない介護用品を選んでしまうと、かえって使いにくくなったり、転倒などのリスクが高まったりする可能性があります。現在の身体機能や要介護度だけでなく、今後の身体状況の変化も考慮しながら選ぶようにしましょう。
なお、ADLには、歩行や食事、排泄、入浴などの基本的な生活動作が含まれます。さらに、買い物や家事などのより複雑な生活動作はIADL(手段的日常生活動作)と呼ばれ、これらの状況も介護用品の選定に影響することがあります。
住環境との相性を確認する
介護用品を導入する際には、自宅の住環境との相性も確認する必要があります。例えば、歩行器や車いすを使用する場合には、室内の通路の幅や段差の有無、ドアの開閉スペースなどを事前に確認しておきましょう。
また、介護ベッドやポータブルトイレなどの大型の用品は、設置スペースや生活動線を考慮する必要があります。住環境に合わない介護用品を導入すると、日常生活の動線が悪くなり、かえって不便になることもあるため注意しましょう。なお、住環境によっては介護用品の導入とあわせて手すりの設置や段差解消など住宅改修を検討することで、より安全な生活環境を整えることができる場合もあります。
専門職に相談する
介護用品の選定に迷った場合は、専門職に相談することも重要です。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員は、利用者の身体状況や生活環境を踏まえて、適切な介護用品を提案してくれます。
また、介護保険制度では、車いすや介護ベッドなどの福祉用具をレンタルできる場合があります。制度を利用することで費用負担を抑えながら導入できることもあるため、専門職に相談しながら適切な介護用品を選ぶようにしましょう。
福祉用具の多くは、実際に試用してから導入することができます。体格や身体機能に合ったサイズや仕様を選ぶことが重要なため、専門職の助言を受けながら適切な用具を選びましょう。
介護保険で利用できる介護用品

介護用品のなかには、介護保険制度を利用して費用負担を抑えながら利用できるものがあります。介護保険では、日常生活を支える福祉用具の一部についてレンタル(貸与)や購入費の補助といった制度が設けられています。これらの制度を利用することで、必要な介護用品を少ない自己負担で導入することが可能です。ここでは、介護保険で利用できる主な介護用品を解説します。
福祉用具レンタルの対象品目
介護保険では、ある程度高額で継続的に使用する福祉用具について、レンタル(福祉用具貸与)として利用できる制度があります。代表的な対象品目には、車いす、車いす付属品、特殊寝台(介護ベッド)、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえなどがあります。
これらの福祉用具は、利用者の身体状況や要介護度に応じてレンタルすることができ、費用の1~3割が自己負担です。レンタル制度を利用することで、身体状況の変化に応じて用具を変更しやすいというメリットもあります。また、レンタルの場合は福祉用具事業者による点検やメンテナンスが行われることが多く、安全に使用しやすいという利点もあります。
購入補助がでる介護用品
一方で、排泄や入浴などに使用する衛生面の配慮が必要な福祉用具については、購入費の一部が支給される制度があります。対象となる主な用品には、腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具部分、自動排泄処理装置の交換可能部品などがあります。
これらの用品は原則としてレンタルではなく購入となり、年間10万円までの購入費が支給対象です。利用者は購入費の1~3割を自己負担し、残りが介護保険から支給される仕組みです。制度を利用する際には、事前にケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談し、対象となる用品かどうか確認しておくこととよいでしょう。
なお、この購入費の支給には年間10万円という上限があり、同一年度(通常は4月から翌年3月まで)の購入費が対象です。複数の用品を購入する場合は、上限額を考慮して計画的に利用するようにしましょう。
介護用品の購入とレンタルを比較

介護用品を利用する際には、「購入するか」「レンタルするか」で迷うことがあります。介護保険制度では、一部の福祉用具はレンタル(福祉用具貸与)として利用でき、排泄や入浴に関する用品などは購入費の補助制度が設けられています。それぞれにメリットがあり、利用者の身体状況や利用期間、費用面などを考慮して選ぶことが重要です。ここでは、レンタルと購入それぞれが向いているケースについて解説します。
レンタルが向いているケース
レンタルが向いているのは、ある程度高額でサイズ調整や変更が必要になる可能性がある介護用品です。例えば、車いすや介護ベッド、歩行器などは、利用者の身体状態の変化に応じて種類や仕様を変更する必要が生じることがあります。レンタルであれば、状況に合わせて交換や調整がしやすいというメリットがあります。
また、介護が必要な期間がはっきりしない場合にもレンタルは適しています。購入すると高額になる用品でも、レンタルであれば月額料金で利用できるため、初期費用を抑えることができます。
購入が向いているケース
一方で、排泄や入浴に関連する介護用品など、衛生面を考慮する必要があるものは購入が向いている場合が多くあります。例えば、ポータブルトイレや入浴補助用具、簡易浴槽などは、利用者ごとに衛生的に管理する必要があるため、レンタルではなく購入が基本となることがあります。
また、長期間にわたり同じ用品を使用する予定がある場合も、購入のほうが結果的に費用を抑えられるケースがあります。介護保険では購入費の補助制度もあるため、制度を確認しながら購入とレンタルのどちらが適しているか検討するとよいでしょう。
まとめ

介護用品は、日常生活の動作をサポートし、利用者の安全性や自立を支える重要な役割を持っています。歩行や移動、排泄、入浴などの場面に応じて適切な用品を導入することで、生活の質の向上だけでなく、介護者の負担軽減にもつながります。
また、介護用品のなかには介護保険制度を利用してレンタルできるものや、購入費の補助を受けられるものもあります。利用者の身体状況や住環境、利用期間などを考慮しながら、購入とレンタルのどちらが適しているかを検討することが大切です。
介護用品を選ぶ際には、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などの専門職に相談することで、より適した用品を導入しやすくなります。制度も上手に活用しながら、利用者と介護者の双方にとって無理のない介護環境を整えていきましょう。



