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介護用電動ベッドとは?必要な理由や選び方、介護保険を利用する方法を解説します

 公開日:2026/02/26
介護用電動ベッドとは?必要な理由や選び方、介護保険を利用する方法を解説します

介護用電動ベッドは、要介護者の身体的な負担を軽減し、介助する家族や介護スタッフのサポートをしやすくするために欠かせない福祉用具のひとつです。背上げや脚上げの調整ができることで、食事や、体位変換など日常生活の動作を安全性を重視しかつ快適に行えます。また、転倒や褥瘡を防ぐ目的でも重要な役割を果たします。しかし、どのような機能を重視すべきか、介護保険でどの程度の補助が受けられるのかわかりにくい点も少なくないです。

この記事は、介護用電動ベッドの特徴や選び方のポイント、介護保険を利用した導入方法をわかりやすく解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護用電動ベッドの基礎知識

介護用電動ベッドの基礎知識

介護用電動ベッドは、背上げ脚上げ高さ調節などを電動で行える福祉用具で、利用者の起き上がりや立ち上がりを助け、介護者の腰痛予防や介助負担の軽減に役立ちます。

介護用電動ベッドの定義

介護用電動ベッドは、介護保険上では特殊寝台として位置づけられる福祉用具で、サイドレールが取り付けてある、または取り付け可能であり、背部または脚部の傾斜角度が調整できる機能、もしくは床板の高さを無段階に調整できる機能を備えたベッドを指します。

一般的には介護ベッド電動ベッド(ギャッチベッド)とも呼ばれ、起き上がりや立ち上がりを補助し、利用者の安全性と介護者の負担軽減を目的として設計されています。

参照:
『介護保険の福祉用具:特殊寝台とは 』(健康長寿ネット)
『福祉用具の選び方編特殊寝台(介護ベッド)って どう選べばいいの?』(ダスキンヘルスレント)

一般的な電動ベッドとの違い

一般的な電動ベッドは、主にリラックスや快適な睡眠姿勢の確保を目的としており、読書やテレビ視聴など自立した生活を送る方が姿勢を調整しやすくするために用いられます。一方で、介護用電動ベッドは、起き上がりや立ち上がり、車いすへの移乗など、心身機能が低下した方の日常生活動作を支援し、介護者の腰痛予防や介助負担の軽減を重視して設計されています。

参照:『特殊寝台の利用効果』(一般社団法人 日本福祉用具供給協会)

介護で電動ベッドが必要になる主な場面

介護で電動ベッドが必要になる主な場面
起き上がりや立ち上がりが難しい場合や、ベッドから車いすへの移乗が少なくない場合、夜間の見守りや褥瘡予防、腰痛などで介護者の負担軽減が求められる場面です。

起き上がり、立ち上がりが難しくなったとき

起き上がりや立ち上がりが難しくなってきたときは、介護用電動ベッドが役割を果たします。ベッドの背上げ機能を使うことで、横になった姿勢から上半身をゆっくりと起こせるため、少ない負担で座位をとることができます。

また、ベッドの高さを調整できるタイプであれば、立ち上がりやすい高さに合わせることができ、膝や股関節にかかる負担を軽減しながら、安全性を重視した立ち上がる動作をサポートできます。さらに、介護者側にとっても、電動ベッドは腰痛予防の点で便利です。ベッドが低すぎると、介助時に深く前かがみになり、腰や背中に強い負担がかかりますが、高さを上げてからの介助で、より自然な姿勢で支えることができます。その結果、少ない力で起き上がりや立ち上がりを補助できます。

参照:
『《起き上がり 電動ベッドの使用》』(滋賀医科大学医学部附属病院)
『第2回 埼玉県介護施設SAFE協議会 「質の高いケア」と腰痛 そして移乗関連用具』(厚生労働省)

寝たきりになったとき

寝たきりの状態が続くようになると、介護用電動ベッドは安全性の高い生活と質を保つうえで重要です。長時間同じ姿勢でいると、褥瘡(床ずれ)や関節拘縮、むくみなどを起こしやすくなるため、定期的な体位変換や上半身・下肢の位置調整が欠かせません。電動ベッドで背上げや脚上げを行うことで、呼吸がしやすい姿勢や嚥下しやすい角度を保ちやすくなり、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。

また、脚を少し高く上げることで下肢の血流を促し、むくみや静脈うっ滞(静脈血の流れが悪く滞る状態)の軽減にも役立ちます。さらに、ベッド全体の高さを調整できる機能は、介護者にとって便利です。オムツ交換や全身清拭、褥瘡予防のための体位変換などを行う際、ベッドが低いままだと深く腰をかがめる必要があり、腰痛や疲労の原因です。電動で適切な高さに上げてからケアを行うことで、より自然な姿勢で作業でき、介護者の身体的負担を減らすことができます。

参照:『がん患者さんとご家族をつなぐ 在宅療養ガイド~豊かな療養生活をかなえる安心の1冊~』(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)

介護用電動ベッドの主な機能

介護用電動ベッドの主な機能
介護用電動ベッドの主な機能は、背中を起こす背上げ機能、膝を曲げて持ち上げる脚(膝)上げ機能、ベッド全体を上下させる高さ調節(昇降)機能の3つです。

背上げ機能

ベッド上で上半身をゆるやかに起こし、安定した座る姿勢をとりやすくするための重要な機能です。リモコン操作で角度を細かく調整できるため、筋力が低下して自力で上体を起こしにくい方でも、少ない負担で読書や食事、会話などの活動がしやすいです。また、背上げによって上体を起こすことで、気道が確保されやすくなり、呼吸や嚥下がしやすい姿勢を保てるため、誤嚥や呼吸苦のリスク軽減にも役立ちます。

参照:
『介護保険の福祉用具:特殊寝台とは 』(健康長寿ネット)
『福祉用具の選び方編特殊寝台(介護ベッド)って どう選べばいいの?』(ダスキンヘルスレント)

足上げ機能

膝から下の部分を持ち上げて軽く曲げた姿勢を保てるようにする機能です。膝を少し曲げて足元を持ち上げることで、腰やお尻への圧力が分散され、仰向け姿勢でも楽に過ごしやすいです。また、足を心臓よりやや高い位置に保つことで、下肢の血流を促し、むくみやだるさの軽減にも役立つとされています。さらに、背上げ機能と脚(膝)上げ機能を組み合わせることで、身体のずり落ちを防ぎます。

参照:
『介護保険の福祉用具:特殊寝台とは 』(健康長寿ネット)
『福祉用具の選び方編特殊寝台(介護ベッド)って どう選べばいいの?』(ダスキンヘルスレント)

高さ調整機能

高さ調整機能は、介護用電動ベッドのなかでも特に重要な機能のひとつです。ベッド全体をボタン操作で上下できることで、利用者と介護者の双方に大きなメリットがあります。まず、ベッドを低く下げることで、ベッドからの転落時の危険性を軽減でき、足が床につきやすくなるため、立ち上がり動作が安定します。

一方で、オムツ交換や清拭、着替え、体位変換などの介助を行う際には、ベッドを腰の高さ付近まで上げることで、介護者が過度に前かがみにならずにケアでき、腰痛予防につながります。また、高さを細かく調整できることで、車いすやポータブルトイレへの移乗時に、座面との段差を少なくし、安全性を重視したスムーズな移乗がしやすくなる点も、介護用電動ベッドならではの利点です。

参照:『腰を痛めない介護・看護』(公益財団法人テクノエイド協会)

介護用電動ベッドの種類

介護用ベッドの種類
介護電動ベッドには、背上げだけを行うタイプ、高さ調整だけを行うタイプ、背上げと脚上げを行う2モータータイプ、さらに高さ調整も加えた3モータータイプなどがあり、必要な介護量や生活スタイルに応じて選びます。

モーターによる違い

介護電動ベッドのモーター数の違いは、どの部位をどこまで個別に動かせるかです。一般的には、1モーターは背上げのみ、2モーターは背上げと脚上げができ連動させることができます。3モーターは背上げ・脚上げ・高さ調整をそれぞれ独立して動かせるタイプが多く、モーター数が増えるほど細かな姿勢調整が可能です。

参照:
『福祉用具レンタルカタログ』(介護レンタルそれいゆ)
『介護保険の福祉用具:特殊寝台とは 』(健康長寿ネット)

サイズの違い

介護電動ベッドメーカーによって規格が多少違いますが、幅83〜85cm程度のコンパクトタイプ、幅90〜91cm前後の標準(レギュラー)サイズなどがあり、利用者の体格や寝返りのしやすさ、介護スペースに合わせて選びます。長さも190cm前後のショート、200cm程度の標準、210cm以上のロングなどの区分があり、身長150cm未満の小柄な方から高身長の方まで対応できるよう設計されています。

参照:『在宅介護向けベッド Emi | シーホネンス[医療・介護用品/福祉用具の販売]』(シーホンス)

介護用電動ベッドの料金目安と介護保険での利用方法

介護用電動ベッドの料金目安と介護保険での利用方法
介護用電動ベッドは、本体価格は10万〜30万円程度が目安で、介護保険の特殊寝台レンタルを利用すれば、その月額料金の1〜3割負担で利用できる場合が少なくないです。

参照:『特殊寝台(介護ベッド)の機能とおすすめ商品をご紹介』(YAMASHITA ONLINE STORE)

介護用電動ベッドの利用料金の目安

介護用電動ベッド(介護保険上の特殊寝台)の利用料金は、福祉用具貸与の仕組みを通じて設定されます。貸与価格そのものは事業所ごとや機種ごとに違いますが、利用者が負担するのはその1〜3割であり、原則1割、一定以上所得者は2割または3割負担です。

具体的な目安として、福祉用具貸与の案内では、特殊寝台(3モーター)の介護保険1割負担額がおおよそ月1,200円程度からと記載されている例があります。また、厚生労働省の介護サービス情報公表システムに掲載されている福祉用具貸与事業所の情報でも、特殊寝台の利用者負担1割額が月400〜1,600円前後の範囲で設定されているケースが示されています。

参照:
『福祉用具貸与 | 介護サービス一覧』(かながわ介護福祉辞典)
『福祉用具貸与 (参考資料)』(厚生労働省)

介護保険(福祉用具貸与)でレンタルできる条件と自己負担額

要介護度によって、実際に介護保険を利用できるかどうかが変わります。原則として要介護2〜5の認定を受けた方で、ケアマネジャーがケアプランのなかで必要と判断した場合です。要支援1・2の方と要介護1の方は介護予防福祉用具貸与の対象ですが、特殊寝台は原則対象外とされ、自費レンタルです。

ただし、厚生労働省の通知により、要支援1・2、要介護1でも、例外給付として特殊寝台の貸与が認められる仕組みがあります。自己負担額は、レンタル事業者が設定した月額レンタル料の原則1割で、一定以上所得のある方は2割または3割負担です。例えば、月額レンタル料が1万円の特殊寝台であれば、1割負担の方は1,000円、2割負担の方は2,000円が自己負担となり、残りは介護保険から給付されます。

参照:
『福祉用具貸与とは 』(健康長寿ネット)
『軽度者等(要支援、要介護1)に対する福祉用具貸与』(函南町)

介護用電動ベッドを介護保険で導入する際の手続き

介護用電動ベッドを介護保険で導入する際の手続き
まず原則として要介護認定(要介護2〜5)を受けていることが前提です。そのうえで、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、ケアプラン内に福祉用具貸与(特殊寝台)を位置づけてもらい、指定福祉用具貸与事業所と契約してレンタルする流れです。

ケアマネジャーに相談する

まず担当のケアマネジャーへの相談が必要です。ケアマネジャーは、本人の日常生活の様子や起き上がり・立ち上がり、移乗などで困っている具体的な場面を聞き取り、その内容と要介護度、住環境を踏まえて「本当に電動ベッドが必要か」「どの機能が必要か」を一緒に検討してくれます。そのうえで、福祉用具専門相談員とも連携しながら、介護保険サービスの福祉用具貸与(特殊寝台)としてケアプランに位置づけるかどうかを判断し、利用する場合は機種(モーター数やサイズ、高さ調整の有無など)や設置場所を含めて提案します。

参照:『(2)地域ケアシステムとケアマネジメント|福祉用具の利用と地域包括支援センター』(公益財団法人東京福祉保険財団)

福祉用具貸与事業所を選び、福祉用具専門相談員に相談する

ケアマネジャーだけでなく、福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員への相談が大切です。まず、ケアプランのなかで特殊寝台の利用が必要と判断されたら、ケアマネジャーと相談しながら、信頼できる福祉用具貸与事業所を選びます。このとき、対応の早さやアフターサービス、説明の丁寧さなども比較のポイントです。

選んだ事業所の福祉用具専門相談員が自宅を訪問し、居室の広さや動線、段差、ベッド周囲のスペース、本人の身体状況や動作能力(起き上がり・立ち上がり・移乗など)を評価したうえで、モーター数やサイズ、高さ調整機能、サイドレールなどを含めたベッドのタイプを具体的に提案します。その後、実際に試用したり調整を受けながら、利用者と家族が納得した機種を選んでレンタル契約を結ぶ流れです。

参照:
『(2)地域ケアシステムとケアマネジメント|福祉用具の利用と地域包括支援センター』(公益財団法人東京福祉保険財団)
『福祉用具貸与事業者の選び方』(NPO法人 高齢社会をよくする女性の会)

契約、設置して利用開始する

福祉用具貸与事業所と機種が決まったら、レンタル契約を結び、介護用電動ベッドの設置と利用開始へと進みます。契約時には、介護保険適用の有無、自己負担割合(1〜3割)、月額レンタル料、解約時の手続きや故障時の対応などを確認しておくことが大切です。

設置当日は、福祉用具専門相談員やスタッフが自宅を訪問し、部屋のレイアウトやコンセント位置、動線を確認しながら、出入りや移乗ができる位置にベッドを組み立て・設置します。その際、背上げ・脚上げ・高さ調整機能の使い方や、サイドレール・手すりの安全性の高い使い方、停電時の対応など、利用者と家族が実際に操作しながら説明を受けます。設置後しばらくは、利用者の実際の使い心地を見ながら、必要に応じて高さや位置の微調整を行い、安全性を重視しかつ負担の少ない姿勢で起き上がりや立ち上がりができるよう整えていきます。

まとめ

まとめ
介護用電動ベッドは、起き上がりや立ち上がり、体位変換を適切にかつ少ない負担で行うための重要な福祉用具です。背上げ・脚上げ・高さ調整などの機能により、誤嚥や褥瘡の予防、むくみの軽減、介護者の腰痛予防にもつながります。また、モーター数(1〜3モーター)、サイズ(幅・長さ)、床面の高さなどは、利用者の身体状況や住環境によって適したものが異なるため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しながら選ぶことが大切です。

介護保険を利用すれば、原則として、要介護2以上でケアプランに位置づけられた場合、福祉用具貸与として月額レンタル料の1〜3割負担で利用できるため、購入よりも費用負担を抑えて導入しやすいです。

参考文献

この記事の監修社会福祉士