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介護予防とは?具体的な方法や取り組むメリット、利用可能な公的サービスを解説

 公開日:2026/02/18
介護予防とは?具体的な方法や取り組むメリット、利用可能な公的サービスを解説

介護は、ある日突然始まるものではなく、年齢や生活習慣、身体や心の変化が少しずつ重なり合いながら必要性が高まっていきます。そのため、将来の介護を考えるうえで、日常生活のなかでできる工夫を少しずつ取り入れていくことが、生活を続けやすくすることにつながります。こうした考え方をもとに進められているのが介護予防です。介護予防は、要介護状態を遠ざけることだけを目的とするものではなく、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けることを支える取り組みです。

本記事では、介護予防の基本的な考え方や取り組む目的、日常生活でできる具体的な方法、公的に利用できる支援を解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

介護予防とは

介護予防とは

介護予防は、将来の介護に備えて特別なことを始めるというより、日々の暮らし方や健康との向き合い方を見直す考え方です。年齢を重ねるにつれて生じやすい心身の変化を早い段階から意識し、生活機能の低下を緩やかにしていくことで、自立した生活を続けやすくします。ここでは、介護予防の基本となる定義や目的、段階ごとの考え方を解説します。

介護予防の定義

介護予防とは、加齢や病気などによって生活機能が低下し、介護が必要な状態へ進むことを防ぐ、または進行を抑える取り組みを指します。単に病気を防ぐという意味合いにとどまらず、身体の動き、認知機能、気力、人との関わりといった、生活全体を支える力を維持することが含まれます。

介護予防の目的

介護予防の目的は、要介護状態にならないことだけではありません。仮に介護が必要になった場合でも、その状態が重くなるまでの期間を長く保ち、できる範囲で自分のことを自分で行える生活を支える点にあります。身体機能の維持に加えて、意欲社会とのつながりを保つことも大切です。これにより、日常生活の満足度を保ちやすくなり、介護する側の負担が和らぐことにもつながります。

介護予防の段階|一次予防~三次予防

介護予防は、現在の状態に応じて段階的に考えられています。

一次予防は、健康な状態にある方を対象とし、介護が必要な状態を作らないことを目的とします。日常生活のなかで運動や食事、生活習慣を見直し、心身の健康を保つ取り組みが中心です。

二次予防は、体力や気力の低下がみられ始めた虚弱な状態の方を対象とします。この段階では、生活機能の低下を早い時期にとらえ、要介護状態へ進むのを遅らせたり、未然に防いだりすることが目的です。健康診断の結果を活かした対応や、地域での活動への参加などが、状態の維持につながります。

三次予防は、すでに要支援や要介護の状態にある方を対象とします。残っている力を活かしながら、状態の悪化を防ぎ、自立した生活をできる範囲で続けることを目的とします。生活の質を保つ視点で支援が行われる点が特徴です。

このように、介護予防は一つの方法に限られるものではなく、段階ごとに目的と取り組みを整理しながら進められています。

介護予防に取り組むメリット

介護予防に取り組むメリット

介護予防は、将来のために我慢や努力を重ねる取り組みではありません。日々の生活を見直すことで、今の暮らしを続けやすくし、将来の選択肢を広げる考え方です。介護が必要になる時期や状態には個人差がありますが、早めに介護予防へ目を向けることで得られる利点は少なくありません。

介護予防に取り組むことで、身体の動きや認知機能の低下が緩やかになり、日常生活でできることを保ちやすくなります。歩く、食べる、身の回りのことを行うといった基本的な動作が続くことで、住み慣れた自宅や地域での生活を維持しやすくなります。また、生活のなかで役割や楽しみを持ち続けることは、気力や意欲の維持にもつながります。

さらに、介護予防は本人だけでなく、家族や周囲の方の生活にも影響します。自立した期間が長く保たれることで、介護にかかる時間や負担が抑えられ、家族それぞれの生活との両立がしやすくなります。

介護予防を始めるタイミング

介護予防を始めるタイミング

介護予防を意識するタイミングは、年齢で一律に区切られるものではありません。身体の状態や日々の生活に、これまでとは違う変化を感じたときが一つの目安です。大きな不調がなくても、以前と比べて何かが変わったと感じること自体が、介護予防を考えるきっかけになります。

疲れやすくなった、外出の回数が減った、食事量が落ちたと感じる場合は、生活の過ごし方や活動量を振り返る場面といえます。また、健康診断の結果に変化がみられたときや、通院の機会が増えたときも、身体の状態をあらためて確認するタイミングです。こうした変化は、すぐに介護が必要な状態を示すものではありませんが、今後の生活を見据えるきっかけになります。

このように、日常のなかでの小さな変化や生活環境の節目は、介護予防を意識し始める合図です。特定の年齢や状態を待つ必要はなく、気付いた時点で生活を見直すことで、無理のない形で介護予防につなげやすくなります。

自分でできる介護予防

自分でできる介護予防

介護予防は、特別な道具や環境がなければ始められないものではありません。日常生活のなかでの選択や過ごし方を少し意識するだけでも、生活機能の維持につながります。ここでは、自分で取り組みやすい介護予防の方法を、生活の場面ごとに解説します。

健康診断を受ける

健康診断は、現在の健康状態を把握するための大切な機会です。自覚症状がなくても、血圧や血液検査の数値、体重の変化などから、身体の変調がみられる場合があります。定期的に結果を確認し、以前との違いに目を向けることで、生活習慣を見直すきっかけになります。

持病を管理し継続的に治療を受ける

高血圧や糖尿病などの持病は、日常生活に大きな支障がなくても、積み重なることで生活機能の低下につながります。医師の指示に沿って治療を続け、体調の変化を医師と共有することで、状態が安定しやすいです。

バランスのよい食事を心がける

食事は、身体を動かす力や回復力を支える役割があります。主食・主菜・副菜を意識し、たんぱく質や野菜を取り入れることで、筋力や体力の維持につながります。食欲が落ちてきた場合や食事内容に偏りがみられる場合は、調理方法を工夫したり、食事の回数を分けたりしましょう。

身体を動かす習慣をつける

身体を動かす習慣は、筋力やバランス能力の維持に欠かせません。激しい運動を行う必要はなく、散歩や体操、家事のなかでの動作も十分に意味があります。続けやすい内容を選び、生活のなかに自然に組み込むことが継続のポイントです。

生活リズムを整えて睡眠の質に気を付ける

起床や就寝の時間が乱れると、体調や気分にも影響が出やすくなります。毎日の生活リズムを整えることで、心身の回復が促され、日中の活動量も保ちやすくなります。寝る前の過ごし方を工夫し、落ち着いた環境で休むようにしましょう。

口腔ケアを徹底する

お口の健康は、食事や会話を支えるだけでなく、全身の状態とも関わります。歯みがきや義歯の手入れを習慣化し、必要に応じて歯科医師による確認を受けることで、食べる力を保ちやすくなります。口腔環境を整えることは、誤嚥や低栄養を防ぐうえでも重要です。

人とのつながりを保つ

人とのつながりは、心の健康や生活の張りを支えます。家族や友人との会話、地域の集まりへの参加など、無理のない形で交流を続けることで、気力の低下を防ぎやすくなります。外出や会話の機会を持つことは、生活全体の活性化につながります。

介護予防に利用できる公的サービス

介護予防に利用できる公的サービス

介護予防は、自分自身で取り組むことに加えて、自治体や制度による支援を組み合わせることで、より継続しやすくなります。公的サービスは、健康状態や生活状況に応じて段階的に利用できる仕組みが整えられており、無理なく生活機能の維持を支える役割を担っています。ここでは、介護予防に活用できる主な公的サービスについて解説します。

自治体の健康診断

自治体が実施する健康診断は、介護予防を考える際の基本となる取り組みです。生活習慣病の有無や身体の状態を定期的に確認することで、将来的な生活機能の低下につながる要因を把握しやすくなります。結果をもとに生活習慣を見直したり、医療機関での相談につなげたりすることで、早い段階から対応しやすくなります。

介護保険の介護予防サービス

要支援認定を受けた方は、介護保険制度を通じて介護予防サービスを利用できます。主な内容には、身体機能の維持を目的とした通所型サービスや、日常生活の支援を行う訪問型サービスがあります。これらは、生活のなかでできることを保ち続ける視点で提供されており、状態の悪化を防ぐ役割を担います。サービス内容は一律ではなく、本人の生活状況や希望を踏まえて調整されます。

一般介護予防事業による支援

一般介護予防事業は、要介護認定を受けていない方も対象とした取り組みです。自治体ごとに内容は異なりますが、体操教室や健康づくりの講座、地域での交流活動などが行われています。参加することで、身体を動かす機会や人とのつながりを自然に保ちやすくなります。また、地域の方同士が顔を合わせる場となるため、孤立を防ぐ効果も期待されます。

公的な介護予防サービスの利用方法

公的な介護予防サービスの利用方法

公的な介護予防サービスは、制度を理解し、相談先を知ることで利用しやすくなります。手続きが複雑に感じられる場合でも、段階ごとに進めることで、現在の生活に合った支援を取り入れられます。ここでは、対象となる方、利用開始までの流れ、相談窓口について解説します。

介護予防サービスの対象者

介護予防サービスは、年齢や要介護認定の有無によって対象が分かれています。介護保険制度による介護予防サービスは、要支援認定を受けた方が対象です。一方で、一般介護予防事業は、要介護認定を受けていない方も利用できます。体力や生活機能の低下が目立ちにくい段階でも参加できるため、早い時期から介護予防に取り組みたい方に適しています。ご自身の状態がどの区分に当てはまるかを把握することが、適切なサービス選択につながります。

利用するまでの流れ

介護予防サービスを利用する際は、まず相談から始めます。体調や生活状況について話し合い、必要に応じて介護保険の申請を行います。申請後は、調査や審査を経て要支援認定が行われ、その結果をもとに利用できるサービスが決まります。要支援認定を受けた場合は、生活状況や希望を踏まえて支援内容が組み立てられます。一般介護予防事業については、申請が不要な場合もあり、自治体の案内に沿って参加できます。段階ごとに確認しながら進めることで、状況に応じた利用がしやすくなります。

相談窓口

介護予防について相談する際の窓口として、地域に設置されている地域包括支援センターがあります。ここでは、介護保険制度の説明や、介護予防サービスの案内生活上の悩みに関する相談を受け付けています。本人だけでなく、家族からの相談にも対応しています。身近な相談先として活用することで、状況に応じた支援へつながりやすくなります。また、自治体の担当窓口でも、一般介護予防事業の情報提供が行われています。

まとめ

まとめ

介護予防は、将来の介護に備えて特別な準備を行うものではなく、今の生活を大切にしながら続けていく取り組みです。健康診断を受けることや持病の治療を続けること、食事や運動、睡眠、お口のケア、人とのつながりを意識することなど、日常生活のなかで無理なく取り入れられる工夫が、生活機能の維持につながります。こうした取り組みは、年齢や状態にかかわらず、気付いた時点から始められます。

また、自治体や介護保険制度による公的な介護予防サービスを活用することで、生活に合った支援を受けながら介護予防を続けやすくなります。相談窓口を知り、必要に応じて支援につなげることは、将来への不安を考える際の助けになります。介護予防は、今の暮らしを保ちつつ、これからの生活を支えるための選択肢の一つです。できることを日々の生活のなかで重ねていくことが、長く自分らしい生活を続けることにつながります。

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