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自宅介護での夜間ケアはどうする?よく起こるトラブルや利用できるサービス、便利なアイテムも解説

 公開日:2026/02/01
自宅介護での夜間ケアはどうする?よく起こるトラブルや利用できるサービス、便利なアイテムも解説

在宅介護で、生活リズムが合わずに夜中に起こされることや、転倒や体調急変への不安から常に緊張を強いられている方も多いのではないでしょうか。深夜の排泄介助や、時間を選ばない頻繁な呼び出しなどが重なれば、心身ともに休まる暇がありません。
この記事では、自宅介護での夜間ケアの具体的な対処法や、よくあるトラブルの予防策を解説します。また、ご家族の負担を軽減する夜間対応サービスや見守りアイテム、どうしても限界を感じたときの選択肢もあわせて触れます。
ご本人とご家族の生活と健康を守りながら、無理なく介護を続けるための手引きとして、ぜひ参考にしてください。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

自宅介護での夜間ケア

自宅介護での夜間ケア

在宅介護では、日中だけでなく夜間の対応も求められ、介護者の睡眠時間が削られがちです。しかし、すべてのケースで手厚い介入が必要なわけではありません。
ここでは、自宅介護での主な夜間ケアの種類と、その必要性の判断基準を解説します。

自宅介護で夜間に必要なケアの種類

夜間に行うケアは、ご本人の身体状況や認知機能によって異なりますが、生命の安全を守り、不快感を取り除くことが主な目的です。
一般的に必要とされる夜間ケアは以下のとおりです。

  • 排泄介助
  • 体位変換(寝返りの介助)
  • 見守りや安否確認
  • 水分補給や服薬介助

特に頻度が高いのが排泄介助です。これにはトイレへの誘導やポータブルトイレの処理、オムツ交換などが含まれます。トイレへの誘導は転倒リスクを伴うため、慎重な対応が求められます。また、自力で動けない方には、褥瘡(じょくそう:床ずれ)予防のための体位変換が必要です。認知症による徘徊(はいかい)を防ぐための見守りなど、状況に応じた対応が求められます。

夜間にケアが必要なケース

ご本人の身体状況や病状により、ご家族の手助けが不可欠な場合があります。
具体的に、夜間のケアや見守りが必要となる主なケースは以下のとおりです。

  • 自力で寝返りが打てない
  • 夜間の排泄回数や量が多くオムツ交換が必要
  • 1人でトイレに行けない、または転倒の危険がある
  • 認知症による徘徊や不穏な行動がある
  • 痰(たん)の吸引など医療的ケアが必要である

自分で体勢を変えられない場合、同じ部位が圧迫されて褥瘡になるリスクがあるため、2〜3時間ごとの体位変換が必要です。また、認知症で夜中に動き回る場合や、医療的ケアが必要な場合は、生命の安全を守るためにケアが求められます。

夜間のケアは不要なケース

介護をする側にも休息は必要です。ご本人の状態によっては、夜間の積極的な介入を控え、朝まで様子をみても問題ない場合があります。
以下のようなケースでは、必ずしも夜間のケアを行う必要はありません。

  • 自力で寝返りが打てる
  • 夜用オムツやパッドで朝まで漏れずに対応できる
  • 日中の活動量確保や内服調整により、夜間良眠できている
  • 医療的な処置が必要ない

排泄に関して、皮膚トラブルがなければ、吸収量の多い夜用オムツやパッドを活用して朝まで交換しない選択肢があります。よかれと思ってオムツ交換をすると、かえってご本人の目を覚ましてしまい、その後の再入眠が困難になることも少なくありません。過剰なケアは避け、お互いの睡眠を守ることも重要です。

自宅介護で夜間に発生しやすい事故やトラブル

自宅介護で夜間に発生しやすい事故やトラブル

夜間の介護現場では、日中には想定しにくいトラブルが起こります。暗がりやご本人の意識状態の変化などが重なり、深刻な事態になることも少なくありません。
ここでは、自宅介護の夜間によく起こる事故やトラブルを解説します。

  • 転倒やベッドからの転落
  • 医療用チューブの自己抜去
  • 排泄物の処理困難
  • 徘徊による無断外出
  • 窒息

夜中に一人で動こうとして転倒し、ご家族だけではご本人を起こせないケースや骨折はよくみられます。また、胃ろうなどの管を引き抜いてしまう事故や、大量の便漏れにどう対処してよいかわからず途方に暮れることもあります。

さらに、認知症による不穏で大声を出されたり、痰(たん)詰まりや誤嚥(ごえん)で呼吸困難になったりするケースも深刻です。夜間はすぐに人を呼べない不安も重なり、ご家族の精神的負担は計り知れません。

自宅介護で夜間のケア・見守りが必要な場合の対処法

自宅介護で夜間のケア・見守りが必要な場合の対処法

夜間のケアや見守りが欠かせない状況で、主介護者一人がすべてを背負い込むのは現実的ではありません。睡眠不足が慢性化すれば、介護うつや体調不良を招き、共倒れになってしまう可能性があります。

ここでは、自宅での夜間介護を継続するための具体的な対処法を2つ解説します。

家族や親族が交代でケアを担う

身近な対処法の一つは、ご家族や親族間で役割を分担し、一人に負担が集中しない体制を作ることです。
具体的には、以下のような工夫が考えられます。

  • 曜日ごとに夜間担当を決めてシフト制にする
  • 週末だけ近居の兄弟姉妹に来てもらい、主介護者が別室で熟睡する時間を確保する
  • 遠方の親族には、金銭的な援助や日用品の買い出しなどを依頼し、心理的な公平感を保つ

重要なことは、主介護者が“朝まで一度も起きなくてよい日”を作ることです。たとえ週に1日でも完全に介護から離れる時間があれば、心身の回復につながります。自分だけで抱え込まず、周囲に現状を伝えて協力を仰ぐことが大切です。

夜間対応型訪問介護を利用する

ご家族だけでの対応が難しい場合は、公的サービスである夜間対応型訪問介護の利用を検討しましょう。これは、ホームヘルパーが夜間に自宅を訪問し、ケアを行ってくれるサービスです。
サービスの内容は主に以下の2種類です。

  • 定期巡回:決まった時間に訪問し、オムツ交換や体位変換、安否確認を行う。
  • 随時対応:転倒や急な体調不良などの緊急時に、オペレーターに通報してヘルパーの訪問を依頼する。

プロに任せることで、ご家族は安心して眠ることができます。特に転倒して起こせない時などのトラブルに、すぐに駆けつけてもらえる点は大きな安心感につながります。

なお、このサービスは将来的に、24時間対応の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」へと統合・移行していく方針が国から示されています。地域によってはすでに統合されている場合もあるため、利用を希望する際はケアマネジャーへの確認をおすすめします。

自宅介護|家族や親族が夜間にケアを行うときに役立つアイテム

自宅介護|家族や親族が夜間にケアを行うときに役立つアイテム

夜間の見守りをすべて人の目で行うには限界があります。無理をして共倒れになる前に、便利な介護用品やテクノロジーを活用しましょう。
ここでは、夜間介護の負担軽減に役立つ代表的なアイテムを4つ解説します。なお、多くの機器が介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象となっています。

離床センサー

離床(りしょう)センサーは、ご本人がベッドから離れようとする動きを検知し、離れた場所にいるご家族へ知らせる機器です。

主に、ベッドサイドの床に敷くマット式や、衣服にクリップを挟むクリップ式などがあります。特にマット式は、認知症による徘徊対策として有効です。ご本人が部屋から出ようとしたタイミングで通知が届くため、玄関から外に出てしまう前に対処できます。

「認知症老人徘徊感知機器」として、介護保険でのレンタルが可能です。ただし、目的が徘徊の防止ではなく単なる転倒防止のみの場合、自治体やケアマネジャーの判断によっては対象外となることもあるため確認が必要です。

見守りカメラ

見守りカメラは、別室からご本人の様子を映像で確認できるデバイスです。スマートフォンと連動しているタイプが多く、手元の画面ですぐに状況を把握できます。
メリットは、訪室すべきかどうかを判断できる点です。物音がした際に画面で確認し、単なる寝返りであればそのまま休めます。「何かあったのでは」と不安になって部屋に行き、ドアの開閉音でご本人を起こしてしまう悪循環を防げます。

原則として、一般的な見守りカメラは介護保険の対象外(自費購入)です。ただし、一部の通信機能付きセンサー(徘徊感知機器の一部)にカメラ機能が内蔵されている場合などは対象となるケースもあります。まずは安価な市販品から試してみるのも一つの方法です。

ベッドアラーム

ベッドアラームは、ベッド上での起き上がりや端に座る動作を検知して通知するセンサーです。
夜間の転倒事故の多くは、ベッドから立ち上がろうとした瞬間に起こります。足腰が弱っている方の場合、一人で立ち上がる前に介助者が支える必要があります。このセンサーは、ご本人が上半身を起こした時点や、ベッドの端に座った時点でお知らせが届くため、転倒してしまう前に駆けつけることが可能です。転倒リスクが高い方にとっての命綱といえます。

離床センサーと同様、「認知症老人徘徊感知機器」として介護保険でのレンタルが可能です。センサーの形状は、マットレスの下に敷くタイプや、ナースコールと連動するタイプなどさまざまです。

自動排泄処理装置

自動排泄処理装置は、専用のカップを陰部に装着し、排尿や排便をセンサーが感知すると、自動で吸引・洗浄・乾燥まで行う機器です。
夜間介護で負担が大きいオムツ交換の回数を減らせます。介護者が夜中に何度も起きる必要がなくなるだけでなく、ご本人の皮膚トラブル予防や、部屋の臭い対策にも効果的です。

介護保険でのレンタルが可能です。ただし、原則として要介護4・5の方に限られます。要介護3以下の方でも、医師が必要性を認めた場合などは例外的に利用できる可能性があるため、ケアマネジャーに相談してみましょう。排便まで対応した機種はまだ少ないですが、尿のみ対応の機種は普及しています。

自宅介護で疲れてしまったら

自宅介護で疲れてしまったら

便利なアイテムやご家族の協力があっても、夜間の頻繁な呼び出しやセンサーの通知音が続けば、心身ともに限界を迎えてしまいます。「自分が頑張らなければ」などの責任感で無理を重ねると、いつの間にか心に余裕がなくなり、自分自身を精神的に追い詰めてしまうことにもなりかねません。

介護者の健康と生活を守るために、外部の専門的な支援を頼ることは決して“逃げ”ではありません。ここでは、限界を感じたときに検討すべき2つの選択肢を解説します。

ショートステイを活用する

ショートステイ(短期入所生活介護)は、施設に数日から数週間宿泊し、食事や入浴、排泄などの介護を受けられるサービスです。

主な目的は、介護者のレスパイト(一時的な休息)です。冠婚葬祭や出張などの理由がなくても、「数日だけでいいからぐっすり眠りたい」「介護から離れてリフレッシュしたい」などの理由で利用して問題ありません。

夜間の対応をすべて施設のスタッフに任せられるため、物理的な距離を置くことで精神的なゆとりを取り戻せます。ただし、人気が高く予約が取りにくい場合があるため、ケアマネジャーと相談し、早めに計画を立てることが大切です。定期的に利用することで、在宅介護を長く続けるための息抜きになります。

介護医療院などの施設への入所を検討する

ショートステイを利用しても在宅での継続が困難な場合や、医療的なケアが常時必要な場合は、施設への入所も視野に入れましょう。

特に夜間の医療ケアや見守りが必須の方には、介護医療院などの選択肢があります。ここは医療と介護(生活の場)の両機能を備えた施設で、医師や看護師が配置されているため、痰の吸引や経管栄養などが必要な方でも安心して過ごせます。

「親を施設に入れるのは親不孝ではないか」と悩む方もいますが、プロの手を借りることで、お互いに笑顔で会える関係を取り戻せるケースはあります。特養(特別養護老人ホーム)やグループホームなど、ご本人の状態に合った施設の検討は、安全な生活を守るための前向きな決断です。

まとめ

まとめ

自宅介護での夜間ケアは、排泄介助や転倒時の対応など、ご家族にとって大きな負担となる場面が少なくありません。しかし、すべてのケアを完璧に行う必要はなく、ご本人の状態に合わせて、介入が必要なケースとそうでないケースを見極めることが大切です。
また、ご家族だけで抱え込まず、夜間対応型の訪問介護サービスや、見守りセンサー、自動排泄処理装置などの便利なアイテムの活用で、負担を軽減できる可能性があります。ショートステイや施設入所の検討も、お互いの生活を守るための選択肢です。
介護は長期戦であり、介護者自身が健康でなければ成り立ちません。一人で悩まず、ケアマネジャーや専門家に相談しながら、無理のない範囲で環境を整えていきましょう。

この記事の監修社会福祉士