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要介護認定の基準と区分、申請手順や訪問調査のポイントを解説

 公開日:2026/01/09
要介護認定の基準と区分、申請手順や訪問調査のポイントを解説

介護保険制度において、介護サービスを利用するためには要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は、介護の必要性と程度を公正かつ客観的に判定する仕組みです。本記事では、要介護認定の基本的な概念から各区分の具体的な基準、申請から認定までの詳細な流れ、訪問調査を受ける際の実践的なポイントを解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

要介護認定とは

要介護認定とは

要介護認定は介護サービスの必要性や必要度を判定するための仕組みです。40歳以上の被保険者が介護サービスを利用する際に、どの程度の介護が必要なのかを統一的な基準で評価します。

要介護認定は全国一律の基準に基づいて行われ、地域による格差を防ぐ仕組みが整備されています。認定調査員による訪問調査と主治医意見書をもとに、コンピュータによる一次判定と介護認定審査会による二次判定を経て決定されます。

認定区分は要支援1・2と要介護1〜5の計7段階に分かれており、それぞれ利用できるサービスの種類や支給限度額が異なります。認定の有効期間は新規申請では原則6ヶ月、更新申請では12ヶ月に設定され、期間満了前に更新手続きが必要です。

要介護認定|区分別の基準

要介護認定|区分別の基準

要介護認定の7つの区分は、日常生活における介護の必要度に応じて細かく設定されています。各区分の判定には、身体機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応などの要素が総合的に評価されます。

要支援1の基準

要支援1は、基本的な日常生活はほぼ自立しているものの、一部で支援が必要な状態です。具体的には以下のような状態像が該当します。

  • 歩行や立ち上がりなどの基本的動作はほぼ自分でできる
  • 入浴や掃除などの家事の一部に手助けが必要
  • 薬の管理や金銭管理はおおむね自分でできる
  • 認知症の症状は軽微で日常生活に大きな支障はない

要支援1では、現在の身体機能を維持し、悪化を防ぐための予防給付サービスを受けられます。予防給付サービスとは心身の状態の維持・改善を図り、要介護状態への進行を予防すること、そして可能な限り自立した日常生活を送れるように支援することです。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要支援2の基準

要支援2は、要支援1よりも支援の必要性が高く、日常生活の複数の場面で手助けを要する状態です。

  • 歩行や立ち上がりに一部介助が必要な場合がある
  • 入浴時の洗身や洗髪に部分的な手助けが必要
  • 掃除や洗濯などの家事に支援が必要
  • 軽度の認知症症状があり、見守りが必要な場面がある

要支援2は、要支援1に比べて介護保険の支給限度額(利用できる費用の総額)が大きく設定されており、機能訓練を含む通所型サービスを利用できる頻度が増えます。

例えば通所介護の利用を週に2回程度に増やすなど、より積極的な機能訓練や社会参加の機会を設けることが可能になり、家族の介護負担軽減も考慮されたサービス計画が立てられます。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護1の基準

要介護1は、日常生活の基本的な動作に一部介助が必要で、認知機能の低下もみられる状態です。

  • 歩行は自分でできるが、階段の昇降に手すりが必要
  • 入浴時の一連の動作に見守りや部分介助が必要
  • 排泄は自立しているが、トイレでの一連の動作に時間がかかる
  • 軽度から中等度の認知症症状があり、日常生活に一部支障がある

要介護1からは介護給付の対象となり、居宅サービスと施設サービスのいずれも利用できます。

居宅サービスは、要介護認定を受けた方が自宅で生活しながら利用できる介護保険サービス全般のことです。訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)などがあり、住み慣れた地域での自立した日常生活を支援します。施設サービスは、要介護認定を受けた方が介護保険施設に入所して生活全般の介護や医療的なケアを受けられるサービスのことです。介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設(老健)などがあり、主に要介護度が高い方や自宅での生活が困難な方が対象となります。月額支給限度額は167,650円に設定されています。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護2の基準

要介護2は、日常生活の多くの場面で介助が必要となり、認知機能の低下も進行した状態です。

  • 歩行や立ち上がりに何らかの支えが必要
  • 入浴は一人では困難で、全面的または部分的な介助が必要
  • 排泄の一連の動作に見守りや介助が必要な場合がある
  • 中等度の認知症症状があり、問題行動が時々みられる

要介護2では、身体介護を中心としたサービスが必要となります。月額支給限度額は197,050円で、デイサービスやショートステイの利用も本格的に検討される段階です。

デイサービス(通所介護)は、要介護者が日帰りで施設(デイサービスセンター)に通い、入浴、食事、レクリエーション、機能訓練などのサービスを受けることです。自宅以外での社会的な交流や活動の機会を提供し、生活機能の維持・向上を図るとともに、介護をしているご家族の休息にもつながります。

ショートステイ(短期入所生活介護)は、要介護者が短期間、施設に宿泊し、日常生活の介護や機能訓練、健康管理などを受けることです。ご本人が介護施設での生活を体験する機会となるほか、主にご家族が病気や冠婚葬祭、または介護疲れの軽減を図るために利用されます。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護3の基準

要介護3は、日常生活の多くの動作で全面的な介助が必要となる状態です。

  • 立ち上がりや歩行が自力では困難
  • 入浴は全面介助が必要
  • 排泄の際に介助が必要で、失禁することもある
  • 中等度から重度の認知症症状があり、日常生活に大きな支障がある

要介護3では、24時間対応の訪問サービスや施設への入所も視野に入れた検討が必要です。月額支給限度額は270,480円に設定されています。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護4の基準

要介護4は、日常生活の能力が著しく低下し、多くの場面で全面的な介護が必要な状態です。

  • 歩行や立ち上がりはほとんど自力では不可能
  • 入浴、排泄、食事などすべてに介助が必要
  • 理解力が低下し、意思疎通が困難な場合が多い
  • 認知症症状が明らかであり、屋内での生活に支障がある

要介護4では常時介護の体制が必要となり、家族だけでの在宅介護は困難になることが多いです。月額支給限度額は309,380円です。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護5の基準

要介護5は、日常生活全般にわたって全面的な介護が必要で、意思疎通も困難な状態です。

  • 寝たきりの状態で、体位変換も自力では不可能
  • 食事、排泄、入浴すべてに全面介助が必要
  • 意思疎通が著しく困難またはできない
  • 認知機能の症状が明らかで生活に支障がある、あるいは意識レベルの低下がある

要介護5では、医療的ケアを含めて総合的な支援が必要となります。月額支給限度額は362,170円で、施設への入所が検討されることが多い段階です。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護認定の申請から認定までの流れ

要介護認定の申請から認定までの流れ

要介護認定の申請から結果通知までは、30日以内と定められています。実際のプロセスは複数の段階を経て進行し、各段階で専門的な評価が行われます。ここでは、具体的な手順と必要書類を解説します。

要介護認定・要支援認定申請書の提出

要介護認定・要支援認定の申請は住所地の市区町村の介護保険課または地域包括支援センターで行います。申請者本人だけでなく、家族や地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の職員も代理申請が可能です。
申請時に必要な書類は以下のとおりです。

  • 要介護認定・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証
  • 健康保険被保険者証(40歳から64歳の第2号被保険者の場合)
  • 主治医の氏名と医療機関名がわかる資料

申請書には、現在の身体状況や生活状況を具体的に記載してください。日頃から気になる症状や困っていることを整理しておくと、申請時にスムーズに記入できます。

参照:『要介護認定について』(厚生労働省)

認定調査(訪問調査)

申請後、原則として申請者の自宅に認定調査員が訪問し、全国共通の調査票に基づいて聞き取り調査を行います。調査項目は74項目にわたり、身体機能、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活などを詳細に評価します。

調査は通常1時間から1時間30分程度で完了し、看護師や介護福祉士、社会福祉士などの有資格者が調査を担当します。

参照:『要介護認定について』(厚生労働省)

自治体による主治医意見書の取得

市区町村は、申請者が指定した主治医に対して意見書の作成を依頼します。主治医意見書では、疾病の状況、身体機能、精神機能、社会生活への適応などが医学的見地から評価されます。主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師による診察を受ける必要があります。この場合、指定医師による診察料・書類作成料は介護保険から支払われるため、申請者の負担はありません。

コンピュータによる一次判定

認定調査員(市区町村の職員または委託を受けたケアマネジャーなど)が実施した認定調査の結果を、市区町村の介護保険担当職員がコンピュータに入力します。この結果をもとに全国一律の判定ソフトによって要介護度の一次判定が行われます。

要介護認定等基準時間は認定調査の結果に基づき、その人にどれくらいの介護の手間がかかるかを統計データから推計し、分という単位で表した介護や支援に要する時間のことです。この時間が介護の必要性を測る全国一律のものさしとして機能し、コンピュータによる一次判定において、時間区分(例:32分以上50分未満など)に当てはめることで暫定的な要介護度が決定されます。

参照:『要介護認定について』(厚生労働省)

介護認定審査会による要否・区分の最終判定

一次判定の結果、認定調査票、主治医意見書をもとに、介護認定審査会が最終的な判定を行います。審査会は保健、医療、福祉の専門家5名程度で構成されています。
審査会では、一次判定の妥当性を検証し、必要に応じて判定の変更を行います。特に、認知症や精神・行動障害については、コンピュータでは判定しきれない部分を専門家の知見で補完します。

参照:『要介護認定について』(厚生労働省)

認定結果の通知

要介護認定の結果は、申請から原則30日以内に認定結果通知書をもって通知されます。認定された場合は、通知書に要介護度(要介護1~5または要支援1・2)、認定の有効期間、支給限度額などが記載されるとともに、介護保険被保険者証が交付されます。一方、認定されなかった場合(非該当となった場合)は、その旨が郵送で通知されますが、介護保険の給付サービスは利用できません

認定結果に不服がある場合は、通知を受けた日の翌日から60日以内に各都道府県に設置された介護保険審査会に審査請求を行うことができます。また、区分変更申請により、状態の変化に応じた再評価を受けることも可能です。

参照:『要介護認定について』(厚生労働省)

要介護認定の訪問調査を受ける際のポイント

要介護認定の訪問調査を受ける際のポイント

訪問調査は要介護認定における評価段階の一つです。調査では、申請者の日常生活における実際の状況を正確に把握して共有することが目的です。そのため、普段の生活で困っていることや支援が必要な場面を具体的に伝えてください。

訪問調査前の準備

調査前の準備により、限られた時間内で必要な情報を効果的に伝えることができます。以下の準備を行っておくことを推奨します。

  • 普段の生活で困っていることや介助が必要な場面をメモにまとめる
  • 服用している薬の一覧表を用意する
  • 過去の入院歴や手術歴をまとめておく
  • 家族が同席できる日程を調整する
  • 普段使用している福祉用具や介護用品を準備する

特に、日常生活動作の具体的な状況を整理してください。例えば、「お風呂に入る際にどの動作で困るか」「階段の昇降でどのような支えが必要か」といった詳細な情報が判定に役立ちます。

当日の注意点

調査当日は、普段の生活状況をありのままに伝えてください。以下のポイントに注意して調査に臨みましょう。

  • 調査員の質問には正直に答え、困っていることを遠慮なく伝える
  • 「できるけれど時間がかかる」「できるけれど危険」な状況も具体的に説明する
  • 認知症の症状がある場合は、家族が補足説明を行う
  • 調子のよい日と悪い日の差が大きい場合は、その旨を明確に伝える
  • 現在利用している介護サービスや支援の内容を詳しく説明する

調査では、申請者が一人でどの程度のことができるかが評価されます。家族の支援があってできていることは家族の支援がない状態での能力として評価されるため、支援の必要性を明確に伝えてください。調査員が帰った後に伝え忘れた情報を思い出した場合は、市区町村の担当者に連絡して追加情報を提供することも可能です。

まとめ

まとめ

要介護認定は介護保険サービスを利用するための入り口です。認定区分は要支援1・2から要介護1〜5まで7段階に分かれ、それぞれ具体的な基準と利用可能なサービスが定められています。申請から認定までのプロセスは、申請書提出、訪問調査、主治医意見書取得、一次判定、審査会による最終判定、結果通知の6段階で構成されます。各段階で適切な準備と対応を行うことで、申請者の状況に応じた適正な認定を受けることができます。特に訪問調査では、事前の準備と当日の正確な情報提供が認定結果に大きく影響します。普段の生活状況を具体的に伝えて支援が必要な場面を明確にすることが、適切な介護サービス利用への第一歩となります。高齢の方とそのご家族が安心感をもって介護保険制度を活用できるよう、本記事の情報を参考に適切な手続きを進めましょう。

この記事の監修医師