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介護保険の住宅改修とは?できることや支給要件、申請方法、注意点を解説

 公開日:2026/04/22
介護保険の住宅改修とは?できることや支給要件、申請方法、注意点を解説

加齢や疾患によって身体機能が低下すると、住み慣れた自宅でも段差や滑りやすい床が転倒リスクにつながります。

在宅での生活を続けるために、介護保険制度には住宅改修費の支給という仕組みがあります。

介護保険の住宅改修は、要支援・要介護認定を受けた方が自宅環境を整えるための改修工事に対し、費用の一部が支給される制度です。

本記事では、対象工事の種類や支給要件、申請の流れや注意点についてわかりやすく解説します。

高山 哲朗

監修医師
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)

プロフィールをもっと見る
【経歴】
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長

介護保険の住宅改修でできることや支給要件

介護

介護保険の住宅改修でどのようなことができますか?

介護保険の住宅改修では、厚生労働省の定めに基づき、以下の6種類の工事が対象です。
  • 手すりの取付け(廊下、階段、トイレ、浴室、玄関など)
  • 段差の解消
  • 滑りの防止および移動の円滑化などのための床または通路面の材料の変更
  • 引き戸などへの扉の取替え
  • 洋式便器などへの便器の取替え
  • 上記1〜5の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
手すりの形状(縦付け・横付け・二段式など)は身体状況に合わせて選択できます。工事不要の置き型手すりは福祉用具レンタルの対象とされており、宅改修費の支給対象には含まれません。段差の解消は敷居の撤去や床のかさ上げ、スロープ設置などが該当し、玄関から道路までの屋外通路の工事も対象に含まれます。床材の変更は浴室の床を滑りにくい素材へ変更したり、じゅうたんや畳を板材へ変更したりする工事が対象です。扉の取替えでは、開き戸を引き戸や折れ戸、アコーディオンドアへ変更する工事が対象です。付帯工事とは、手すり取付けに伴う壁の補強や床材変更に伴う下地補強など、対象工事に必要な工事が該当します。

介護保険の住宅改修の支給要件を教えてください。

支給を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
  • 要支援1・2または要介護1〜5のいずれかの認定を受けていること
  • 介護保険被保険者証に記載された住所の住宅(現に居住している自宅)で生活していること
入院中または施設入居中の場合は、原則として住宅改修の対象外です。ただし、退院・退所後に自宅へ戻ることが決まっており帰宅に備えた改修と認められる場合は、事前に市区町村へ確認のうえ申請できるケースがあります。賃貸住宅では住宅所有者の承諾が得られれば申請可能です。申請の際は、住宅の所有者の承諾書の添付が必要です。

介護保険の住宅改修費の利用限度額を教えてください。

支給限度基準額は、要支援・要介護の区分に関わらず1人につき200,000円です。在宅サービスの区分支給限度額とは別枠で利用でき、自己負担割合は所得に応じて1〜3割と定められています。200,000円の工事を行った場合の負担額の目安は、以下のとおりです。
  • 1割負担:自己負担20,000円、保険給付180,000円
  • 2割負担:自己負担40,000円、保険給付160,000円
  • 3割負担:自己負担60,000円、保険給付140,000円

200,000円を超えた工事費用は、その超過分が全額自己負担となります。一方で、200,000円を使いきらなかった場合の残額は、次の工事に持ち越して使用できます。

介護保険の住宅改修の具体的な活用例を教えてください。

介護保険の住宅改修では、手すりの取付けや段差の解消、床材の変更、引き戸などへの扉の取替え、洋式便器への取替えなどが行われます。これらの工事を組み合わせることで、住宅内での移動や日常生活動作を行いやすい環境を整えることが可能です。改修内容はご本人の身体状況や住宅の構造によって異なるため、担当のケアマネジャーに事前に相談しましょう。

介護保険の住宅改修の申請方法や工事の流れ

説明を受ける老夫婦

介護保険の住宅改修の申請方法を教えてください。

介護保険の住宅改修費は、工事着工前の事前申請が原則です。事前申請なしで着工した工事は支給対象外となります。事前申請に必要な主な書類は、以下のとおりです。
  • 住宅改修支給申請書(市区町村の介護保険担当窓口で入手)
  • 住宅改修が必要な理由書(担当のケアマネジャーまたは地域包括支援センターが作成)
  • 工事費見積もり書(対象外工事を含む場合は内訳の明記が必要)
  • 住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの(写真または図面)
  • 住宅の所有者の承諾書(賃貸住宅の場合)
工事完了後は、領収書や工事費内訳書、改修前後の写真(原則として撮影日がわかるもの)を提出します。必要書類は市区町村によって異なる場合があるため、事前に担当窓口へ確認することをおすすめします。

償還払いと受領委任払いについて教えてください。

支払い方法には、償還払いと受領委任払いの2種類があります。償還払いは、工事完了後に利用者が施工業者へ工事費の全額を支払う方法です。その後、申請手続きを行うと、市区町村から保険給付分(7〜9割)が利用者の口座へ振り込まれます。一時的に工事費の全額を立て替える必要があります。受領委任払いは、利用者が施工業者へ自己負担分(1〜3割)のみを支払う方法です。残りの保険給付分は、市区町村から施工業者へ直接支払われます。利用者の一時的な費用負担を抑えられる点が特徴です。ただし、受領委任払い取扱事業者として登録された施工業者に依頼する必要があります。取り扱いの有無は市区町村によって異なるため、業者選定の段階で担当窓口に確認しておきましょう。

介護保険の住宅改修工事の流れを教えてください。

介護保険を利用した住宅改修の一般的な流れは以下のとおりです。
  • ケアマネジャーまたは地域包括支援センターへ相談し理由書の作成依頼
  • 施工業者を2社以上から相見積もりを取り選定
  • 市区町村の介護保険担当窓口へ事前申請し書類審査
  • 審査通過後に着工し工事完了
  • 領収書や写真などを添えて事後申請し支給が決定

ケアマネジャーは、利用者に複数業者からの見積もりを取るよう促すことが義務づけられています。内容と金額を十分に比較したうえで業者を決定することが重要です。

介護保険の住宅改修における注意点

女性

要介護度に変更がある場合はどうすればよいですか?

住宅改修費の支給限度基準額は、原則1人につき200,000円(生涯)です。ただし、要介護度が大きくあがった場合や転居した場合には、限度額がリセットされます。要介護度によるリセット(3段階リセット)は、初めに支給を受けた時点の要介護状態区分から、3段階以上上昇した場合に適用されます。要支援2と要介護1は同じ段階として扱われるため、要支援1で1回目の改修を行った場合は要介護3以上が対象です。なお、要介護3以上で初めて改修を行った場合は、3段階上の区分が存在しないため適用されません。3段階リセットは1人1回限りで、リセット後の支給限度基準額は新たに200,000円です。転居によるリセットは、介護保険被保険者証の住所が変更された場合に適用されます。制度上は複数回利用できます。詳細は担当のケアマネジャーや市区町村窓口へ確認しましょう。

介護保険の住宅改修費はどのような場合に自費になりますか?

介護保険の住宅改修費は、対象条件を満たさない場合、全額自己負担です。以下のケースでは、工事費が支給対象外となります。対象となる6種類の範囲外の工事は支給されません。工事不要の置き型手すりは、福祉用具レンタルの対象です。温水洗浄便座などの機能追加のみを目的とした工事や、将来を見越した先行工事は対象となりません。介護保険は、現在困っている状況への対応が原則です。将来の必要性のみを理由とした工事には適用されません。また、事前申請なしで着工した工事や、支給限度基準額の200,000円を超えた分は支給対象外です。入院中や施設に入居している期間に行った工事、被保険者証に記載された住所以外での工事(別荘や親族宅など)も対象となりません。

申請から着工までにどのくらいの期間がかかりますか?

事前申請から着工までの期間は、市区町村の審査状況や書類内容によって異なります。書類に不備がある場合は追加確認が発生し、さらに時間がかかるでしょう。全体の流れとしては、ケアマネジャーへの相談や業者選定、見積もり取得を行ったうえで事前申請と書類審査を経て着工へと進みます。その後、事後申請を行い支給が決定されます。身体状況の変化を感じた段階で、早めにケアマネジャーへ相談することが重要です。申請期間中の一時的な対応として、置き型手すりや歩行器など、レンタル可能な福祉用具を先に活用する方法もあります。

編集部まとめ

笑顔の老夫婦

介護保険の住宅改修は、要支援・要介護認定を受けた方が住み慣れた自宅で安心感をもって生活を続けるための制度です。

手すりの取付けや段差の解消、扉の取替えなど6種類の工事が対象で、支給限度基準額は要介護度に関わらず1人につき200,000円(自己負担1〜3割)と定められています。

在宅サービスとは別に利用でき、申請は工事着工前の事前申請が原則です。ケアマネジャーへの相談や理由書の作成、相見積もりの取得などを経て、市区町村へ申請します。

また、要介護度が3段階以上重くなった場合や転居した場合には、限度額がリセットされる仕組みもあります。

制度の内容や手続きの流れを理解し、早めにケアマネジャーや市区町村の窓口へ相談しておくことが重要です。

住み慣れた環境のなかで、身体状況に応じた住宅改修を行うことで、その方らしい在宅生活を継続しやすいでしょう。

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