訪問看護とは|サービス内容や利用条件、費用をわかりやすく解説

訪問看護は、病気や障がいのある方が自宅にいながら看護師によるケアを受けられる仕組みです。ただし、訪問介護との違いや具体的なサービス内容、費用の目安など、わかりにくい部分も少なくありません。
本記事では、訪問看護について以下の点を中心にわかりやすく解説します。
- 訪問看護の概要
- 訪問看護のサービス内容
- 訪問看護を利用するメリットと注意点
訪問看護について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
訪問看護の概要

訪問看護とはどのようなサービスですか?
医師の指示に基づき、健康状態の確認や薬の管理、点滴やカテーテルの管理、床ずれの予防や処置など幅広い支援が行われ、在宅療養を支える役割を担っています。
また、がんの終末期や慢性疾患を抱える方への緩和ケアも含まれ、患者さん本人だけでなく家族の不安軽減にもつながります。状況に応じて医療保険または介護保険が適用されるため、年齢や状態に応じて柔軟に利用できるのも特徴です。
訪問介護とは違うのですか?
訪問看護は、病気やけがで自宅療養をしている方を対象に、医師の指示を受けた看護師などが行うサービスです。点滴や注射、カテーテル管理、床ずれの処置といった医療的なケアを中心に、療養生活を支えます。
一方の訪問介護は、食事、排泄、入浴の介助や掃除、買い物といった日常生活の支援が中心で、医療行為は含まれません。
また、対象者にも違いがあります。訪問看護は医療の支援が必要な方が利用し、訪問介護は要介護や要支援の認定を受け、生活に支えが必要な方が利用します。
このように、訪問看護は医療ケア、訪問介護は生活支援と役割が明確に分かれているのが特徴です。
訪問看護の対象者を教えてください
また、65歳以上で要支援や要介護認定を受けている方や、40〜64歳でがん末期、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの特定疾病がある方も対象です。
さらに乳幼児から高齢の方まで、難病や認知症、精神疾患、小児の在宅療養、がんの終末期など、特別な支援が求められる方も含まれます。利用にあたっては主治医が訪問看護指示書を発行します。
訪問看護を利用するまでの流れを教えてください
・相談する
・医師の指示を受ける
・保険の確認
・契約を結ぶ
・初回訪問、計画作成
まず主治医や病院の相談員、ケアマネジャー、地域包括支援センターに相談します。場合によっては訪問看護ステーションに直接連絡もできます。
その後、主治医が訪問看護指示書を発行し、必要なケアの内容や頻度が明記されます。これに基づき、医療保険か介護保険のどちらで利用するかが決まります。
訪問看護ステーションと契約を交わした後は、初回訪問でご本人の健康状態や生活環境を確認し、具体的な計画を立てます。その計画に沿って訪問看護が始まり、定期的に判断や見直しをながら継続されます。
訪問看護の訪問頻度を教えてください
医療保険を利用する場合は1日1回、週3回までが原則ですが、末期がんや難病、人工呼吸器を使用している方などは、主治医の特別訪問看護指示書によって週4日以上や1日複数回の訪問ができます。
一方で介護保険を利用する場合には、支給限度額の範囲で訪問回数に明確な上限はなく、要介護度やケアプランに応じて柔軟に回数が設定されます。
さらに病状の急な悪化などで連日の訪問が必要と判断されれば、一定期間は定められた回数を超えて訪問が行われることもあります。
このように訪問頻度は一律ではなく、利用者の病状や生活状況に応じて調整される仕組みです。
訪問看護でかかる費用の目安を教えてください
介護保険を利用する場合、20分未満で3,000円台、30〜60分で8,000〜9,000円程度が目安で、自己負担額が1割の方なら実際の支払いはその10分の1ほどに抑えられます。
さらに、夜間や早朝の訪問、緊急対応、特別な医療処置が加わると追加費用が発生します。訪問時間や回数、加算の有無によって負担額は大きく変動するため、事前にサービス事業所へ確認しておくことが重要です。
利用者の状況に合わせた見積もりを把握しておくことで、安心して在宅療養を続ける準備につながります。
訪問看護のサービス内容

訪問看護で受けられるサービスを教えてください
・健康状態のチェック
・医療的ケア
・リハビリ支援
・日常生活のサポート
・精神的ケアと家族支援
まず、体温や血圧などのバイタルチェックを行い、病状の悪化を早期に察知して助言を受けられます。さらに、点滴やカテーテル管理、褥瘡の処置、在宅酸素や人工呼吸器といった医療機器のサポートなど、医療的ケアも提供されます。
また、リハビリによる身体機能の維持や嚥下訓練、日常生活に関わる介助、精神的な支えや家族への相談支援も含まれます。
こうした多角的なサービスを通じて、利用者本人だけでなく家族にとっても心強い支えとなり、自宅での暮らしをより快適に続けられるようサポートしてくれるのが訪問看護の特徴です。
訪問看護で受けられないサービスはありますか?
・日常的な家事
・居宅外での支援
・家族への支援
例えば、調理や掃除、洗濯、買い物などの日常的な家事は対象外です。
また、病院への付き添いや居宅外でのケアも含まれず、看護師の専門性と直接関係しない業務は行えません。さらに、利用者本人ではなく家族への家事代行や支援も範囲外です。
訪問看護はあくまで看護に特化しているため、生活援助が必要な場合は訪問介護など別の制度を併用する必要があります。サービスの境界を理解しておくことが、在宅療養を進めるうえで大切です。
終末期や看取り期の訪問看護ではどのような支援をしてくれますか?
まず、痛みや呼吸困難などの苦痛を和らげるために、医師と連携しながら投薬や吸引、酸素療法などを行います。また、清拭や口腔ケア、排泄の介助などで清潔を保ち、身体の不快感を軽減します。
さらに、ご家族に対しては病状の変化や最期を迎える過程について丁寧に説明し、不安や迷いに寄り添いながらサポートします。そして最期の時を迎えた際には、静かに見守りつつ死後のケアも行い、ご遺族が安心してお別れできるよう支えるのも大切な役割です。
訪問看護を利用するメリットと注意点

訪問看護を利用するメリットは何ですか?
・医療的ケアが自宅で受けられる
・生活の質(QOL)の向上と精神的な安定
・家族の負担軽減とサポート
看護師が自宅を訪問し、バイタルチェックや薬の管理、必要な処置を行うことで通院の負担を減らし、体調の変化にも迅速に対応できます。住み慣れた自宅で療養を続けられるため、環境の変化によるストレスを抑えつつ、家族との時間を大切にできます。
さらに、看護師が医療的ケアを担うことで介護の負担が軽減され、介護方法に関する助言も得られるため、不安を減らし在宅生活を続けられます。訪問看護は、利用者の生活と家族の支えを同時に守る心強い仕組みです。
訪問看護のデメリットや注意点はありますか?
・対応できる範囲の限界
・利用回数や時間の制限
・追加費用の発生
・家族の協力が必要
まず、病院のような先進的な医療機器を用いた処置や検査は行えず、診断や処方が必要な場合は受診が不可欠です。
また、利用には回数や時間の制限があり、要介護度によって範囲が異なります。夜間や休日の利用は追加費用がかかる場合もあるため、計画的な利用が求められます。
さらに、訪問時間外は家族の協力が必要で、自宅環境の整備も欠かせません。これらを理解し、あらかじめ準備を行うことで、訪問看護をより円滑に活用できます。
編集部まとめ

ここまで訪問看護について解説してきました。訪問看護の要点を整理すると以下のとおりです。
- 訪問看護は、自宅にいながら医療的なケアを受けられる仕組みであり、訪問介護とは役割や提供内容が異なる
- サービス内容には、病状の観察や医療処置、終末期の看取り支援などが含まれるが、生活援助のような介護サービスとは区別される
- 利用には在宅療養を支える大きなメリットがある一方で、費用やサービス範囲の確認など注意すべき点もある
訪問看護の特徴を理解しておくことで、安心して在宅での療養生活を送る準備が整えられます。
本記事がサービス選びの参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。




