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介護リハビリと医療リハビリの違いや費用について徹底解説!

 公開日:2025/11/21
介護リハビリと医療リハビリの違いや費用について徹底解説!

介護やリハビリと聞くと、まず思い浮かぶのは回復のために行うイメージではないでしょうか。 しかし実際には、医療リハビリと介護リハビリでは目的も制度も大きく異なります。同じリハビリでも、役割や支払い方法、利用期間までまったく異なります。 違いを理解しないまま利用を続けている方や、担当者の指示にしたがって利用している方も少なくありません。 しかし、制度の仕組みを知っておけば、より自分や家族に合ったリハビリを選びやすくなるでしょう。 本記事では、医療リハビリと介護リハビリの違いを目的や対象者、費用の面からわかりやすく解説します。

小田村 悠希

監修医師
小田村 悠希(医師)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

医療リハビリと介護リハビリの違い

高齢者男性にリハビリ指導する理学療法士

医療リハビリと介護リハビリはどのように目的が異なりますか?

医療リハビリの目的は、骨折・脳卒中・手術後などで失われた機能をできる限り元の状態に回復させることです。急性期・回復期と呼ばれる入院中や退院直後の時期に集中的に行われ、医師の指示のもと理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が専門的なプログラムを組みます。一方の介護リハビリは、現状の動作を維持し、生活のなかで支障がないよう補助することが目的です。筋力低下や転倒を防ぎながら、自宅での暮らしを長く続けられるよう支える役割があります。

医療リハビリと介護リハビリそれぞれの対象となるのはどのような人ですか?

医療リハビリの対象となるのは、病気やケガによって身体機能が低下し、医師が集中的なリハビリが必要と判断した方です。脳梗塞や骨折後の入院中だけでなく、退院後も一定期間までは通院によるリハビリが認められています。回復の見込みがある方に対して、できる限り元の生活に戻れるよう支援します。介護リハビリの対象は、加齢や持病、認知症などによって日常生活に支援が必要となった要支援・要介護認定者です。今の状態を維持したい方や、できることを少しでも増やしたい方が中心で、高齢の方の自分らしい生活を続けることが目的です。

それぞれどこで受けることができますか?

医療リハビリは、主に病院やクリニックなどの医療機関で提供されます。入院中に行うケースもあれば、退院後に外来リハビリとして通院しながら実施するケースもあります。医師の診察が必須で、医療保険の適用を受けながら専門的な治療として実施される点が特徴です。一方の介護リハビリは、デイサービス・デイケア(通所リハビリ)・訪問リハビリ・介護老人保健施設(老健)など、介護保険サービスの一環として提供されます。自宅で暮らしながら継続的にリハビリを受けられるよう、生活環境に近い場所で提供される点が特徴です。

リハビリの担当者に違いはありますか?

医療リハビリでは、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)など、医学的根拠に基づいた訓練を行う専門職が中心です。医師の診断をもとに訓練内容が決められるため、治療の一環としてリハビリを行う体制が整っています。一方の介護リハビリではPT・OT・STが関わる場合もあるものの、日常生活動作の見守りや運動のサポートは介護福祉士や看護師、機能訓練指導員などが担うことも少なくありません。専門的な訓練よりも、生活に寄り添った継続的な支援が主な役割なので、利用者のペースに合わせた柔軟な関わり方が特徴です。

利用期間に違いはありますか?

医療リハビリは、疾患ごとに上限期間が設けられており、健康保険で認められる日数に制限があります。例えば脳血管疾患の場合、発症から長くて180日と医療保険の範囲内で集中的に実施する仕組みになっています。期間を過ぎた場合、医療機関での継続は難しくなるため、日数管理が重要です。一方の介護リハビリは、要支援・要介護認定を受けている限り、基本的に長期的な利用が可能です。デイサービスや訪問リハビリなどを週1回〜複数回などのペースで継続できます。そのため、機能低下を防ぎながら、日常の暮らしを支えることができるでしょう。

医療リハビリから介護リハビリへ移ることはありますか?

多くの場合、医療リハビリの期間が終了すると介護リハビリへ移行します。医療リハビリは回復の見込みがある方に対して集中的に行うことが前提のため、一定期間を過ぎると健康保険での継続が難しくなるのが一般的です。そのため、退院後や外来リハビリの終了時に、生活の場で継続できるリハビリの選択肢として介護リハビリが検討されます。スムーズに移行するためには、要介護認定の申請やケアマネジャーの手配が必要です。医療機関によっては、リハビリ終了が近づくと、介護保険への切り替えを提案してくれることもあります。医療保険から介護保険へ円滑に移行することで、リハビリを中断することなく継続できるのが理想的です。

医療リハビリと介護リハビリの利用条件と手続き

介護認定 要介護

医療リハビリを受けるためにはどのような条件と手続きが必要ですか?

医療リハビリを受けるには、まず医師による診察とリハビリの処方が必要です。病気やケガの治療の一環として行うため、医療的な必要性が認められる必要があります。入院中の場合は主治医の判断で自動的に開始されることも多く、外来の場合も医師の指示書(リハビリ指示箋)が発行されてから実施されます。また疾患の種類によって保険適用の日数上限が決められているため、継続には定期的な診察が必要です。転院や在宅復帰後にリハビリを続けたい場合は、紹介状を持ってほかの医療機関へ転院するケースもあります。

介護リハビリを受けるための条件と手続きについて教えてください。

介護リハビリを利用するには、要支援または要介護認定を受けることが必要です。市区町村の介護保険窓口で申請し、認定調査と主治医の意見書をもとに介護度が決まります。認定後はケアマネジャーが担当となり、本人の状態に合わせてリハビリサービスをケアプランに組み込みます。利用できるサービスには、デイケア(通所リハビリ)・デイサービス・訪問リハビリなどがあり、医師の指示書が必要となる場合もあります。医療リハビリとは異なり、介護保険の範囲内で長期的に継続できる点が大きな特徴です。

医療リハビリと介護リハビリの費用

計算機を使う手元

医療リハビリは健康保険でカバーされますか?

医療リハビリには、原則として健康保険が適用されます。医師による診察とリハビリ処方がある場合、外来・入院どちらでも医療保険が適用され、自己負担は1~3割です。費用が高額になった場合は、高額療養費制度が利用でき、一定額を超えた分は後日払い戻されます。ただし、医療保険でリハビリを続けられる日数には上限がある点に注意が必要です。医療リハビリの実施期間については、主治医と確認しながら計画的に進めることが重要です。

介護リハビリの保険適用範囲について教えてください。

介護リハビリは、要支援・要介護認定を受けた方であれば介護保険の範囲内で利用できます。通所リハビリ(デイケア)・訪問リハビリ・デイサービスなどの各サービスには単位数が設定されており、自己負担は原則1〜3割です。利用者や家族が支払う金額は、介護度や利用回数、サービス内容によって変わります。例えば、入浴介助や栄養改善などの追加サービスを利用する場合は、別途費用が発生します。食費や介護施設で使用するおむつや尿取りパッドなどの日用品や消耗品は、自己負担となる場合がほとんどです。なお、介護保険には1ヶ月あたりに使える上限額(支給限度基準額)があるため、複数のサービスを併用すると自己負担が増えることがあります。

医療リハビリと介護リハビリの料金は自己負担額が異なりますか?

医療リハビリと介護リハビリでは、算定方法が異なります。医療リハビリは、医療機関での診察や治療の一部として実施されるため、原則1〜3割負担です。1回ごとの料金がわかりやすく、高額療養費制度により上限が設けられる点も特徴です。一方、介護リハビリは1回あたりの料金ではなく、1ヶ月の支給限度額内での利用で料金が決まります。例えば、要介護1の場合、介護保険の利用上限額は167,650円です。1割負担であれば、自己負担額は毎月約17,000円です。複数のサービスを組み合わせて使うため、リハビリだけでなく、入浴や送迎を含めた総合的な自己負担額としてとらえる必要があります。

編集部まとめ

ボール体操する高齢者女性と理学療法士

医療リハビリと介護リハビリは、同じリハビリでも目的や制度が大きく異なります。医療リハビリは機能回復を目指す治療であり、介護リハビリは生活を支える維持・予防が主な役割です。 適用される保険や自己負担額、利用できる期間も異なるため、現在の状態や目標に合わせて選ぶことが大切です。医療リハビリの終了後に介護リハビリへ移行することで、無理なく継続できます。 リハビリの内容は一人ひとりに合わせて調整できるため、不明点がある場合は医師やケアマネジャーに相談し、自分に合ったリハビリの方向性を見つけましょう。

この記事の監修医師